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ポルシェのデザイン哲学:「ヒーロー」「反逆者」「クリエイター」が示すブランドアイデンティティとは

ポルシェのデザイン哲学:「ヒーロー」「反逆者」「クリエイター」が示すブランドアイデンティティとは

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| ポルシェをデザインすることは「容易ではない」 |

あまりにも強烈な「デザインアイコンと進化との調和」にデザイナーの六竜が現れる

フォルクスワーゲングループのデザイン責任者、ミヒャエル・マウアー氏の指揮のもとでポルシェが自らのブランドデザインをさらに明確化する、とアナウンス。

その際に用いられたのがスイスの心理学者カール・ユングが提唱した「アーキタイプ(元型)」の概念です。

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ポルシェのデザイナーがマカンEVの難しさについて語る。「ポルシェらしさを守ると古臭く見える」「新しすぎると、それはポルシェではない」
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ポルシェのデザインを導く「ブランドコンパス」

ポルシェはその中から「ヒーロー」「反逆者」「クリエイター」という3つを選び出してブランドの核となる要素に設定するとコメントし、さらには「Focus(集中)」「Tension(緊張感)」「Purpose(目的)」というキーワードのもと、ブランド全体を貫く指針としています。

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ポルシェ
ポルシェのデザイナーが911をデザインすることの難しさ、チャレンジを語る。「英雄タイプ、創造者タイプ、反逆者タイプを想定」「2050年の911も考えている」

| ポルシェのデザイナーの仕事は他の自動車メーカーのデザイナーとは全く異なる | 伝統を守りながら、新しいものを作り出さねばならないというジレンマに常に直面 さて、現在ポルシェのデザイナーはミヒャエル ...

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フェルディナント・アレクサンダー・ポルシェの遺産

ポルシェ創業者の孫であり、初代デザイン責任者であったフェルディナント・アレクサンダー(F.A.)・ポルシェは、常に「非凡」を追求したことでも知られます。

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彼が生み出した911は瞬く間にデザインアイコンとなり、スポーツカーの象徴へと成長しましたが、彼の哲学は「美と機能の融合」。

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そのビジョンは現在もStyle Porsche(ポルシェのデザイン部門)の根幹にも息づいており、ミヒャエル・マウアー氏は「F.A.ポルシェは、デザインがブランドのアイデンティティと成功に与える影響を深く理解していた」と語ります。

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911ターボSに体現されたデザインアイデンティティ

新型911ターボSは、まさに「ヒーロー」であり、力強さと自信を象徴するもの。

ワイドなフェンダー、迫力あるエアインテーク、独立したリアデザイン、アクティブリアウイングといった要素は、すべて「Focus(集中)」のもとに設計され、ターボパフォーマンスを視覚的に表現したものだと説明され、それと同時に911ターボSは「反逆者」を表現しているのだといい、930型以来受け継がれるリアスポイラーは「Tension(緊張感)」を生み、常に挑戦的な姿勢を示します。

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さらに「クリエイター」としての側面も忘れてはならず、センターロック式ホイール、アクティブボウリップ、可変式リアウイングなどのディテールは、革新的なエンジニアリングとデザイン文化の結晶であり、「Purpose(目的)」を体現しています。

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ポルシェがターボモデル専用のエンブレム、そしてホイールや内外装に専用色「ターボナイト」を採用すると発表。今後ターボ系は「神格化」されるもよう
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| ポルシェは現在ラインアップが多様化しすぎており、サブブランド化によって差別化を図るものと思われる | そして「ターボ」はいつの時代もポルシェにとって特別な存在だった さて、ポルシェにとって「ターボ ...

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Style Porscheの取り組み

ポルシェのデザイン部門「Style Porsche」には約150名が在籍し、伝統的なスケッチやクレイモデルと最新のデジタルツールを組み合わせながらデザイン開発を行っているそうですが、2014年にオープンしたヴァイザッハのデザインスタジオでは、建築的にも透明性と交流を重視し、エンジニアリング部門と密接に連携しながら車両デザインを行っているとのこと。

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なお、しばらく前から自動車業界では「分業化」が進み、「エンジニアはエンジニア」「デザイナーはデザイナー」としての仕事を個別に進めることが多くなったとされ、クルマづくりのダイナミズムが感じられなくなったという声が内部から聞かれますが、たしかに1970年代あたりは「デザイナーとエンジニアとが一緒になって課題解決を考えながらクルマを作っていた」といい、しかし直近においては車に求められる要件が高度化かつ多様化してきたため、再び「エンジニアとデザイナーとの交流」が重視される時代へと戻りつつあるのかもしれませんね。※その意味では「形態は機能に従う」という考え方に回帰しつつあり、デザインのためのデザインではなく、機能のためのデザインがなされるように変化してきている

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ブガッティ W16ミストラルのデザインは「フロントからリアまで」その必然性によって決定されていた。「形態は機能に従う」が徹底して貫かれる
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Bugatti | ブガッティは多数のバリエーションをリリースしているが、いずれも慎重に再デザインがなされている | さらにブガッティはあらゆる面において「究極」を追求している さて、ブガッティがシロ ...

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ポルシェ
ポルシェのデザイナー「911はすでに大きくなりすぎている。原点に立ち返りコンパクトで軽量なスポーツカーへと回帰させたいが、規制や制約によって大きく重くなることは避けられない」

| それでもポルシェはメルセデス・ベンツやBMWに比較すると軽量性を維持しているほうである | 今後少なくとも10年以内は「小型化・軽量化された911」を見ることはできないだろう 現代ではほんの一握り ...

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フォルクスワーゲン
もはやクルマのデザイン、機能は「中国の嗜好」に合わせねば自動車メーカーは生き残れない。VW/ポルシェのデザイナー「中国市場のために変革の必要性を感じている」

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参照:Porsche

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