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ポルシェの営業利益がなんと「1 / 100」、営業利益率は「1 / 70」に。2025年はもしかすると「赤字」、しかし2026年からは力強い成長を見込む

ポルシェの営業利益がなんと「1/100」、営業利益率は「1/70」に。2025年はもしかすると「赤字」、しかし2026年からは力強い成長を見込む

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| 厳しい状況の中でもポルシェは「望みを捨てない」 |

ポルシェが「2025年第3四半期決算において、厳しい経済環境の中でも堅実な財務体質を維持した」と発表。

すでに何度も報じられているとおり、ポルシェは中国市場にて大幅な落ち込みを記録していますが、これに伴っていくつかの大きな方向性の変更についてもアナウンスがなされています。

実際のところ、ポルシェは製品戦略の大規模な見直しを実施しており、短期的な利益の回復に加え、長期的な収益性とレジリエンス(持続的回復力)の強化を目指しているところでもありますね。

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自動車部門キャッシュフローは13.4億ユーロへ増加

そこで今回ポルシェが発表した財務状況を見てみると、2025年1月〜9月のグループ売上高は268億6,000万ユーロ(前年比-6%)、しかし自動車部門の純キャッシュフローは13.4億ユーロ(前年同期1.24億ユーロ)へと増加。

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それでも営業利益は4,000万ユーロ(前年同期40億ユーロ)に減少し、営業利益率は0.2%(前年14.1%)となっていますが、の減益の理由は以下の通りだとアナウンスされています。

  • 約27億ユーロの特別損失(製品ポートフォリオ再編・バッテリー事業関連)
  • 中国市場の高級セグメント低迷
  • 米国の輸入関税(15%)
  • 組織再編コスト

一方で、キャッシュフローマージンは4.8%→5.6%へ上昇しており、ここは「せめてもの救い」なのかもしれません。

「困難な市場環境下でも堅調なキャッシュフローを生み出し、戦略をさらに明確化しました。
2025年は“谷”の年ですが、2026年以降に確かな回復を見込んでいます。」

— ポルシェAG CFO ヨッヘン・ブレックナー博士

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戦略転換:内燃機関とPHEVを強化、EV開発を再スケジュール

上述の通りポルシェは製品戦略を再構築し、内燃機関およびプラグインハイブリッド(PHEV)モデルの拡充を決定していますが、その一方でEVシフトの(市場の)遅れを考慮して新型EV専用プラットフォームの開発スケジュールを2030年代に再設定。

このプラットフォームは、フォルクスワーゲングループ内の他ブランドと技術を共有して再設計される予定であり、本来の予定よりもコストが「大幅に削られる」こととなりそうです。

なお、既存のEVラインアップ(タイカン、マカンEVなど)は引き続きアップデートされ、直近では「カイエンEV」の投入が控えており、コストダウンの影響を受けるのは「カイエンEV以降」となりそうですね。

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2025年の販売実績と電動化率

2025年1〜9月の世界販売台数は212,509台(前年比-6%)で、うち電動化モデルの比率は35.2%(EV 23.1%+PHEV 12.1%)に上昇し、欧州市場では56%が電動モデルという高い比率を記録することに。

モデル別では、マカンが前年比18%増の64,783台と最も好調で、また、米国および新興国市場では過去最高の販売台数を記録し、北米全体では5%の成長を達成しています(北米の好調さについては、トランプ関税導入前の”駆け込み”の影響も考えられる)。

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「Future Package」構想:経営陣と労働代表が協議開始

加えてポルシェは長期的な利益性確保のための効率化プログラム「Push to Pass」を継続推進中であることを強調し、2025年10月には、経営陣と労働組合代表との間で「Future Package(将来計画)」に関する協議を開始したとも述べ、これには大規模な業務効率化や投資見直しが含まれ、その結果は後日発表される予定です。

2025年度見通し:米国関税の影響を織り込み

ポルシェは2025年度通期で約31億ユーロの戦略関連コストを見込んでいますが、米国の輸入関税(15%、8月1日より適用)を考慮したうえで、年間売上高を370〜380億ユーロ、営業利益率を0〜2%、キャッシュフローマージンを3〜5%と予測していますが、この予測を見るに、状況次第では「営業利益率がマイナス(赤字)て転じる」可能性もゼロではなさそう。

この状況を考慮すると、先日報じられた「リマックが、ポルシェの保有する(ブガッティ・リマックの)株式買取を検討中」という話も現実味を帯びることとなり、ポルシェは「現金欲しさに」株式を売却してしまうのかもしれません。

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長期的な展望:「2026年からの再成長」を明言

ただしポルシェのCFO、ヨッヘン・ブレックナー博士は(上述の通り)現在の状況を「谷間」だと表現しており、つまりは今が最悪だと捉えているのかもしれません。

実際のところ、「再」成長への意欲を以下のように見せており、「方向転換のための損失を計上した」のちはかつてのような成長を見せてくれる可能性も。

「我々はブランド価値と収益力を同時に高める段階に入っています。ポルシェのDNAをより明確にし、製品をより個性的かつ魅力的にすることで、
2026年以降の再成長を確実なものにします。」


【まとめ】

2025年はポルシェにとって「変革の年」。

短期的な利益圧迫をあえて受け入れ、2030年代に向けた再構築を進めていますが、EVと内燃機関の両立戦略を軸に2026年からの反転攻勢に期待が集まります。

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