| アストンマーティンは内燃機関に固執するかのように見えたが、2030年までにはピュアEV中心のラインアップへ移行するようだ |
それにしてもまさかルシードと提携するとは予想だにしなかった
さて、アストンマーティンが驚くべきことにルシード(ルーシッド)モータースとの提携を発表。
公式プレスリリースによると、以下の内容がアナウンスされています。
- 超高級、超高性能を誇るエレクトリック版アストンマーティン向けに新モジュラーBEVプラットフォームを開発
- このエレクトリック版アストンマーティンにはハイパーカー、スポーツ、GT、SUVがラインアップ
- ルシード・グループとの戦略的供給契約により、業界をリードする技術へのアクセスが可能となる
- エレクトリック版アストンマーティンの初期モデルにおいてはルシードがアストンマーティンにBEVモデル用パワートレイン・コンポーネントを供給
- 電動化戦略は、アストンマーティンの広範な”レーシング・グリーン”サステイナビリティ戦略実現のための柱である
- この柱の育成のため、電動化テクノロジーへ20億ポンドの投資を行う
- メルセデス・ベンツは、アストンマーティンに対し、内燃機関車、ハイブリッド車、電気自動車を含む、現行および将来のアストンマーティン車用のパワートレインおよびエレクトリック/電子アーキテクチャを含む、さまざまなワールドクラスの技術へのアクセスを提供し続ける
アストンマーティンは電動化計画を「仕切り直し」
アストンマーティンはハイパフォーマンスカーメーカーとしては比較的早い段階にて電動化に着目し、ピュアエレクトリックサルーン「ラピードE」を発売したものの、こちらの受注状況は芳しく無く、よってこの計画は(ローレンス・ストロール氏のアストンマーティン買収直前に)一旦キャンセルされることとなっています。
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これによって同社の電動化戦略は一旦白紙に戻ることになるのですが、今回のルシードとの提携によって電動化計画が一気に前に進む可能性が出てきており、注目すべきは「ハイパーカー、スポーツ、GT、SUV」という幅広いラインナップにてEVの展開がなされること。
現時点でこれらのタイムラインについては公開されてない状態ではあるものの、(プレスリリースを見る限りだと)EV展開初期においてはルシードから供給を受けたエレクトリックパワートレーンを搭載したクルマを発売することになるもよう。※最初のアストンマーティン製EVは2025年に登場すると言われている
ただ、アストンマーティン会長、ローレンス・ストロール氏によると、最終的な目標は「ルシードの技術を活用し、それをアストンマーティンのコアバリューである”超高級””超高性能”へと対応させることであるため、ルシードの持つコンポーネントやプラットフォームをそのまま使用してコスト削減を図ることが目的ではない」としており、ルシードとの共同開発、もしくは技術移転後にアストンマーティンが独自にエレクトリックパワートレーンの開発を行うという方向性も見えてきます。※アストンマーティンは4ドアサルーンを投入しないので、ルシードとはマーケット的に競合しない
そしてルシードは現在「3モーター、1,300馬力」というセットアップを持っているので、アストンマーティンはこれをさらに発展させることでリマック・ネヴェーラにも対抗しうるハイパーカーを作ることができるのかもしれず、実質的にこれがヴァルキリーの後継モデルとなる可能性も。
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ルシードもアストンマーティンの株式を取得
なお、ロイターによると、今回の提携によってルシードはアストンマーティンの株式の3.7%を取得し、アストンマーティンはかわりに(ルシードに対し)2億3200万ドルを支払うそうですが、これによって両者の結びつきは単なる提携を超えた関係に発展することになりそうです。
そしてアストンマーティンについては、メルセデス・ベンツがその持ち株比率を20%まで高め、中国の吉利汽車も17%まで株式を買い進めて大株主となっており、よってルシードは将来的にこの2社ともなんらかの技術的交流を持つ可能性も否定できず、これが実現されれば「一大帝国」が出来上がるのかもしれません。※メルセデス・ベンツもルシードや吉利の持つ電動化に関するノウハウを欲しいはずである
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現在はまだ提携が発表されたばかりであり、今後の展開については不明点が多い状態ではありますが、続報を楽しみに待ちたいところでもありますね。
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参照:Reuters