| 中国市場はこの数年、「異常」とも言える成長を経験してきたが |
一部のセグメントではその成長も終焉を迎えているのだろう
昨年のほとんどの期間、中国の自動車メーカーは新しく革新的な高級電気自動車(EV)を次々と発表して注目を集めてきましたが、現地アナリストによれば2025年には中国の高級EV市場の需要減少により、新たな高級モデルの発表が少なくなると予測されているもよう。
中国の高級EVは通常、30万元(約620万円)以上で販売されており、この市場にはシャオペン(XPeng)、Nio、理想汽車(Li Auto)、ジーカー(Zeekr)、BYDといった複数のメーカーが競い合っていて、これらのブランドは魅力的なモデルを発表しているものの、規模が小さいこのセグメントでは市場規模が限られており、特に競争が激しくなる中での成長が難しいと見られています。
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よって現地アナリストらは「この市場が縮小傾向にあるため」EVメーカーは2025年に新しいモデルの発売を減速させ、既存モデルの改良に注力するだろうと予測しており、「この市場セグメントは拡大が難しく、EV市場全体の鈍化に加えて、高級EVモデルの販売は今年、大きな課題に直面している」とも。
中国乗用車協会のデータによると、中国の高級EV市場は、今年の最初の11ヶ月で全体のEV販売の約10%を占めていて、これらのモデルの販売は近年増加していたものの、その成長は目に見えて鈍化し始めているとされ、またEVメーカー間の価格競争が続いているため、新しいモデルが市場に参入し競争力を発揮することはますます難しくなっています。
さらには江西省新エネルギー技術研究所も「中国の高級EV市場に参入できた企業は少ない」と指摘し、「ほとんどの企業は、販売が低迷し、大きな投資損失を抱えており、これは自動車メーカーにとって警鐘となっている」と述べており、一見して好調そうに見える中国自動車市場も「闇」を抱えているのかもしれません。
実際のところ2024年に入ってからいくつかの地元ブランドが販売の鈍化を経験し、昨年8月には(R35 GT-R似にハイパーセダンを鳴り物入りにて市場投入した)ヒューマンホライゾンが「高級EVモデルを8,000台未満しか販売でなかったため」破産を申請し、12月にはジーリーの支援するJiyue(極越)が倒産の危機に瀕していると報じられたことも。
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ただ、成長が鈍化しているものの、中国の新エネルギー車(NEV)市場は引き続き拡大が期待され、バッテリー式電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)、燃料電池電気自動車(FCEV)を含むNEV(新エネルギー車)の販売は2025年に28%増加し、1,578万台に達すると予測されています。
中国の高級EV市場の展望は暗くなってはいるものの、全体のNEV市場は依然として強い成長を見込んでおり、市場の変化による新たな革新と成長の機会が生まれる可能性が予想され、つまりは「転換期」に差し掛かっているということなのかもしれません。
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