| 現在のMGは中国資本、中国製ではあるが、とくに欧州では高い人気を誇っている |
MGはこのまま全世界での販売を伸ばす可能性が非常に高い
さて、現在は中国資本となったMGが久しぶりに発表したオープンスポーツ「サイバースター」。
これはかつての(英国資本だった時代の)MG製オープンカーを連想させる外観を持つEVですが、今回そのサイバースターに対し「1950−1960年代のMGAやMGBへのオマージュとなる」特別仕様車「レッド トップ エディション(传奇四驱红篷版)」が追加されることに。
なお、その価格は365,800元(現在の為替レートにて約730万円くらい)に設定されており、初回の販売台数は100台に絞られ、納車は3月から開始される、とアナウンスされています。
そのカラーリングは当時のMG車を再現
このMGサイバースター レッドトップエディションは上述の通りMG A(1956年)、MG B(1967年)、そしてMGマグネッテ(Magnette、1958年)を強く意識しており、このボディカラーとトップのカラー(さらには内装色)も当時これらのモデルに用意されていたもの。
ただ、現在のMGは当時の資本とは全く異なっていて、2005年のMGローバーの経営破綻とともにMGブランドが南京汽車に買い取られ、さらにその後南京汽車が上海汽車(SAIC)に吸収されたため、現在のMG(中国では上海名爵)は上海汽車のひとつのブランドとなっているわけですね。
そしてこのサイバースターは当初中国で配信されるゲームの中に登場するクルマとして考案されたものの、その反響のあまりの大きさから市販化されることになり、このサイバースターのシャシーチューニングは元フェラーリF1チームの在籍メンバーが担当したと伝えられています。
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なお、このサイバースターは(高性能バージョンだと)前後にエレクトリックモーターを内蔵しトータルで536馬力を発生させ、最高速度200km/h、一回の満充電あたり航続距離520km、そして0−100km/h加速は3.2秒というスペックを誇りますが、中国現地では大きな話題を呼んでおり、発売に際しては多数の予約が入ったということも伝えられていますね。
ちなみに上海汽車は中国にてゼネラルモータースと提携しているという事情もあり、このサイバースターには同社のパーツが多数使用されていることもわかっています。
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MGは現在欧州市場でその存在感を発揮
なお、現在MGが中国企業傘下にあることは上で述べたとおりですが、2023年に84万台を超える世界販売を達成し、5年連続で輸出台数において中国をリードする自動車ブランドとしての地位を確保しています。
とくに欧州市場では(MGは)非常に高い人気を誇っているといい、これは「中国資本になったとしても、いまだMGは欧州のブランドとして認知されているから」だとされ、つまりは多くの人がMGに対して抵抗を持っていないのだと思われます。
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実際のところ、こういった状況を受け「さらに中国の自動車メーカーが欧州市場で販売を伸ばそうとするならば、欧州の自動車ブランドを買収し、地元イメージを出しつつ中国色を払拭するのが手っ取り早い」とも言われているほどであり、これはつまり「欧州では中国車に対して興味を持つ人も少なくない」ということなのかもしれません。
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おそらく南京汽車、上海汽車は現在のようなアドバンテージを認識してMGを買収したわけではなかったと想像しますが、思いがけず電動化時代に突入することでMGブランドの歴史を活用しそのブランド力の恩恵を受けることになったのだと考えられ、これはなんとも興味深い現象だと思います。
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参照:CarNewsChina, Auto Home, MG