
Image:ABT Sportline
| ABT Sportslineが送り出す、現代のパフォーマンスを宿した80年代の名車 |
レストモッド熱はとどまるところを知らない
フォルクスワーゲングループのクルマを対象とした名門チューナー、ABT Sportsline(アプト・スポーツライン)が、1980年代の名車「Audi Ur-Quattro(クワトロ)」を大胆に現代的にアップデートしたレストモッドモデルを発表。
この特別な一台は、限定30台のみの生産で、なんとわずか3時間で完売するという大反響を呼んでいます。
アウディ「Ur クワトロ」とは?
そこでまずこのアウディ URクワトロについて説明しておくと、これは1980年から1991年までアウディが製造したクーペ型の乗用車。
「Ur-Quattro」という名称は、「(980年のジュネーブモーターショーで発表された)オリジナルのクワトロ」という意味で、アウディのフルタイム4WDシステム「クワトロ」を最初に搭載した市販車であったことに由来します。
アウディ Ur クワトロの概要
- 革新的な4WDシステム: それまでオフロードや悪路走行を目的としていた4WDシステムを高性能なオンロードモデルに搭載するという画期的なコンセプトを実現し、この小型・軽量なクワトロシステムは、その後の自動車業界に大きな影響を与えることに
- モータースポーツでの活躍: アウディはこのクワトロシステムをラリーマシンに採用し、世界ラリー選手権(WRC)で圧倒的な強さを見せつけることに成功。特に、ホイールベースを短縮したスポーツクワトロはグループBカテゴリーで数々の勝利を挙げ、アウディのブランドイメージを大きく向上させる(このクルマがなければ現在のアウディはなかっただろう)
- 高性能なエンジン: 初期モデルは直列5気筒SOHCターボエンジンを搭載し、その後、排気量拡大や20バルブDOHC化などの改良を経て、最終的には220PSの最高出力を誇るモデルも登場
- 美しいデザイン: ジウジアーロがデザインした直線基調のスタイリングと、ブリスターフェンダーが特徴的で、現在でも高い人気を誇っている
- 希少性: 1991年の生産終了までに製造されたのは約11,452台とされており、現在では希少な存在に
Image:ABT Sportline
アウディ Ur クワトロ復活の裏にはCEO自身の情熱プロジェクトがあった
このレストモッドの着想は、ABTのCEOであるハンス=ユルゲン・アプト氏の個人的なプロジェクトがきっかけであったと説明されており、それによると「父からチューニング事業を引き継いだ際にUr クワトロを譲り受け、ワイドフェンダーやマグネシウムホイール、”スポーツ・クワトロ”のグリルなどを取り付けてカスタムした経験がベース」となっているのだそう。
ここでAPTスポーツラインによるUr クワトロ「レストモッド」の内容を見てみましょう。
【外観】カーボン×ケブラーのボディ、伝説のスポーツクワトロ風デザイン
視覚的には伝説の「Audi Sport Quattro(スポーツ・クワトロ)」にそっくり。
ホイールベースこそ短縮されていないものの、現代のクラシックカー愛好家を魅了する完成度を誇ります。
各オーナーは、ABTスポーツラインの提供する「Individualプログラム」を通じ、インテリアを自由にカスタマイズできることについても言及されており、世界に一台だけの特別なクルマとして仕上げることができる、とのこと。
- ワイドフェンダー&専用バンパー
- 大型リアウイング
- エアダクト付きボンネット
- 軽量なカーボファイバーとケブラー製ボディキット
- インビジブルロールケージとバケットシート
Image:ABT Sportline
【エンジン】オリジナルの約3倍。最新RSモデルの心臓部を搭載
そして次はスペック。
APTらしくアウディとの太いパイプを活かして最新RSモデルに積まれるエンジンを搭載し、出力はオリジナル(160馬力)の約3倍、もちろんスポーツクワトロと比較しても大幅に上回る数値を実現しています。
項目 | 内容 |
エンジン | 2.5L 直列5気筒ターボ(RS3 / TT RSベース) |
最高出力 | 530PS |
オリジナル | 160PS |
Sport Quattro | 306PS |
【その他の注目ポイント】
- ABS(アンチロック・ブレーキ)を標準装備
- 各車両ごとに専用シャシー設定を実施
- ドイツでクラシックカー登録(Hナンバー)可能
Image:ABT Sportline
【価格・入手方法】価格は非公開、しかし今後のプロジェクトにも期待
ABTは価格を公表していませんが、こういったレストモッド・クラシックカーは非常に高額になる傾向があります。
なお、初回生産の25台は、ドイツで開催された「Friends of ABT」イベントにて3時間で完売。急遽5台の追加生産が決まり、最終的に全30台がソールドアウトというのが現在の状況です。
CEOのハンス=ユルゲン・アプト氏氏は、「この成功が次なるプロジェクトへの勇気を与えてくれた」と語っており、今後もクラシックアウディをベースにしたレストモッドが続く可能性が予想され、ABTスポーツラインの次なる一手に期待がかかりますね。
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