イスパノ・スイザが「空でも飛びそうな」リアウイングを持つ新型ハイパーカー、カルメン・サグレラのティーザー動画を公開。120年の歴史で黄金時代を築いた航空機への敬意か

｜　イスパノ・スイザはその創業時のコンセプトであった「電気自動車」「超高級」をコアとして現代に復活　｜

販売台数は少なそうではあるものの、定期的にニューモデルを発売しているところを見ると、成功した部類に入るのかもしれない

さて、不死鳥のごとく蘇ったイスパノ・スイザが「カルメン」「カルメン・ブローニュ」に次ぐ3番めのハイパーカー、「カルメン・サグレラ」のティーザー動画を公開。

この新型車はイスパノ・スイザのブランド設立120周年となる今年6月に発表される予定であり、これまでの2モデルと同様にピュアエレクトリックパワートレーンを搭載することになる、と報じられています（バッテリー容量は25％増加するとのことなので、1,114馬力のカルメン・ブローニュよりも強力なクルマになるのかもしれない）。

新型イスパノ・スイザ・カルメン・サグレラのリアウイングは「航空機のよう」

そして今回のティーザー動画で最も目を引くのは航空機ばりのリアウイング。

動画においてもこのウイングをいくつかの確度から捉えた映像を使用していて、これがカルメン・サグレラ最大の特徴となることは間違いなく、これについてイスパノ・スイザは「真の意思表明」と表現しています。

「カルメン」の名を継続することでもわかるとおり、カルメンの流れをくむデザインを持つこともティーザー動画から確認でき（実際にテールランプは同様の意匠を持っている）、しかし1911年に建設されたイスパノ・スイザ最初の工場所在地「ラ・サグレラ」の名を関しているところから、これまでのモデルに比較しても「よりルーツに近い」ディティールが採用されるのかもしれません（実際のところ、イスパノ・スイザのモデルはどんどん先祖返りしており、”歴史”をコアバリューだと再認識した可能性が高い）。

そしてこのカルメン・サグレラについても（これまでのモデル同様）「数億円」のプライスタグを掲げることになるかと思われますが、この価格の納得性を高めるために徹底したパーソナリゼーションプログラムが導入されると考えてよく、極めてエキゾチックなクルマとなるのは間違いないかと思われます。

イスパノ・スイザはこんな自動車ブランド

ここで「イスパノ・スイザ（Hispano Suiza）」についておさらいしておくと、同ブランドは1898年に（驚くべきことに）電気自動車メーカーとして設立されており、創業時の社名は「ラ・クアドラ（創業者の名前がエミリオ・デ・ラ・クアドラ）」。

その後1902年に高級車の製造を標榜してイスパノ・スイザ（正式名称は「ファブリカ・イスパノ・スイザ・デ・オートモービル」）へと社名を変更していますが、このイスパノ・スイザという社名は、創業メンバーがスペイン人（ダミアン・マテュー）とスイス人（マルク・ビルキグト）であったことから「スペインの、スイスの」を意味するHispano Suizaと命名されています（欧州の自動車メーカーにしては珍しく人名を採用していない）。

さらにその後、イスパノ・スイザは航空機用エンジン、兵器の製造によって大きく成長し（どこかの段階で”電動”という方向性を捨てたようだ）、1942年にはブガッティすら買収するほどの規模に成長するものの、当時主流となりつつあったジェットエンジンの製造に出遅れたために衰退してしまい、その後サフラングループに吸収されています（サフラングループに吸収されたイスパノ・スイザは現在も別途存続しているが、自動車を製造していない）。

その後2010年代に入り、イスパノ・スイザ創業者のひ孫であるミゲル・スケ・マテュー氏が会長を務める形で現在のイスパノ・スイザがバルセロナ拠点にて復活し、2019年には「カルメン」、2020年には「カルメン・ブローニュ」を発売している、というのがここまでの流れ。

そして今回は「カルメン・サグレラ」が登場することとなるわけですが、創業当時のイスパノ・スイザが目指していた「電気自動車」であるのはもちろん、その歴史において華々しい成長を遂げた黄金期の立役者である「航空機」をモチーフとしたのがこのサグレラなのかもしれません。

新型イスパノ・スイザ「カルメン・サグレラ」のティーザー動画はこちら

合わせて読みたい、イスパノ・スイザ関連投稿

参照：Hispano Suiza