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GRカローラ「2件目の炎上」が報告される。両方ともエンジンブロックに問題があったものと思われるがトヨタは現時点では「いかなる対応もいたしません」【動画】

GRカローラ「2件目の炎上」が報告される。両方ともエンジンブロックに問題があったものと思われるがトヨタは現時点では「いかなる対応もいたしません」【動画】

| 3件目、4件目のGRカローラ「炎上案件」が出てくればトヨタとしても姿勢を再考せねばならないだろう |

なお、このエンジンはオーバーレブによって一瞬で破損することが知られている

さて、先日はGRカローラが走行中に燃えてしまい、しかしトヨタが保証修理含むいかなる対応をも拒否したという話題をお伝えしましたが、今回さらに「追加で」GRカローラが全焼したというオーナーが登場しネット上が騒然としています。

まず一台めはブライアン・バンクスなる人物が所有するGRカローラで、ここでおさらいしておくと、走行中に(おそらくエンジンの)どこかが故障して発火し、路肩に止めて消防隊を呼んだものの到着前には全焼してしまったという案件。

またしてもGRカローラにエンジントラブル。今回はエンジンルームから発火、車両の前半分を焼いてしまう大惨事に【動画】
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トヨタはGRカローラ炎上に際し一切の対応を拒否

幸いなことにブライアン・バンクス氏は保険に加入していたため、残っていた支払いの多くを保険にてカバーすることができ、それでも不足した分をトヨタへと請求したそうですが、ほどなくしてトヨタの「法務クレームアナリスト」から受け取った手紙には、この件に関していかなる支援も提供しないと(友好的ではあるが)明確に断りの文章が記されていたほか、時速85マイル(約137キロ)を超えて走行する危険性、そして今回の問題の一因はタイヤにあると言及されていたのだそう。

「スピードが本当に私を悩ませた部分です。 電話でトヨタと話したときに、この点がさらに明確になりました。オーナーズマニュアル全体で、スピードを出さないことが一度だけ記載されており、文脈から判断すると、タイヤに関連しているようです。それは理にかなっています。トヨタは、誰かがスピードを出しすぎてタイヤがパンクした場合にトラブルに巻き込まれることを望んでいません。しかし、エンジンが壊れることは、タイヤとは関係があるはずがありません。」

ブライアン・バンクス

そしてトヨタのブランドエンゲージメントセンターがブライアン・バンクス氏に保証請求に関して伝えた内容は次のとおり。

あなたの懸念に応えて、2024年6月24日に車両検査が行われました。車両の最後の走行距離計の読み取り値は23,413マイルでした。CarFaxのレポートによると、2024年2月12日に、事故による損傷が前部、左前部、右前部、右後部に報告されています。検査の時点で、車両の前部とエンジン室に火災による損傷がありました。エンジンブロックの内側の上部には、エンジン内部の損傷による小さな穴がありました。ターボチャージャー、エンジン底部、アンダーキャリッジ、排気管にオイルの残留物が見つかっています。

オーナーズ マニュアルには、制限速度を超えて運転しないよう警告されています。法定制限速度で許可されている場合でも、車両に高速対応タイヤが装着されていない限り、時速85マイルを超えて運転しないでください。時速85マイルを超えて運転すると、タイヤが破損し、制御を失い、怪我をする可能性があります。そのような速度で運転する前に、必ずタイヤ ディーラーに相談して、車両のタイヤが高速対応タイヤであるかどうかを確認してください。当社の検査結果とこの事故に関する事実に基づき、この件に関して当社はいかなる支援も提供できません。

これを受けてブライアン・バンクス氏は(トヨタの言う)事故による損傷とは、トラックが落とした破片により塗装が剥離した表面的なものに過ぎず、クルマの機能や安全性を損なうものではないということを説明する書類をトヨタに送り、さらに電話をかけて「なぜ請求が却下されたのか」具体的に尋ねたところ、トヨタからの回答は「単にクルマを乱用したために火災が発生した」。

「彼らは、ある時点で、車速を含むデータパケットを受信したと言っていました。いつ、どこで受信したのかは教えてくれないので、それがどの程度関連があるかはわかりませんが、クルマは時速114マイルで走行しており、それが彼らのいうクルマの乱用です。彼らは、GRカローラのオーナーがサーキットを走ることを想定していません。どうやら、彼らの見解では、一定の速度を超えるとすぐに”乱用”ということになるようです。」

なお、この火災の2週間前、ブライアン・バンクス氏は、クルマの調子が悪く、シリンダーに問題があるように感じ(おそらくノッキング)、しかし数分間エンジンを切ると正常に戻ることに気づき、そこでGRカローラをディーラーに持ち込んでオイル交換と検査を依頼することになりますが、ここではディーラーは何も問題を見つけられず、問題はオクタン価向上剤か燃料のオクタン価が高すぎることによる可能性があると伝えられるにとどまったこともあわせて説明がなされています(同氏はトヨタが推奨するプレミアムガソリンを使っていた)。

現時点ではまだまだブライアン・バンクス氏とトヨタとの調整が続いている段階だと思われますが、ここで「2件目」の問題が発生します。

2件目のGRカローラの火災は「完全に炎上」

そこの二件めのGRカローラの「炎上」犠牲者となったのはセバスチャン・R氏で、同氏はカリフォルニアからアリゾナへ向かう旅行の道中にてこれに遭遇し、その時点での走行距離はわずか9,210マイル(ちょうど保険の適用期間が切れていたときに起きたようだ)。

「最初、トヨタコネクト(トヨタのオーナー向けサービス)を通じて、エンジンをチェックするようにという通知が携帯電話に届いたんです。電子制御に問題があるらしく、おかしいと思いました。そしてその時、ダッシュボードの警告表示がおかしくなり始め、パワーが落ちた感じはしなかったのですが、前方から煙が出始めたのでクルマを停めた。次に気がついたのは、エンジンベイから火が上がっていたということです。」

なお、このセバスチャン・R氏の場合は(1件目の火災とは異なって)車両が丸ごと燃えており、もちろん同氏はこれについてトヨタへと保証請求を贈るものの、トヨタは(原因が確定していないこと以外に具体的な理由を述べないまま)請求を却下。

ただしブランドエンゲージメントセンターから受け取った手紙では、ブライアン・バンクス氏のケース同様に”エンジンブロックの穴”について言及されています。

「あなたの懸念に応え、2024年6月6日に車両検査が実施されました。前回のサービスセンター訪問時の走行距離計は8,146マイルです。今回車両はひどく焼けており、エンジン ブロックの損傷がエンジンの後ろ側近くで確認されました。広範囲にわたる焼損のため、車両からデータを回復できませんでした。検査結果に基づくと、火災の原因を特定できません。したがって、当社では支援を提供できません。」

なお、セバスチャン・R氏がトヨタに連絡を取ろうとしても、トヨタが提示した連絡先は「間違って」いて電話が繋がらず、トヨタと連絡を取ることができたのはその1ヶ月後であったとも語っており、そして現在もトヨタとの調整が続いていることについても言及しています。

GRカローラは素晴らしいパフォーマンスを誇るホットハッチであり、サーキット走行を視野に入れたクルマではありますが、サーキットを走れば時速85マイル(137km)はもちろん114マイル(138km/h)をも軽く超えることになり、これを「乱用」というのであればユーザーとしてはこのクルマを「いったいどう扱えばいいのか」ということにもなりかねず、これはちょっと前に「サーキットを走ったから」といって保証を無効にしたGR86の件を思い出させます(その後トヨタは姿勢を一転させて保証を適用している)。

GR86
「GR86のオーナーがスポーツ走行→エンジン破損→トヨタが保証修理を拒否」した2度めの案件。ネットで話題になった後、前回と同じく「やっぱり保証の範囲内」と態度を急変させる

| 実際のところ、同じ原因(シール材のオイルライン混入)と思われる例は11件が報告されている | トヨタがより高みを目指すには、「ディーラーの指導教育」が急務かもしれない さて、先日報じられた「GR8 ...

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参照:Jalopnik, Motor1

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