| やはりテスラのライバルは欧米からではなく「中国から」やってくるようだ |
パフォーマンス、価格ともにテスラに対する包囲網が着実に固められつつある
さて、先日「1,020馬力のテスラ・モデルSプレッドを”ダルい”と」蔑んだ中国Zeekr。
今回ハイパフォーマンスEV、 ”001 FR”を正式に発表し、10月から中国国内でデリバリーを開始する、とアナウンスすることに。
このZeeker 001 FRはヨーロッパで発売された001(ミッドサイズ・リフトバック)をベースにしているものの、1,265馬力を発生するというエレクトリックパワートレーン、そして過激なエアロパーツを持つという「全く異なる種族」です。
-
中国Zeekrが世界最速EV、テスラ・モデルSプレッドを名指しで「ダルい」。テスラの反応、そしていったいどれくらいのパフォーマンスを誇るのかちょっと楽しみ
| おそらくは3モーターもしくは4モーター、そしてゆうに1,000馬力を超えてくるものと思われる | Zeekrは今後あらゆる自動車メーカーにとっても「脅威」となりうる さて、先日はもっともコストパフ ...
続きを見る
Zeekr 001 FRはこんなクルマ
Zeeker 001 FRは4つのシリコンカーバイド・エレクトリックモーターを搭載していますが、ベースとなるZeekr 001が(もっともパワフルなモデルで)デュアルモーター / 536馬力であることを考慮すると大きな飛躍を遂げたと言ってよさそう。
これによって「ロールアウトを使用した場合、0−100km/h加速は2.07秒」だとされており、これはテスラ・モデルSプレッドの「2.1秒」を明らかに意識した数字です。
なお、ロールアウトを使用しているかどうかはわからないものの、1,234馬力のルシード・エア・サファイアの0-60マイル加速は1.89秒なので、テスラ・モデルSプレッド、Zeekr 001 FR、ルシード・エア・サファイアの加速性能は非常に近いと考えられます。
参考までに、この「ロールアウト」は主にアメリカにてゼロヨン競技を行う際に用いられるものですが、計測方法にビームを使用しており、計測開始前ではフロントタイヤがビームを遮っていて、スタートを開始してタイヤが転がることでビームを遮らなくなり、設置してあるセンサーがビームを感知した瞬間にタイム計測が始まります。
これによって一般に10数センチほど走行距離が短縮されることになるほか、計測開始が「完全停止」ではなく「動き出してから」になるという性質があり、初速に優れるEVは「ロールアウトあり」で計測したほうが往々にして速いタイムが出がちです。※ロールアウトなしだと、モデルSプレッドで0.2秒くらい数字が変わる
Zeekr 001 FRが速いのはコーナーだけではない
ただしこのZeekr 001 FRの真髄は「分散型クアッドEドライブ」とそれによる「トルクベクタリング機能」にあり、これらはZeekr独自の設計と社内のソフトウェアおよびハードウェア技術によって達成されることになりますが、Zeekrによると、このシステムは各ホイールに最大パワーを送ることができ、そのパフォーマンスを最大化するために各ホイールへのパワーをミリ秒単位で調整できるといい、「タンクターン」も可能だなのだそう。
さらにZeekr 001 FRは充電も速く、100kWhサイズの大容量CATL Qilinバッテリーパックを搭載しながらも、自社独自の開発による800ボルト・エレクトリックシステムによって超高速充電に対応しており、バッテリーはわずか15分で10%から80%まで充電することが可能です。
加えて001 FRは衛星通信パックを内蔵しており、どれだけ離れた場所であっても通信が可能であり、世界中どこにいても「車両とのコンタクト、そして操作」ができるとしています。
Zeekr 001 FRは軽量化に重点を置いたエクステリアとインテリアのデザインを持っていて、エクステリアだとアグレッシブなフロントバンパー、シャープなフロントスプリッター、大型のエアインテーク、サイドスカート、パフォーマンスタイヤを装着した大径ホイール、さらに後部のルーフスポイラー、固定式リアウィング、マッシブなディフューザーを一体化したスポーティなバンパーなど、モータースポーツにインスパイアされたボディキットを採用しています。
加えてフロントスプリッター、ミラーキャップ、リアスポイラー、リアウィング等には軽量なカーボンファイバーが使用されているそうですが、今のところインテリアの画像については未公開。
Zeekrによると、001 FRの納車は2023年10月から中国で開始され、「毎月99台」というちょっと変わった限定生産方式を採用することに。
そしてこのクルマがあまりの高性能を持つためか、オーナーにはZeekr 001 FRを操るための個別トレーニングが実施されるといい、現地では相当に話題を呼ぶことになるのかもしれません。
気になる価格については100万元(現在の為替レートだと日本円で約2000万円)を少し上回るものの、中国では約14万7000ドルから販売されるテスラ・モデルSプレッドを下回る価格になるとアナウンスされています(中国国外での販売は不明)。
Powered by four electric motors, #ZEEKR001FR produces 1,265 horsepower and can accelerate from 0 to 100 kilometers per hour in just 2.07 seconds in a rolling start scenario. pic.twitter.com/aVjnl04K48
— ZEEKR (@ZEEKRGlobal) September 1, 2023
合わせて読みたい、Zeekr関連投稿
-
このカッコいいEVが367万円!中国からZeekr Xが衝撃プライスで登場、親会社はロータスやボルボ、スマートを傘下に収める吉利汽車
| テスラはもちろん、BYD、ヒョンデもかなわないほどの(EVとしての)価格性能比を持つようだ | おそらく中国や欧州では「テスラキラー」として大きな人気を博することになるだろう さて、今年2月にその ...
続きを見る
-
中国のEVブランド、Zeekr(ジーカー)の新型車「X」のコスパがスゴかった!このデザイン、このパワー、このハンドリング、そしてこの価格は世界中の脅威となりそうだ【動画】
| 今年中には欧州にて販売開始、その動向には注目したい | さすがはボルボやロータスを同系列に持つだけのことはある さて、現在ぼくが最も注目する中国の自動車ブランド、Zeekr(ジーカー)。これはメル ...
続きを見る
-
中国Zeekrがテスラ同様のギガキャストを導入したと発表!溶接ポイントを800箇所も削減可能、製造コストの引き下げ手段として今後のEVでは主流となるか
| 中国ではすでに「コスト競争」が発生しており、今後はEVメーカーも淘汰の時代へ | そしてこのコスト競争に日米欧の自動車メーカーが巻き込まれることになるのかも さて、(なにか面白いことをやってくると ...
続きを見る
参照:Zeeker