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【EV王者に異変】テスラが欧州で苦戦、中国・アメリカでも試練が続く。まだまだ茨の道は続きそう

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| テスラにとっての苦難はまだまだ去りそうにない |

テスラ、世界規模での「逆風」

テスラは現在、世界的に厳しい局面を迎えています。

技術面においては同社がテキサス州で開発中の実験的ロボタクシーが法規制に違反しているとの報道が浮上しており、主力市場の中国では現地消費者の志向が自国ブランドのEVへと移行しつつあるという現状を背景として販売が減少傾向にあると報じられています。

そして今回、欧州市場でも「さらなる」販売低迷が明らかになり、まだまだテスラの”夜明けが遠い”ことが明らかに。

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欧州で販売27.9%減、EV市場は成長しているにも関わらず…

CNBCによると、2025年5月におけるテスラの欧州市場(EU、英国、EFTA)での販売台数は13,863台と、前年同月比で27.9%減少。

これは5か月連続の減少ですが、さらに深刻なのは、欧州のバッテリーEV市場が前年同月比で25%拡大している中で、テスラのみが大きく販売を落としている点です。

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つまり「市場が拡大しているにもかかわらず、テスラは逆方向に進んでいる」ことがこれまで同様に明らかになっており、イーロン・マスクCEOが政治から一線を引いた今となっても状況が好転していないことが明確になっているわけですね。

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テスラのシェアは1.2%に低下、競合の攻勢が影響か

2025年1月から5月までの累計で見ると、テスラの欧州販売は37.1%減の76,459台で、市場シェアは年初の1.8%から1.2%へと大きく後退(Reuters調べ)。

一方で欧州では電動化の波が加速しており、欧州自動車工業会(ACEA)の最新データではEVが新車販売の15.4%、ハイブリッド車が35.1%、PHEVが8.2%を占めており、ガソリン車(28.6%)やディーゼル車(9.5%)は減少傾向にあることもわかっていて、新車市場にて進む「電動化」の流れにテスラが乗れていない、ということに。

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テスラ苦戦の理由は? 中国勢・欧州メーカーの台頭も

テスラが欧州で不調に陥っている原因は一つではなく、上述のような「イーロン・マスク氏の政治的発言が消費者離れを招いたと」の指摘もあるものの、それ以上に大きな要因が他にもあって、たとえばJATO Dynamicsのレポートによると、中国の自動車メーカーが欧州市場で急速にシェアを拡大しており、2025年5月にはBYDがテスラにわずか40台差まで迫る勢いを見せています。※関税が課されたにもかかわらず、中国ブランドはPHEVやハイブリッドを軸に欧州市場での存在感を高めている

さらに、欧州の既存メーカーも本格的にEV戦略を強化しており、BMWは次世代EV「ノイエ・クラッセ」シリーズを投入予定で、先進的なスタイリングとパワートレインを武器にテスラへの対抗を狙っているという状況も。

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メルセデス・ベンツも電動CLAクラスを発表しており、WLTP航続距離は驚異の792kmにも達し、800Vシステムや将来的に1000馬力超の電動スーパーカーまでをも視野に入れています。

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Image:Mercedes-Benz

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なお、中国勢については今後「読めない」状況で、というのも現在中国にて勃発した値引き戦争によって各社とも体力を消耗しており、この状況においては中国の自動車メーカーが「お膝元の中国に注力せざるを得なくなり」欧州市場に対するプライオリティが低くなるかもというのがまずひとつ。

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中国の自動車ディーラー団体が「車が売れず値引き販売したら3兆円の損失が出たので補填するよう」中国政府に請求。こういった請求が行われること自体が共産主義的である

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しかしその反面、「中国市場で利益を稼ぐことができないのなら」ということで海外市場、とくに陸続きの欧州市場へと今以上に注力する可能性も否定できず、そうなると欧州は今以上に「激戦区」に。

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テスラの巻き返しに期待

よって今後どうなるかはわからないものの、現在の逆風の中でも、テスラは反転攻勢に向けた準備を進めており、ロボタクシー構想やモデル S / Xの最新アップデート、新型モデル Yパフォーマンスの開発など、再起への布石は確実に打たれつつあります。

さらには中国の自動車メーカーが「自滅」する可能性も報じられ、テスラが「安心のEVブランド」として再び注目を集める可能性も否定できず。

世界的EV競争が激化する中、テスラが再びリーダーの座に返り咲けるのか、今後の動向には注目ですね。

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参照:Reuters, JATO Dynamics, CNBC, etc.

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JUN

2013年より当ブログを運営中。 国産スポーツカー、ポルシェ、ランボルギーニ、フェラーリ等を乗り継ぎ現在に至ります。 単なる情報の記載にとどまらず、なにかしら自分の意見を添え、加えてクルマにまつわる関連情報(保険やメンテナンスなど)を提供するなど「カーライフを豊かにする」情報発信を心がけています。 いくつかのカーメディアにも寄稿中。

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