| 新型BMW 5シリーズはシャープに、そしてスタイリッシュに、さらに先進機能がテンコ盛り |
現在、これ以上のものを望めないというほどのハイスペックセダンが登場
さて、BMWがフルモデルチェンジ版の新型5シリーズ(G60)を発表。※対抗馬である新型メルセデス・ベンツEクラス発表のわずか1ヶ月後に新型5シリーズを発表するあたり、BMW 5のなみなみならぬ意気込みを感じる
4シリーズ / i4、7シリーズ / i7のようにそれぞれ分けるのではなく、今回は「5シリーズ」という旗のもとに「ガソリン版とピュアエレクトリック版(i5)とが」収まるという構成となっており、パワートレインは”ガソリン、ディーゼル、プラグインハイブリッド、ピュアエレクトリック”から選択が可能です。
なお、新型5シリーズにおける外観上の最大のトピックは「(比較的)普通の顔を持っている」ということ。
つまり7シリーズやX7、XMで採用した「スプリットヘッドライト」を持たないということですが、「普通であることがニュースになる」のは最近のBMWならではの話なのかもしれません。
新型BMW 5シリーズはこんな外観を持っている
そこで新型BMW 5シリーズについて紹介してみると、チーフデザイナーのドマゴイ・デュケック氏によると、新型5シリーズのキーワードは「進化的」、そしてデザイン上の目的は「もっともエレガントなBMWを作ること」。
そして新型5シリーズがスプリットヘッドライトを持たないことについては「XMや7シリーズの外観を非難する人々への反動」であると述べ、7シリーズ、X7、XMを購入する層は、自分の大切なものを見せびらかしたいという「表現力豊かでステータス志向の顧客」であるのに対し、一般的な5シリーズの購入者はもっと保守的なものを求めているのだともコメント。
たしかにこれは以前にも述べられたことであり、こういった理由から「3シリーズや5シリーズは保守的なのだ」と語られています。
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今回画像が公開されたのは「i5 M60(レッド)」「i5 eDrive40(グレー)」の画像のみですが、仕様地にもよるものの、ガソリンエンジン搭載版の520i、530iと540i、ディーゼルエンジン版の520dも投入され、その後にも順次ラインアップが拡大されてゆくものと思われます。
新型BMW 5シリーズのボディサイズは先代に比較して大きくなり、全長は97ミリも伸びて5,060ミリ、全幅1,900ミリ、ホイールベースは2,995ミリ、全高1,515ミリだとアナウンスされていますが、これは大型バッテリーパックを搭載する必要があるためなのだそう(もちろん室内空間の拡大も目的であったのだと思われる)。
細かいところを見ると、ヘッドライトの発光グラフィックが大きく変わり・・・。
3シリーズ以降に刷新されたホフマイスターキンクには「5」の文字。
ドアハンドルはフラッシュマウント、そしてキャラクターラインが明確化されていることも外観上の大きな特徴です。
テールランプはL型からバー状のシグニチャーへ(少しLっぽさも残っている)。
ドアミラーは「ちょっとだけ」ウイングっぽいデザインを採用しています。
キドニーグリルはグレードによってデザインが異なりますが、いずれも前方へと突き出し、オプションにてBMWアイコニック・グロー(グリルフレームの輪郭が光る)を搭載可能。
そのほか「Mスポーツ・パッケージ」「Mスポーツ・パッケージ・プロ」もオプションとして用意されています。
新型BMW 5シリーズのパワートレインはこんな構成・特徴を持っている
そして新型BMW 5シリーズのパワートレインについて触れてみると、ピュアエレクトリック版のi5に搭載されるのは第5世代のBMW eDriveテクノロジーで、BMW i5 M60 xDrive(全輪駆動)だと601馬力、そしてMスポーツ・ブーストまたはMローンチ・コントロール機能を作動させることでトルクは最大820Nmへ向上し、これによってBMW i5 M60はゼロから100 km/hまで3.8秒で加速し、最高速度は電気的に230 km/hも達します(リミッターによって最高速は制限される)。
BMW i5 eDrive40の駆動輪は後輪のみで、最高出力340ps、最大トルク430Nm、0-100km/hまでの加速は6.0秒、その最高速度は193km/h。
これらピュアエレクトリックモデルの省スペース型高電圧バッテリーはアンダーボディに設置され、81.2 kWhの使用可能なエネルギー量を提供するほか、効率的なエレクトリックモーターに加え、最新版のアダプティブ・リキュペーション、そして室内、駆動部、高電圧バッテリーの冷却・加熱を担当するヒートポンプ技術の組み合わせによって長い航続距離を実現しており、BMW i5 M60 xDriveが455~516km、BMW i5 eDrive40では497~582kmという数字です。
なお、新しく搭載されるMAX RANGE機能では、パワーとスピードを制限し、快適機能を停止することで、必要に応じて航続距離を最大25%まで伸ばすことができる、とのこと(できればお世話になりたくない機能ではある)。
ガソリン/ディーゼルだと、520iでは208馬力、520dでは197馬力、530iでは255馬力、540iでは375馬力を発生し、2024年にはプラグインハイブリッドバージョンが追加される予定です。
ドライバビリティにつき、BMW 5によれば、「5シリーズの特徴である、最高のスポーティネスとハイレベルな長距離走行時の快適性のバランスは新型5シリーズにてさらに強化され、アッパー・ミッドレンジのセグメントで最も長いホイールベース、フロントおよびリア・アクスルのトラック幅の拡大、ほぼ完璧なバランスの50 : 50比のアクスル荷重配分、インテリジェントな軽量構造、ボディとシャシーの連結剛性の向上がこれに貢献している」。
さらにはシャシー技術は制御システムと同様に高度化されており、それぞれのモデル・駆動方式ごとに最適化されていますが、ホイール・スリップ制御、統合ブレーキシステム、可変ステアリングレシオを備えたスポーツステアリングが標準装備され、Mスポーツ・サスペンション、Mスポーツ・ブレーキ・システム、電子制御ショック・アブソーバー、インテグラル・アクティブ・ステアリング、新しいロジックを持つバーチカル・ダイナミクス・マネジメントを備えたアダプティブ・サスペンション・プロフェッショナル(BMW i5 M60 xDriveに標準装備)がオプションとしても選択可能。
ホイールサイズは18インチまたは19インチが標準装備され、オプションでは21インチまで、さらにパフォーマンスタイヤも選べます。
新型BMW 5シリーズのインテリアはこうなっている
そして新型BMW 5シリーズのインテリアに目を移すと、7シリーズ同様にボタンや操作部の数が大幅に削減され、つまりは「デジタル化」がなされているということですが、BMWカーブド・ディスプレイ含む「フル・デジタル・ディスプレイ・システム」は、12.3インチのインフォメーション・ディスプレイと14.9インチのコントロール・ディスプレイにて構成されています。
細かいところだとステアリング・ホイール下部がフラット化され、コントロール・パネルやセンター・コンソールのセレクター・レバーに触覚フィードバックが搭載されるなど使い勝手と操作性が向上し、オプションのBMWインタラクション・バー(タッチセンサー付きコントロール・パネルつき)にはクリスタル・サーフェス構造を採用したバックライトが備わっており、インストルメント・パネルの全幅からドア・パネルに至るまで広がることで、ドライバーのみならず助手席の乗員にも視覚的にステータスを知らせます。
そのほか、新型BMW 5シリーズでは、「日常生活ではBMWならではのドライビング・プレジャーを、長距離移動では高いレベルの快適性を楽しむための理想的な条件を」高いレベルで備えており、ゆったりとしたスペース、先進機能、高いレベルの音響的快適性、そして高品質で精密に加工された素材や上質な仕上げ、高度なデジタル・サービス等によってインテリアの雰囲気が特徴づけられています。※標準装備となるシートは「スポーツシート」、コンフォートシートはオプション扱い
そして特筆すべきは、新型5シリーズはBMW初のフルベジタブル・インテリアを標準装備したモデルだということで、これにはシート、ダッシュボード、ドア・パネル、そしてステアリング・ホイールの表面も含まれ、レザーライクな特性を持つヴェガンツァ(Veganza)シートの表面には、装飾的なパーフォレーション(穴開き加工)もオプションで用意されています。
ただ、「どうしてもレザーがいい」という顧客のため、複数のバイカラー含む「BMW Individual メリノ・レザー」もオプションにて選べるようですね。
BMWが強調しているのは「クイックセレクト(QuickSelect)」を搭載したBMW iDriveディスプレイ・コントロール・システムで、このシステムはBMWオペレーティング・システム8.5をベースにしており、運転席側に縦に並んだ機能アイコンを持つホーム・スクリーンのデザインが一新されているのが特徴だとされますが、これによってサブメニューに切り替えることなく、直接機能にアクセスすることが可能となっているのだそう。
さらに、BMWオペレーティング・システム8.5では、情報およびエンターテイメント用の幅広いデジタル・コンテンツ、機能の更新サイクルの高速化、充電ポイントに関する情報の改善、オンライン・サービスへのアクセスの最適化などが行われ、コントロール・ディスプレイではビデオ・ストリーミングが可能となるほか、新型BMW 5シリーズ・セダンに採用されるAirConsoleプラットフォームで初めて導入されたという”革新的な車載ゲーム”も利用可能。
ドライバーと同乗者は、BMW i5の高電圧バッテリーの充電中の待ち時間を埋めるためなど、車両が停止している間に(いわゆる)カジュアル・ゲームをプレイすることができ、これは新型メルセデス・ベンツEクラス同様に「クルマのスマホ化」を端的に示す部分だと言えそうです。
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その他のイノベーションとしては、ライト・ショーとパーソナル・ウェルカムを備えたウェルカム・シナリオ、オプションによるダイナミック・ライト・カーペット(名称からしてスゴそうだ)も用意され、「BMW Digital Key Plus」では、iOSまたはAndroidオペレーティング・システムを搭載したスマートフォン、およびApple Watchに対応可能。
加えて、世界初となる視線確認機能付きアクティブ・レーン・チェンジ・アシスタントも搭載され、これは車線変更を確認するために(ドライバーが)エクステリア・ミラーを見るだけで、車線変更を実行することができるという便利機能。
リバーシング・アシストを含むパーキング・アシスタントも標準装備され、オプションのパーキング・アシスタント・プロフェッショナルを使用すると、最大200mの自動駐車と操縦につき、車内または車外のスマートフォンでコントロールすることができる、とのこと(ボンドカーに搭載される機能が現実になった)。
そのほか、オプション扱いとはなるものの、ステアリング・アシストとレーン・コントロール・アシスト、ストップ&ゴー機能付きディスタンス・コントロールを含むドライビング・アシスタント・プロフェッショナルが用意され、時速130kmまでの高速道路では、交通状況を確認しながら、ステアリングホイールから手を離し快適に運転することが可能だそうですが、日本で搭載されるかどうかは「認可次第」かもしれません。
新型BMW 5シリーズ / i5を紹介する動画はこちら
参照:BMW