| たしかに不特定多数の人が乗る航空機であれば、最大限の安全を確保するためには必要なのかもしれない |
航空機業界には多数の「ルール」が存在する
さて、飛行機に乗るといつも思うのが「なぜ禁煙のサインがいまだに装備されているのか」ということ。
古い機体であればまだしも最新の機体にもこれが装備されていますが、これはなんと「米国連邦政府によって義務付けられているから」なのだそう。※他の国や地域では不明であるが、航空機の主要市場である米国にてこれが義務となっている以上、機体の共通化という観点から結果的に世界標準になっているものと思われる
ただしこのスイッチを手動でオフにするための規制は緩和される
正確に言うならば「運航中のすべての旅客用飛行機は、乗務員が手動にて消灯できる点灯式の”禁煙”標識を装備しなければならない」というもので、つまりは「点きっぱなし」でも問題があるというわけですね。
実際のところ、ユナイテッド航空で導入した5機のエアバスA321neo機は(今年6月に)手動でこのサインを消灯することができずに運航停止となったことがあるそうですが、こういった案件が示す通り、航空機業界にとってこれは頭の痛いも問題でもあり、常々業界団体(連邦航空局)はこのサインの装備と手動点灯 / 消灯の義務化廃止を訴え続けてきたものの、このスイッチ自体の廃止には至っていないもよう。
ただしこれにはちょっとした動きがあって、それは「サイン自体は継続しなければならないが、手動で消灯できる機能は省いていい」という決定が8月23日になされたことで、おそらく今後は「(他の路線においても)この表示は継続され、しかしずっと点灯しっぱなし」となるのかもしれません。
商用航空機での禁煙は2000年に全面的に禁止されている
なお、米国において商用航空機での喫煙が(国内・国際便すべてにおいて)禁止されたのは2000年ですが、それまでは信じがたいことに機内でも喫煙ができ、しかし飛行機が地上で給油しているときなど「タバコに火をつけるのが危険な状況」では喫煙が許されておらず、よって喫煙の可否を知らせるためにこのサインが装備されていたわけですね。※米国外での禁煙実施の対応はまちまちで、当時は中国南方航空がもっとも禁煙を遅く導入した航空会社だと言われていた
そして現在では「いかなる状況でも」喫煙が禁止されているので、このサインが消灯する必要はまったくないわけですが、それでも「消すことができる仕様でなくてはならない」という決まりが(昨日まで)あったのはちょっとナゾ。
なお、禁煙の完全実施から24年が経過し、もはや航空機における禁煙は当たり前であるという認識を誰もが持っているかと思いますが、統計によるとアメリカ人の10%以上がいまだ飛行機に乗ったことがなく、そして誰にとっても”初めてのフライト”が存在するため、米国連邦政府がこのサインそのものを航空機から取り外していいという許可を与えることはないのかもしれませんね。