
| 中古市場では「プレミアム性」よりも「現実的なクルマとしての価値」が重要視される |
中古相場は新車価格に関係なく「需要と供給」によって価格が決まる
さて、先程は「値下がりしないクルマ」のランキングをお伝えしましたが、今回は「値下がりするクルマ」。
これは中古車ポータル、iSeeCarsが「新車登録から5年が経過した80万台」の数値を調査した結果としてのランキングですが、EVは他の(家電やスマートフォンなどの)急速に進化する技術と同じように、企業が革新を続ける中で急激に価値を失うことが示されています。
”値下がり”トップはジャガーのEV「I-Pace」ですが、これは「EVである」ことに加え、製品の信頼性、それに対する補償体制が懸念された結果なのかもしれません。
テスラとマセラティの値下がりが半端ない
そこで「新車登録から5年後」の値下がりランキングを見てみると、トップのジャガー I-Paceはなんと72.2%も価値を失い、そこからリストの下の方まですべてが「60%オーバーの下落率」を示していて、これらに共通する要素は「EVもしくは高級車」。
EVが「値下がり」する理由につき、そのクルマそのもののバッテリー性能が劣化することに加え、技術革新によって後から出てくる新車の性能が高まっていることもあって「ダブルで」その性能が見劣りするためだと思われます。
そして高級車が値下がりする理由については、もともとの価格が「単に高い」ため、中古市場では「適正価格」にアジャストされることがその理由ではないかと考えていますが、「高級車」の中でも特にセダンの価値が失われやすいようですね。
さらにiSeeCarsのエグゼクティブアナリスト、カール・ブラー氏は「新車購入者はプレミアムブランドや性能やラグジュアリー機能を重視しますが、中古車市場ではこれらの要素がそれほど重視されないため、高級車は一貫して高い減価償却率を記録しています」とコメントしており、新車市場と中古市場との差異についても言及しています。
中古市場では新車価格に関係なく「需要と供給」によってその価格が決まりますが、これらの事情を鑑みるに、中古市場における価格が「そのクルマの実力」ということなのかもしれませんね。
モデル | 5年間の平均値下がり率 | 新車価格との差額 |
ジャガーI-Pace | 72.2% | $51,953 |
BMW 7シリーズ | 67.1% | $65,249 |
テスラ・モデルS | 65.2% | $52,165 |
インフィニティ・QX80 | 65.0% | $53,571 |
マセラティ・ギブリ | 64.7% | $70,874 |
BMW 5シリーズ | 64.7% | $47,457 |
日産リーフ | 64.1% | $18,043 |
マセラティ・レヴァンテ | 64.7% | $64,991 |
テスラ・モデルX | 63.4% | $53,846 |
キャデラック・エスカレードESV | 62.9% | $56,996 |
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参照:Motor1