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ガソリン版ポルシェ・マカン、2026年半ばで生産終了へ— 後継ガソリンモデルは2028年登場予定、「マカンの名を名乗らない」

ポルシェ

| 「新しい計画」に向けて急ピッチで動くポルシェではあるが |

■ 欧州ではすでに販売終了、背景には「新サイバーセキュリティ規制」

さて、新しい方向性を発表し、様々な変化が訪れているポルシェではありますが、ここでまたひとつ、内燃機関モデルに別れを告げることが明らかに。

今回は長年ブランドを支えてきた人気クロスオーバー「マカン(Macan)※ガソリン版」が、2026年半ばに生産を終了し、約12年にわたる歴史に幕を下ろすことが正式に確認され、マカンはポルシェの中でもカイエンとともに「トップセラー」であっただけにその影響が懸念されます。

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■ 12年で100万台、ポルシェ財務を支えた「最重要モデル」

なお、欧州ではすでに(2024年に)ガソリン版マカンの販売が終了していますが、これはポルシェの判断ではなく、2024年7月に施行されたEUの新安全規制「GSR2(General Safety Regulation 2)」に適合できなかったため。

同規制は車両のサイバーセキュリティ基準を厳格化しており、電子構造の古い初代マカンはアップデート対応が困難だったわけですね。

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マカンは2014年のデビュー以来、世界で約100万台を販売し、SUV市場の成長を追い風としてポルシェの財務を大きく支えてきた存在。

2023年には87,355台を販売し、わずか198台差でカイエンに次ぐブランド第2位の販売台数を記録しており、911のような高利益車ではないものの、台数効果によってポルシェの安定収益を支えてきた“屋台骨”といえます。


■ ガソリンモデル後継は「計画外」だった

通常、そのクルマの販売が終了する前には後継が準備されていますが、今回のマカンに関しては「その例外」。

ポルシェはEV版マカン(2代目)の投入に伴い、「顧客は自然にガソリン版マカン電動モデルへ移行する」と見込んでおり、よってガソリン版マカンの後継モデルを用意していなかったというのがその実情。

しかし現実には、手頃な価格帯のガソリンSUV需要が依然として根強いことが判明し(そしてマカンEVの販売が想定を下回り)、そのため急遽、内燃エンジン+ハイブリッド仕様の新SUV開発が2028年を目標にスタートしています。

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■ 新型SUVは「マカン」を名乗らない

興味深いのは、この2028年に登場する予定の次期ガソリンSUVが「マカン」の名を継承しない点。

ポルシェCEO オリバー・ブルーメ氏によれば、

「EV版マカンがその名を引き継ぎ、ガソリンモデルは全く新しいネーミングになる」

とのことで、つまり、“マカン”はEV専用ブランドへと変わることになります。

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■ 新プラットフォーム採用、ベースは新型アウディQ5

そしてこの新型SUVはフォルクスワーゲン・グループの新世代アーキテクチャ「PPC(Premium Platform Combustion)」を採用する予定であると報じられ、これは次期アウディQ5が使用するもので、初代マカンがQ5の「MLBプラットフォーム」を流用していた構図を踏襲し、この「技術シナジー」によって開発スピードを上げ、2028年の登場を目指すとしているわけですね(それでもここまで開発に時間がかかるのは、ポルシェの開発に対する慎重さを表すとともに高コスト体質を示している)。

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■ 2026〜2028年、ポルシェは“2年間の空白”に直面

とはいえ、現行マカンの生産終了(2026年)から次期モデル登場(2028年)まで約2年間の販売空白が発生し、SUV市場でのプレゼンスを維持するためには厳しい期間となるのもまた事実。

さらに現在、ポルシェは米国の輸入関税強化や中国市場での販売不振といった逆風にも直面し、この空白期間が収益面に影響を与える可能性は避けられません。

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■ ポルシェ再建の鍵は「ガソリン回帰」か

近年、EV路線への急速なシフトが逆風となっているポルシェですが、2028年にガソリンSUVを復活させる決定は“原点回帰”の兆しであるとも捉えることが可能です。

さらには同時期にボクスター/ケイマンのガソリンエンジン復活計画も報じられており、ポルシェが再び“走りのブランド”としてのアイデンティティを取り戻そうとしていることも明確になっている状況で、現在、そしてここからの数年はポルシェ自身が言うように「復活までの谷」ということなのかもしれませんね。

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【まとめ】

  • 初代ガソリン版マカンは2026年半ばに生産終了
  • 後継ガソリン/ハイブリッドSUVは2028年登場予定
  • 名称「マカン」はEV専用ブランドとして継承
  • 新SUVはアウディQ5と同じPPCプラットフォームを採用

2年間の空白を経て、ポルシェがどのような“新生ガソリンSUV”を生み出すのか、続報に注目したいと思います。

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参照:Motor1

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