
| 濃色ボディカラーを採用するクルマは周囲の温度を約2度も上昇させることが明らかに |
クルマのボディカラーが「ヒートアイランド現象」を加速させる
2025年は観測史上もっとも暑い年となり、世界各地で山火事含む様々な災害が頻発したことは記憶に新しいかと思います。
すでに一部の都市では、アスファルト道路を白やグレーに塗装して気温上昇を抑える取り組みが行われていますが、どうやらクルマの色も都市の気温に影響している、との調査結果。
ポルトガル・リスボン発の新しい研究によると、濃色のクルマは平均して周囲の気温を約2℃上昇させる可能性があることが示されています。
暑さを助長する「黒いクルマ」
都市部はもともとアスファルトや建物のせいで「ヒートアイランド現象」が起こりやすい環境ですが、これまで「駐車されたクルマ」が気温に与える影響は軽視されてきたというのがひとつの事実。
しかし今回、地理学者のマルシア・マティアス氏は黒い車と白い車を並べて日光に数時間さらし、周囲の空気の温度を測定するという実験を行っています。
そして驚くべきことにその結果、黒い車は下のアスファルトよりも最大3.8℃高い熱を放射していたのに対し、白い車はむしろ周囲の温度を下げることもあったのだそう。
車体の薄い金属パネルはアスファルト以上に熱を吸収しやすく、素早く加熱され、その熱を効率的に放射してしまうためだと結論付けられていますが、これはまさに驚きの結果でもありますね。
解決策は?
もちろんこの解決策として「黒いクルマの販売禁止」といった極端な話にはなりませんが、研究者は次のような対策を提案し、マティアス氏はNPRのインタビューで「まずは公共車両から取り組むのが効果的」と語っています。
- 警察車両やバスなど 公共車両を白や明るい色にする
- 自動車メーカーが 反射性コーティングや明るいボディカラーを積極的に採用する
- 消費者に向けて 明るい塗装やツートン仕様(白いルーフなど)を選びやすい環境を整える
まとめ
今回の研究は特定の条件下でのデータに基づいているものの、都市の暑さ対策を考えるうえで見過ごせない示唆を与えてくれます。
濃色のクルマは見た目がクールでも、街の気温をじわじわ押し上げているのかもしれず、これからの自動車選びでは、デザインや好みだけでなく「都市環境への影響」も考慮する時代が来るのかもしれませんね。
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参照:Jalopnik