
| 2025年6月の輸入車販売概況:全体で前年比111.4%の成長 |
ロールス・ロイスがここまで販売を伸ばした月は他に見たことがない
2025年6月における外国メーカー乗用車販売統計が発表され、市場全体の好調な動きが明らかに。
2025年6月の外国メーカー乗用車の合計販売台数は24,954台を記録して前年同月比では111.4%となり、引き続き好調な推移を示しています。
この数字は、日本の輸入車市場が力強い回復を示し、それに加え成長軌道に乗っていることを明確に示唆していると考えていいのかもしれません。
トップブランドの動向と市場シェア
2025年6月の月間販売台数で上位に位置するブランドは「いつもどおり」メルセデス・ベンツですが、上位の中では比較的大きな落ち込みを見せており、「ノルマに厳しい」同社の販売がここまで落ちるのはちょっと珍しいんじゃないかと思います。
反面、価格帯が上昇し「もう売れないだろう」と思われたMINIが前年同期比3.2倍を記録しており(1-6月の累計でも146.9%を記録)、正直これはちょっと意外なところです。
順位 | ブランド名 | 当月販売台数 (台) | 前年同月比 (%) |
1 | Mercedes-Benz | 4,730 | 91.6 |
2 | BMW | 3,806 | 98.8 |
3 | VW | 3,292 | 122.8 |
4 | Audi | 2,387 | 101.3 |
5 | BMW MINI | 1,857 | 320.7 |
6 | Others | 1,411 | 185.7 |
7 | Volvo | 1,295 | 97.2 |
8 | Land Rover | 952 | 127.3 |
9 | Porsche | 899 | 97.3 |
10 | Jeep | 851 | 91.4 |
11 | Peugeot | 776 | 160.0 |
12 | BYD | 512 | 345.9 |
13 | Fiat | 409 | 83.5 |
14 | Citroen | 306 | 118.1 |
15 | Renault | 266 | 65.0 |
16 | Ferrari | 162 | 120.9 |
17 | Alfa Romeo | 158 | 138.6 |
18 | Lamborghini | 143 | 178.8 |
19 | Hyundai | 124 | 476.9 |
20 | Maserati | 107 | 73.8 |
21 | Cadillac | 83 | 159.6 |
22 | ABARTH | 69 | 30.8 |
23 | Bentley | 59 | 64.1 |
24 | BMW Alpina | 57 | 158.3 |
25 | Rolls Royce | 55 | 366.7 |
26 | Aston Martin | 47 | 64.4 |
27 | Chevrolet | 46 | 69.7 |
28 | DS | 37 | 60.7 |
29 | McLaren | 24 | 82.8 |
30 | Ford | 14 | 116.7 |
31 | Lotus | 8 | 40.0 |
32 | Dodge | 4 | 30.8 |
33 | Rover | 3 | 100.0 |
34 | MG | 2 | 700.0 |
35 | Autobianchi | 1 | 10.0 |
36 | Buick | 1 | 33.3 |
37 | Chrysler | 1 | 133.3 |
38 | Detomaso | 1 | (データなし) |
39 | GMC | 1 | 50.0 |
40 | Kia | 1 | (データなし) |
41 | Morgan | 1 | 50.0 |
42 | Opel | 1 | (データなし) |
43 | Saab | 1 | (データなし) |
44 | smart | 1 | 50.0 |
注目すべき成長ブランド:BYD、BMW MINI、ヒョンデが躍進
特に顕著な成長を見せたブランドはやはりミニですが、その他に伸びたのはBYDとヒョンデという「アジア勢」。
・BYD: 前年同月比で345.9%増の512台を販売し、累計販売台数でも前年比166.9%増へ
・Hyundai(ヒョンデ): 前年同月比476.9%増の124台と驚異的な伸びを見せ、累計でも前年比122.1%増に
ただしこれらについては「新型車発表後、デモカーが自社やディーラーによって登録された」「発表前に注文を入れた人に納車がなされた」という一時的なものかもしれません。
ただ、ちょっと驚きなのはロールスロイスが「 前年同月比366.7%」となる55台を登録したことで、この価格帯のクルマが単月でここまで登録されるということには驚きを禁じ得ないといったところです。
参考までにフェラーリは前年比120.9%、ランボルギーニは178.8%を登録し、これを見るに「けっこう日本にはお金があるんだな・・・」という印象。
販売台数に変動が見られるブランド
一方で前年同月比で減少したブランドもいくつか見受けられ、それらをピックアップしてみると以下の通り。
•ABARTH(アバルト): 前年同月比30.8%
•Renault(ルノー): 前年同月比65.0%
•Fiat(フィアット): 前年同月比83.5%
•Maserati(マセラティ): 前年同月比73.8%
•Aston Martin(アストンマーティン): 前年同月比64.4%
•Bentley(ベントレー): 前年同月比64.1%
これらのブランドでは、モデルチェンジの谷間や市場戦略の見直しなど、様々な要因が販売動向に影響している可能性がありますが、ここまで明暗が分かれるのは「現在の状況ならでは(戦略がここまで販売を左右した時代は他にないと思う)」。
まとめ:堅調な輸入車市場と多様化する選択肢
2025年6月の外国メーカー乗用車販売データからは、市場全体の堅調な成長と、特定のブランドによる目覚ましい躍進が明らかになっており、特にBYD、BMW MINI、ヒョンデといったブランドの躍進は、消費者の選択肢が多様化し、新しい価値を提供するブランドが市場で受け入れられていることを示唆しています。
今後とも、各ブランドの新型車投入や電動化戦略が販売台数にどのような影響を与えるかに注目してゆきたいと思います。
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参照:日本自動車輸入組合