
Image:Mercedes-Benz
| さらにメルセデス・ベンツは1886年以降に製造された車両のパーツ供給を行う準備ができている |
そしてなによりも重要視するのは「オリジナルの仕様の維持」である
さて、現在ジャガーやアストンマーティン、ベントレーといった「長い歴史を誇る」自動車メーカーに見られる一つの傾向が「過去のアイコニックなモデルの復刻」。
これは「(ランボルギーニ・カウンタックLPI800-4のような)オマージュ」ではなく「そのまま」過去のモデルを蘇らせるというもので、当時の材質や設計はもちろん、当時と同じ工具を用い、当時と同じ方法によって生産するという手法を用いたもの。
さらにアストンマーティンの場合だと、ジェームズ・ボンド映画「007/ゴールドフィンガー」に登場したボンドカー仕様のDB5を再現することによって巨額の利益を獲得することに成功しています。
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メルセデス・ベンツはこの流れに乗らず
その一方、豊かなモータースポーツ、そして市販車の歴史を持ちながらもこの流れに乗らない自動車メーカーもあり、ブガッティ、ポルシェ、フェラーリ、そしてメルセデス・ベンツもそれらの中の1社です。
メルセデス・ベンツというと「クラシックカーがオークションにて高額落札されること」で有名であり、先日も(オークションではなく)個人コレクターへと、自動車史上最高額にて300SLRウーレンハウト・クーペが売却されたということが公に発表されたばかりです。
こういった事実を見るに、メルセデス・ベンツが「クラシックカーを復刻生産すれば」とんでもない額のお金を稼げるんじゃないかとも考えるのですが、今回「メルセデス・ベンツはけしてその流れに乗らない」ことが明らかに。
これはメルセデス・ベンツ・ヘリテージ部門の責任者であるマーカス・ブライシュヴェルト氏がカーメディアの取材に対して語ったもので、同氏によれば「(クラシックモデルの再生産について)それをやるには、まず私を殺さねばなりませんね」。
さらにマーカス・ブライシュヴェルト氏は以下のようにも語っています。
「例えば、メルセデス-マクラーレン SLR スターリング・モスの所有者は、その希少性に誇りを持っています。しかし、もし我々が50年後に”さらに75台を生産する”と発表すれば、その価値は損なわれますよね。つまり”レストア”と”復刻生産”は全く異なるものなのです」
ただし興味深いのは、復刻車の可能性を完全に否定したものの、「もし過去に販売されていないプロトタイプがあれば、それを公道仕様として復活させることはあり得る」と述べたことで、たとえば(ヴィジョン・ワンイレブンの元ネタである)「C111」であれば「考慮に値するが、優先事項ではない」とも述べたもよう。※つまりC111をレストアし、コレクターに販売する可能性も少ないながらも存在する
さらに同氏は「メルセデス・ベンツのヘリテージ部門は、クラシックカーの修復において完全なオリジナルの維持を重視している」とも述べ、実際に、生産終了後15年間にわたって純正部品を供給しており、世界65か所の専門ワークショップで1886年から最新モデルまでの全車両を修理可能な体制を整えていることにも触れています。
「レストアとは、ある意味で破壊を意味します。よって、重要なモデルに関しては、完全にオリジナルの状態を保持するリファレンス車両を用意するようにしています。例えば、ある車両の塗装を元の状態に戻すため、別の車両のガスタンクの裏側からオリジナルの塗料成分を化学分析し、完全に同じものを再現する、といったことですね。」
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これらのコメントを見る限り、ジャガー、ベントレーやアストンマーティンが「復刻ビジネス」に積極的なのに対し、メルセデス・ベンツでは「オリジナルの価値を維持すること」を優先する姿勢を貫いていて、これはフェラーリにも通じる信念であるとも言えそうです。
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参照:CARBUZZ