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「中国で、中国のために」。VWが上海にて「今までのEVとは全く違うデザインや装備」を持つ次世代EVコンセプト3台を中国向けに発表、現地の嗜好へと対応

「中国で、中国のために」。VWが上海にて「今までのEVとは全く違うデザインや装備」を持つ次世代EVコンセプト3台を中国向けに発表、現地の嗜好へと対応

| フォルクスワーゲンは「ローカル化」姿勢をいっそう強める |

VWはトヨタとともに「中国市場を諦めない」姿勢を貫いている

フォルクスワーゲン(VW)は昨年の北京モーターショーで「ID. Code」コンセプトを披露していますが、2025年の上海モーターショーでは中国市場に特化した新型EVコンセプト3台を発表することに。

その名も「ID. Aura」「ID. Era」「ID. Evo」の3台で、どれも、まるで明日にでも量産されそうな完成度を持っており、コンセプトカーというよりは「市販車のプレビュー」といった感じでもありますね。

中国仕様のAIベース運転支援が標準搭載へ

この3台はすべて、中国市場に合わせて高度な自動運転技術(AIベース)を標準搭載。

VWは2026年までに「レベル2+」の運転支援(特定条件下でのハンズフリー走行)を実現する予定であるとも発表しており、これは完全自動運転(レベル3)ではないものの、追い越し、右左折、合流などを自動で行えるというものです。※ただしドライバーは常に運転に注意を払い、すぐに必要な操作を行える状態でなくてはならない

また、素材の上質さ、後席の頭上空間の広さ、ロングホイールベース、(一部モデルで)ヒューマノイドAI搭載といった、中国ユーザーの嗜好に応える設計も徹底され、地域特化型デザイン採用戦略をさらに推し進めてきた結果であるとも考えられますが、同じフォルクスワーゲングループに属するアウディは「AUDI」なる中国専売ブランドを立ち上げており、グループあげての「中国対策」を打ち出していることもわかりますね。

フォルクスワーゲンが上海で発表した3台の注目モデルはこんな感じ

そこで今回VWが発表した3台の新型コンセプトカー(それぞれ合弁先やブランドが異なる)をざっと紹介してみたいと思います。

【ID. Era】(SAIC Volkswagen)

  • 大型3列シートSUV
  • EV+レンジエクステンダー(発電用エンジン)を搭載
  • EV単体航続距離:約300km
  • 総合航続距離:約1,000km
  • 長距離移動や家族利用を想定したモデル
World premiere: Volkswagen unveils in Shanghai the concept vehic

【ID. Evo】(Volkswagen Anhui)

  • スタイリッシュな大型SUV
  • 若年層向け・ファッショナブル志向
  • 「ID. Unyx」ブランドに属する
  • 800Vアーキテクチャ採用で急速充電対応
  • OTA(無線アップデート)・高性能電子制御システム搭載
World premiere: Volkswagen unveils in Shanghai the concept vehic

【ID. Aura】(FAW-Volkswagen)

  • 新開発のCMP(コンパクト・メイン・プラットフォーム)を初採用
  • スマートで丸みを帯びたデザイン
  • スマートフォンのような操作性のインフォテインメントUI
  • ヒューマノイドAIアシスタント搭載で、音声操作なども自然に対応
  • 都会的な若者や通勤用途をターゲットにしたコンパクトセダン
World premiere: Volkswagen unveils in Shanghai the concept vehic

“中国で、中国のために”という開発戦略

今回のコンセプトカー3台は、VWが進める「In China, for China(中国で、中国のために)」戦略の成果として開発されていますが、VWにてデザイン責任者を務めるアンドレアス・ミント氏によれば、これらのモデルのデザインは2024年に発表された「ID. Code」から進化したもの。

さらに、VW中国テクノロジーセンターのCEOであるトーマス・ウルブリヒ氏は、「チャイナスピード」をもって今後34ヶ月以内の市販化を目指していると明言し、VW CEOのトーマス・シェーファー氏も、「これらのモデルは戦略の“見える成果”である」と強調することに。※フォルクスワーゲンは中国企業との協力姿勢を強め、とくに開発スピードの速さを追求している

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参照:Volkswagen

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