| この新しいレッドは複数の層を持ち、様々な光の入力に対し、様々なレッドの出力を返すようだ |
おそらくは目をみはるような美しさを持つレッドとなることだろう
さて、マツダは「ボディカラーもデザインの一部」だと宣言しており、つまりその色がもたらす印象もまた、自動車のボディラインやディティールがもたらす印象と同様に重要だと考えています。
そうした思想はソウルレッドプレミアムメタリックにはじまる高輝度塗装(現在はソウルレッドクリスタルメタリックに進化)、さらにはマシーングレープレミアムメタリック、ロジウムホワイトプレミアムメタリック、アーティザンレッドプレミアムメタリックといった具合に拡大し続ける匠塗(TAKUMINURI)にも見て取ることができると思います。
マツダはさらに進化した「レッド」の特許を出願
なお、マツダは「レッド」を非常に特別な色だと位置づけており、しかしそれが「いつから」なのか、「なぜなのか」については今のところ語られず(参考までに、はじめて日本でレッドのクルマを販売したのはホンダである)。
-
日本で初めて乗用車に「レッド」を採用したのはホンダだった。2001年に正式に「ホンダレッド」としてコーポレートカラーにも用いられるようになった経緯とは
| 意外なことであるが、当時は法律によって「レッド」を乗用車のボディカラーに使用することは禁じられていた | ホンダの情熱が法律を変えさせ、乗用車の歴史における新しい1ページを開くことに さて、ホンダ ...
続きを見る
しかしぼくとしては、おそらく1989年のシカゴ・モーターショーに展示した初代(NA)ロードスターがレッドであったことに端を発するのだと考えていて、というのもこの初代ロードスターのレッドをイメージした特別仕様車が過去にデビューしたり、先日発表された「アイコニックSPコンセプト」ではこの初代ロードスターを思わせるディティールとともにレッドが使用されているため。
-
マツダが新型コンセプト「アイコニックSP」発表。ロータリエンジンで発電して走るEV、リトラクタブルヘッドライト風のヘッドライトなど過去の車へのオマージュも
| このICONIC SPがそのまま発売されることはなさそうだが、その思想やディティールは今後の市販車にも反映されそうだ | レトロともフューチャーとも受け取れる、シンプルでミニマルなデザイン さて、 ...
続きを見る
そして今回、マツダはそのレッドを「より輝かせるべく」米国特許商標庁にパテントを提出したことが明らかになっており、そのための理想的な配合と応用技術を申請しています。
届け出られた内容では「どれだけその輝きが美しいのか」を知ることはできないものの、特許は「発明レベル」でないと登録できないので、これまでのレッドとは根本から異なる発色や深みを持つと考えていいのかもしれません。
マツダの新色は「どれだけ赤く見えるか」「どれだけレッドに多彩な表情をもたせることができるか」が焦点となる
マツダは今回の特許出願に際し、成分の質量濃度の変化率がどのような影響を与えるかを5つの表で文書化しており、光が吸収されたりする場合において、レッドがより多くの時間見えるよう「コーティング全体の特定の層をどの角度でどう塗布するか」を考え出し、そしてそれぞれの層があらゆる角度で屈折するわけですね。
ここまでレッドの見え方にこだわるメーカーは(フェラーリを含めたとしても)他にないと言ってよく、マツダのレッドに対する情熱というか執念のようなものすら感じざるを得ませんが、この新しいボディカラーは「いかなる光の入力に対しても」各層がレッドに見えるように反応するのだと思われ、かつそれぞれの「光の出力」が異なる色味を持つレッドとなるのだと思われ、いわば「レッドからレッドへのカラーシフト」と言い換えてもよさそうです。
-
フェラーリはどれだけレッドが好きなのか!現在選べるレッドは11色、そしてそれぞれの違いはこうなっている
| ポルトフィーノMだと標準色28のうち、8色がレッド系 | さらに「テーラーメイド」ではほぼ無限のレッドの選択が可能だと思われる さて、フェラーリというと「レッド」というイメージがあるかと思いますが ...
続きを見る
ただ、ちょっと気になるのは「この新色につき、塗装コストが非常に高くなりそう」ということで、オプション選択時はまだいいとして、もしクルマをぶつけたりして板金塗装を行うこととなった場合、対応できる工場が少なかったり、その修理費用が非常に高価になる場合も考えられます(現在の匠塗でも同様の問題が指摘されている)。
そしてもう一つ気になるのは「このレッドがどのクルマに採用されるのか」。
おそらく最終的にすべてのモデルで選択できるようになるのだと考えられますが、願わくば最初に採用するのは次期ロードスターもしくは新しいスポーツカーであってほしいと思います。
合わせて読みたい、マツダ関連投稿
-
マツダ・ロードスター(ND)はこうやってデザインされた。日米欧デザイナーのボツ案も一挙公開に
「マツダ・ロードスター(ND)」はこうやってデザインされた、というプロセスがマツダUSAより公開に。 まずNDロードスターは2011に開発がスタートしており、日米欧のデザインセンターが共同でデザインを ...
続きを見る
-
「人生に悔いはない」。初代マツダ・ロードスターの内外装をデザインした田中俊治氏が75歳で亡くなる。マツダを辞した後はカワサキでZ1000などを手掛ける
| 初代マツダ・ロードスターはアメリカで企画され、アメリカと日本のデザイナーがその形を磨き上げた | 外装には能面や分銅、内装には畳といった日本的なモチーフも さて、初代(NA)マツダ・ロードスターは ...
続きを見る
-
マツダ「我々はさらにプレミアムを目指す」。なおマツダのデザイン部門トップはRX-7のデザイナーの息子、つまり親子二代でマツダ車をデザイン
| 同じ会社で「親子二代がデザイナー」というのは極めて珍しい | 英国Autocarがマツダの常務執行役員、前田育男氏の言として「さらにプレミアム化を目指す」という内容を紹介。これによると、「プレミア ...
続きを見る
参照:CARBUZZ