| さらに次世代Aクラスにもガソリンエンジン搭載モデルが設定されるようだ |
メルセデス・ベンツは「2025年に電動化車両の販売比率50%」を目指していたが、2024年の想定では21%にとどまり、この達成は難しい
さて、メルセデス・ベンツは先日行った決算発表会にて「(本来であれば2030年に終了させるはずであった)ガソリン車の継続生産」について言及していますが、今回は「Aクラスの生産を2026年まで継続する」ことが決定されたとの報道。
Aクラスは(御存知の通り)メルセデス・ベンツのボトムを担うモデルですが、メルセデス・ベンツはこのセグメントの競争激化、AMGやマイバッハなど高価格モデルに集中すること、ピュアエレクトリックバージョンへの置き換え等の理由から、ガソリンエンジンを搭載するAクラスの早期廃止(予定では2024年)を決めていたわけですね。
実際に米国では2022年にAクラスが「廃止」されている
なお、アメリカだとすでに2022年にはAクラスの販売が終了しており、他地域でも順次廃止の予定であったものの、今回はその決定を覆し「販売延長」という判断を下していて、その理由としては単に「Aクラスの代替となるはずであったエントリーEVの製造コストが下がらず、顧客の求めるレベルに達しない(結果的に売れない)」こと、「近年報じられるEVに対する市場の興味失速」だとされています。
メルセデス・ベンツは、いわゆる「電動ファースト」戦略の一環として”2030年までに自社製品を完全に電動化する”準備を進めており、2025年には「販売の半数を電動化車両(EVとPHEV)とする」としていたものの、2024年の予測でも21%にとどまるといい、よってこれら目標の達成は非常に困難だと判断。
実際に「2030年であっても、電動化車両の販売比率は(100%ではなく)50%くらいだろう」というのが同社の最新の見立てであり、これをベースにメルセデス・ベンツはEVのみのスタンスを放棄し、メルセデス・ベンツCEO、オラ・ケレニウス氏が言う「より柔軟な」モデル戦略へとシフトすることになります。
さらにオラ・ケレニウスCEOは「自動車業界の100年に一度の変革が(完全電動化に向けて)一直線に進むと考えられない。 山もあれば谷もあるでしょう。EVとICE(内燃機関)車のコストが同等になるのは何年もかかります。それは今の価格を見れば明確です」とコメント。
今後メルセデス・ベンツはどう動くのか?
そこで気になるのがメルセデス・ベンツの今後ですが、はずはAクラスの継続生産に向けてドイツのラシュタット製造工場を調整しており、次世代モデルについても(現在のAクラスのクラスに採用される)MFAコンパクトカープラットフォーム、そしてその電動版であるMMAプラットフォーム搭載車を同時に生産できる体制を整えるもよう。※MMAプラットフォームはもともと、ICE、PHEV、EVドライブトレインに対応できるよう考案されている
つまり、次世代Aクラスは「ガソリン、EV」とが存在するものと考えられ、そしてそれらは(現行モデルがそうであるように)プラットフォームを共有するということになりますが、次世代Aクラス(とその派生モデル)については「CLA、CLA シューティング ブレーク、GLA、GLB」が投入されることがわかっているものの、Aクラスハッチバック、Aクラスセダン、Bクラス(ミニバン)が生き残れるのかどうかは今のところ不明です。
そしてこれらのガソリン版についてはM282エンジン(4気筒)を搭載する予定だとされ、これは中国の吉利汽車で製造されることとなり、将来の吉利汽車のクルマ、Lynk&Co、ボルボにも使用される予定だと報じられ、これを積むメルセデス・ベンツ第一号は「CLA」となるようですね。※吉利汽車はアストンマーティンとも提携を行っており、自動車業界における影響力を強めてゆくのかもしれない
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参照:Autocar