| ロールス・ロイスの顧客、そしてそのクルマの使い方は常人とは全く異なる理論にて分析がなされる |
そして顧客の行動を的確に分析できたからこそ、ここまで業績を伸ばすことができたのだと思われる
さて、ロールス・ロイスは上海モーターショーにて「ピンク」の外装色を持つスペクターを展示していますが、このボディカラーは宝石にちなんで「モルガナイト」と命名されています。
上海モーターショーでこのボディカラーをデビューさせたのは「中国では(男性を含めて)ピンクが好まれる」ということ、さらに「中国のロールス・ロイスオーナーにおける女性比率が他の国や地域よりも高い」という事実を反映させたためかもしれません。※ポルシェもピンクの導入については中国市場を意識したものだとコメントしている
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ロールス・ロイスはなぜこのボディカラーを新しく設定したのか
そして今回、このモルガナイトを設定した理由についてロールス・ロイスのデザイン・ディレクター、アンダース・ウォーミング氏が興味深い見解を述べており、端的に言うと、それは「流行と先取りを表しています」。
「ピンクになりすぎず、ファッション感覚に訴える色が必要でした。メイクやチークをイメージして、この色合いに洗練さを加えました」とコメントしていますが、ピンクを設定する自動車メーカーの多くが「甘くなりすぎず、生生しくならないように」気をつけているといい、多くの場合ではメタリックを混ぜたり、パープルを混入すると言われています(これによって上品かつ高貴な色合いになることが多い)。
さらに同氏が語ったのは以下の主張であり、これはちょっと面白いと感じたところ。
ファッションとは、少なくとも衣服という意味では、創造的な表現と境界線を押し広げることにあります。つまり毎日着るものではないわけです。普通の人はファッションショーを見て、その服が馬鹿げているとか、実用的でないと思うかもしれない。しかし、問題はそこではない。ファッションデザイナーがリスクを冒さなければ、服は陳腐化し、意味のある変化を遂げることはないのです。
たしかにこれはちょっと目からウロコというか「この発想はなかった」という感じで、というのもぼくもパリコレの映像などを見て「だれが着るのコレ・・・」と考えていた一人だから。
ロールス・ロイスのオーナーは「毎日ロールスに乗るわけではない」
そしてアンダース・ウォーミング氏は以下のように続けます。
それはスペクターにおけるモルガナイトと同じことです。平均的な2ドアのロールス・ロイスのオーナーは、ガレージに平均7台のクルマ(さらにボートや飛行機も数台)を所有しているため、年間わずか3,000マイルしかそのロールス・ロイスに乗らない。この色に仕上げられたスペクターは、限られた走行距離の中で大胆な主張をするためのものであり、”毎日着る”普遍的な服ではないのです。
つまり、このモルガナイトの根底にあるのはロールス・ロイスの考える「ファッション」であり、”リスクを冒し、創造的な表現と境界線を押し広げる”ためのカラー設定ということになりますが、こういった理由でロールス・ロイスは今までにも「パステル」「ネオン」など、普通に考えると「だれが乗るのこんな色のクルマ・・・」というボディカラーを展開していた、ということになりそうです。
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加えてですが、ロールス・ロイスは過去に「ファッション」をテーマにした限定シリーズを(ぼくの知る限りでは2回)発売しており、強くファッションを意識している、と考えていいのかも。
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ロールス・ロイスというと「シックで伝統的な」イメージがあり、そのボディカラーもホワイトやブラック、シルバーといった目立たない色が多いように思うものの、かねてよりロールス・ロイスのオーナーは「(ジョン・レノンに代表されるように)自身を主張するために」ロールス・ロイスに乗ることが多かったといい、そしてそれぞれの求める仕様を実現したいと考える人が大半であると言われます。
これが現代における「基本的に100%がオーダーメイド」とされるゆえんであり、BMWやメルセデス・ベンツ、ベントレーの客層に比較して10歳ほども平均年齢が若い理由なのかもしれませんね。
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参考までに、ロールス・ロイスが初のEVであるスペクターのボディ形状に「2ドアクーペ」を選んだのは「より実用的でないボディ形状」を選ぶ人のほうが積極的かつ新しいものに対する理解が高いからで、そういった人々をターゲットにしたほうがEVの販売を成功させることができる確率が高いと踏んだからだと報じられています。
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よってこれから、ファッションショーなどで目にする奇抜な衣類についても、それは”リスクを冒し、創造的な表現と境界線を押し広げるための挑戦”であり、実用性とは対極にある、ある種の挑戦であると理解するように努めたいと思います。
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参照:CARBUZZ