
| まさか万里の長城がこんなに「歩くのが困難な」建築物だとは |
今まであまり興味はなかったが、人生において一度は見ておく価値はある
さて、今回の北京訪問の目的の一つ、「万里の長城」へ。
北京から登ることができる万里の長城は現在2箇所(八達嶺長城と慕田峪長城)が存在し、両者の相違はざっと以下のとおりです。
万里の長城「八達嶺長城と慕田峪長城との違い」とは
特徴 | 八達嶺長城 | 慕田峪長城 |
混雑度 | 非常に混雑する | 比較的混雑が少ない |
北京からの距離 | 約70km | 約75km |
アクセス | 非常に便利(直通バス、鉄道S2線あり) | やや不便(直通バスはあるが本数に注意) |
修復状況 | 大規模に修復されている | よく修復されているが、自然な景観も残る |
景観の特徴 | 雄大で、山岳の稜線に沿って続く | 緑に囲まれた美しい景観(森林被覆率90%以上) |
傾斜 | 全体的に急で、階段もきつい部分が多い | 八達嶺よりは緩やかで歩きやすい区間が多い |
見どころ | 有名で力強い「好漢坡」など | 双面垛口(両側に胸牆がある珍しい構造) |
外国人観光客 | 団体客が非常に多い | 個人旅行の外国人に人気 |
設備・アトラクション | ケーブルカー、滑車(トボガン)あり | ケーブルカー、箱形ロープウェイ、滑車(トボガン)あり |
八達嶺長城が向いている人
- 初めて長城を訪れる人:最も有名で「教科書通りの」長城のイメージに合致
- 時間が限られている人:交通の便が非常に良いので、効率的に観光できる
- 「不到長城非好漢」(長城に到らざれば好漢に非ず)の碑で記念写真を撮りたい人
- 大勢の賑わいを気にしない人
慕田峪長城が向いている人
- 比較的静かに長城を楽しみたい人:混雑が少なく、のんびりと散策できる
- 美しい自然景観を楽しみたい人:周囲の山々の緑が非常に美しく、写真映えする
- ハイキング感覚で歩きたい人:全体的に歩きやすい区間が多く、外国人バックパッカーにも人気
- 少し珍しい構造(双面垛口)を見たい人
ボクは今回「慕田峪(ムーティエンユー)長城」を選択
そして今回ぼくが選んだのは「慕田峪長城」。
その理由は「混雑が少なく景色を楽しめるから」で、その往復の不便さを補うだけの価値があると考えたから。
ただ、上で述べたようにゆきかえりが不便というデメリットがあり、よって今回はクルマとドライバーをチャーターし、悠々自適にてホテルから慕田峪長城へと向かっています(安価ではないが、このほかにも様々な予定があったため、体力を温存し、かつ効率的な移動を行うことを考えるとベターな選択であると考えた)。
北京市内のホテルから万里の長城へ逝くにはおおよそ1時間半~2時間位を要し(時間帯によっては市街地を抜けるのに渋滞箇所を通る)、帰りも同じくらいの時間がかかります。
なお、この「チャーター」のメリットは、「時間内であれば、どこか他の”寄って欲しい”ところにも行ってくれる」ということで、つまり融通が効くわけですね。
さらには「バスよりもさらに入場口に近いところ」まで行ってくれるので体力を温存することも可能です(けして楽をしたいわけではないが、北京観光はとにかく「歩く」距離が長く、前日も3万歩ほど歩いており、体調維持と快適な観光を考慮すると、無駄な体力を消費するわけにはゆかない)。
そして慕田峪長城へと到着し、ドライバーに案内された先に見える赤い看板がある場所が「入場口」。※ドライバーは非常に親切で、不安を感じないように様々な説明を行い、気遣ってくれる
万里の長城の入場には予約が必要で、今回はチャーターしたドライバーがあらかじめ予約を行ってくれており、その際のQRコードをスマートフォンへと(WeChat経由で)送ってくれていて、そのコードを使用して入場します(予約時にはパスポート番号が必要で、入場時にはパスポートとの称号もあるためパスポートの携帯は必須である)。
ここから万里の長城へと向かうわけですが、その方法は2つあって「徒歩」「リフト(ケーブルカー)」。
なお、徒歩で登るのはよほど時間と体力がある場合に限られ、かつ(木が生い茂った)山の中を歩くので景色を楽しめるわけでもなく、(店頭などの)危険も多いため、「徒歩」を選ぶ理由はないかと思います。
ただ、ケーブルカーを使用して登ると(入場料の他に)「行きのケーブルカー、帰りのケーブルカーもしくはトボガン(ソリ、後編にて説明)の使用料」として別途140元が必要に。
つまり帰りは「徒歩」「ケーブルカー」という選択肢に加えて「トボガン」というチョイスが加わるわけですが、いったん140元を支払えば、行きのケーブルカーに加え、帰りだとケーブルカー、あるいはトボガンどちらかを使用しても「同一料金」です(紙のチケットを発券してくれ、そこに記載されるQRコードを行き帰りに使用する)。
ちなみにですが、いったん入場するとトイレはないので、入場口の少し手前にあるこの公衆トイレ(けっこうきれいな部類)を利用すると良いかと思います。
そして入場すると何箇所には万里の長城のマップが掲示されており、実際に歩くことができるのは「1~23」の区間。
ケーブルカーが到着するのは「6」ですが、そこから右が「5→1」、左が「7→23」となっていて、いずれか、あるいは両方を(時間と体力にあわせて)選ぶことに。
なお、感覚値としては、「ゆっくり歩き、休憩し、写真を撮りながら」だと、「5→1」に行って帰ると1時間半、「7→23」だと3時間くらい。※降りる際は「6」に戻ってきてケーブルカー、あるいはトボガンを利用することになる
あらかじめドライバーとは「戻って来る時間」を打ち合わせているのですが、帰る時間を逆算して行動する必要があり(予定が変動するようであればWeChatにて連絡すればフレキシブルに対応してくれる)、「6」からまた(待ち合わせ場所である)入場口まで戻ってゆく時間も考慮せねばならず、「下まで戻る」のに要するのはおおよそ30分くらいです(ただ、混雑時はケーブルカー、トボガン共に順番待ちが生じるので、もっと所要時間は長くなる)。
「ケーブルカー」からの景色に圧倒される
そして入場してケーブルカーの乗り口へと向かうのですが、ぼくは「ゴンドラ」のような箱型のキャビンを持つ乗り物を想像していたものの、実際に乗るのはまさかの「スキー場のリフトみたいな」無防備なもの。
これに乗って・・・
万里の長城へと運ばれてゆくわけですね。
ぼくは高所恐怖症なので、事前に「これに乗らねばならない」と事前にわかっていたら来ていないレベルの乗り物であり、(画像では伝わりにくいものの)とんでもない高さがあります。
当日は「ほぼ無風」で揺れなかったのがまだ幸い。
ちなみに気温は(天気予報によれば)2度ですが、山の上の方なので実際の気温はもっと低く、そのためぼくは「完全武装」にて望むことに(体を冷やすとトイレに行きたくなったりするので、その意味でも注意が必要)。
相対性理論によって「かなり長い時間」に感じたものの、頂上までの所要時間はおおよそ5分くらいなんじゃないかと思います。
ちなみにですが、今回「恐怖を克服するため」に行ったのが、スマートフォンのカメラを起動し、その画面越しにて景色を見たこと。
それによって、「今自分がいるのはバーチャルな環境であり、スマートフォンの画面を通じてのみ万里の長城を見ている」のであって、現実的に自分がリフトに乗っているのではなく、地上で椅子に座って画面を通じて映画や動画を見ているのだと脳に信じ込ませたわけですね(思いのほかうまくいった)。
ようやく万里の長城が見えてきた頃にアナウンスが聞こえてくるのですが、その内容は「写真を撮るので笑って」というもので、つまりよく観光地で見る「自分が写っている写真を出口で販売する」というシステム。
そのあとはリフトを降りて・・・。
大量の猫さんがお出迎え。
どの猫さんも人懐っこく、健康状態も良さそうで、かつ長毛種にも関わらず毛が絡まったりもしていないため、ちゃんと世話がなされているもよう(でないと、冬季は氷点下10度以下になるので越冬できない)。
加えて、万里の長城での栄養補給のために多くの人々が食べ物を持ってきているのですが、「おすそわけ」をもらうことでけっこう豊かな食生活を送っているようにも見えます。
そしてここから万里の長城を歩くことになりますが・・・。
この先は「後編」にて。
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北京から万里の長城(慕田峪長城)へ。今までの人生の中で見たもっとも壮大な景色のひとつ、そしてまさかの「猫づくし」。実際の万里の長城の登り方や様子など(前編)
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万里の長城へと行ってきた際の動画はこちら
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