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| V12ヴァンキッシュはイアン・カラムによるはじめてのアストンマーティンであり、その後の方向性を決定づける一台に |
初代V12ヴァンキッシュは新世代のデザイン、昔ながらの職人による製造方法が混在した傑作であった
さて、非常に珍しいアストンマーティンのコンセプトカー、「プロジェクト・ヴァンキッシュ(1998年)」が中古市場に登場。
これは2001年に発売された市販モデル「V12ヴァンキッシュ」の開発のために作られたプロトタイプで、市場に出てくることは基本的に「無い」たぐいのクルマであり、しかしなんらかの理由にて(アストンマーティンに)廃棄されることもなくコレクターの手に渡ったものと思われます。
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アストンマーティン・プロジェクト・ヴァンキッシュはこんなクルマ
そこでこのプロジェクト・ヴァンキッシュを見てみると、いくつか市販モデルのV12ヴァンキッシュと異なるところがあり、フロントウインカーの位置やテールランプ形状などに相違が見られ、さらにはドアミラー、リアバンパー形状にも違いがあるもよう。
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なお、このプロジェクト・ヴァンキッシュおよびV12ヴァンキッシュにおいて触れておかねばならないのは、これらはイアン・カラムによってデザインされた新世代のアストンマーティン第一号であったということ。
イアン・カラムはのちにアストンマーティンDB9、ジャガーXK / F-Type / F-Paceなどをデザインした人物で、アストンマーティンに新しい風を吹き込み、現代にまでつながるデザイン言語を確立したデザイナーとしても知られます。
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プロジェクト・ヴァンキッシュに搭載されるエンジンはフォード製(コスワースによってチューンされている)6リッターV12ですが、市販モデルに積まれていたのはDB7に積まれていた5.9リッターV12の改良版。
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ブレーキローター、エンジン、フューエルリッドを見るに「レーシングカーに近い」という印象もあり、現代の「エレガントな」アストンマーティンとはまた異なる仕様を持つのは興味深いところです(かつてのアストンマーティンは獰猛なクルマとして知られていた。優雅な内外装を持つために忘れてしまいがちであるが、アストンマーティンのルーツは高級車ではなくレーシングカーである)。
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ちなみに市販モデルのV12ヴァンキッシュの車体構造は「アルミ+カーボン」で、そこに職人が手作業で叩き出したパネルを架装するといった手法が用いられており、実際にレーシングカーのような構造を持っている、ということになりますね。
もちろん現在のアストンマーティンではこういった「職人叩き出し」のパネルは使用されておらず、その意味ではV12ヴァンキッシュ、そしてプロジェクト・ヴァンキッシュは歴史的に価値が高い、と考えることもできそうです。
なお、サイドスカットルはじめ各部ガーニッシュなどは「無垢材からの削り出し」のようにも見え、これも現代のクルマでは非常に考えにくい(コストが掛かりすぎて採用できない)ところかもしれません。
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アストンマーティン・プロジェクト・ヴァンキッシュのインテリアはこうなっている
そしてこのプロジェクト・ヴァンキッシュに目を移すと、外装や機能パーツ同様に「レーシングカー然とした」雰囲気が感じられ、しかしヴィンテージレザーを採用したシートやフロアマットにもダイヤモンドステッチが施されるところが「さすがアストンマーティン」。
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こういった部分を見ると、「いかなるクルマであってもエレガンスを忘れない」というアストンマーティンの基本姿勢、そして英国紳士気質に改めて感銘を受けます。
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なお、インテリアにはカーボンファイバー、そしてシルバーのパーツが多用されていますが、これはイアン・カラムが「従来のアストンマーティンのイメージから脱却するため」意図的に未来的な雰囲気を導入し、そしてウッドパネルの使用を避けたためだと言われていて、そういった意味でもこのプロジェクト・ヴァンキッシュがアストンマーティンのターニングポイントであったのかもしれません。※ただしコストの問題からか、市販モデルではカーボンファイバーの大量採用が見送られている
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参考までに、イアン・カラムは現在自身のデザインオフィスを開設し様々な分野にて活躍していますが、V12ヴァンキッシュは同氏のお気に入りだと見え、自らV12ヴァンキッシュのレストモッド”ヴァンキッシュ25”を発表したことも(インテリアはやはりシルバー、そしてカーボンファイバーが多用されており、同氏はプロジェクト・ヴァンキッシュのインテリアに格別の思い入れがあったようだ)。
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