
Image:Nissan
| 日産が「アメリカ生まれのSUV」を日本へ逆輸入? |
トヨタに続き、日産も米国生産車を日本で販売する計画を検討しているという報道。
この動きは単なる輸出入ではなく、日米自動車貿易の新たな潮流を示す可能性があり、加えて日産が保有するアメリカ・テネシー州の工場稼働率を維持する狙いも含まれているようですね。
■ 対象は「ムラーノ」と「パスファインダー」
日産の技術責任者・明石英一氏によると、日本市場での販売候補はムラーノ(Murano)とパスファインダー(Pathfinder)の2モデル。
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いずれも米国・テネシー州スマーナ工場で製造されており、北米市場専用SUVとして長年販売されてきたクルマですが、ムラーノは左ハンドル仕様のみの生産であるため、日本へと輸出するのであれば、日本市場向けとして新たな生産ラインを設ける必要があるもよう。
一方でパスファインダーは(日本以外の右ハンドル国へと輸出されているので)右ハンドル仕様にも対応しており、比較的スムーズに日本導入が可能と見られています。
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■ まずは市場調査から。日産「日本のニーズを慎重に見極める」
日産は公式声明で次のように述べており・・・。
「米国では多くの魅力的なモデルを展開しており、その中には日本の道路環境にも適した車種があります。
現在、日本の顧客ニーズを慎重に分析し、これらの車両を日本市場に導入する可能性を検討しています。」
この発言からも、まだ計画段階であり、即座に導入されるわけではないことが分かる一方、日産が「実際に(日本への輸入を)検討していることが事実」であると見て取れます。
日産は今後、需要調査・安全基準適合・為替レートなどを総合的に評価した上で判断を下す見通しだそうですが、その動向には注目が集まるところですね。
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■ 背景にあるのは「日米の貿易摩擦」と関税問題
この計画の背景にあるのはもちろん「日米間の自動車関税をめぐる政治的な思惑」。
2025年7月、日米両国は自動車関税を27.5%から15%へ引き下げることで合意していますが、さらなる関税緩和を模索する中、日本メーカーによる「米国製車の逆輸入」は、アメリカ側への“善意のシグナル”として注目されており、これによって「トランプ大統領の機嫌を損ねないようにし、関税の引き上げを阻止する」狙いがあるものと思われます。
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となると、「世界を破滅させる」と言われたトランプ大統領、そしてその関税政策ではあるものの、結果的には世界中のモノの生産と物流、ひいては経済を活性化させる可能性もあり、実際に(これを好感したというわけではないものの)世界的に株式市場が最高値を記録しているため、前回の任期同様に「実際のところ、トランプ大統領は世界の救世主」であったのかもしれません。
そしてぼくらカーガイにとっても、「これまで米国専売であった」クルマが日本の正規ディーラーにて購入できるようになるという事実は歓迎すべきものであり、その観点からも「トランプ大統領グッジョブ」なのかもしれませんね。
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■ トヨタに続き、日産も「米国生産→日本販売」の流れへ
トヨタもすでに米国製SUVの日本導入を検討しており、日産がそれに続く形となったわけですが、これは単に貿易の多様化だけでなく、米国工場の稼働率維持・サプライチェーンの最適化といった経営上の狙いもその背景に。
一方で、為替変動や輸送コスト、そして「左ハンドル車の需要」など課題も指摘され、日産がどう判断するのか興味は尽きないところです。
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日産の決断が「グローバル化の逆流」を変えるか
近年、日本市場では海外生産車の受け入れが進んでおり、テスラやBYDなど外国勢が存在感を高めているのもまた事実。
そんな中、日本メーカー自身が“逆輸入”を進める構図は極めて興味深く(単純に逆輸入として表現できるものではないが)、もし日産がムラーノやパスファインダーを正式投入すれば、日本のSUV市場において「グローバル生産再編の波」が本格的に押し寄せることになるのかもしれません。
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参照:Automotive News, NISSAN

















