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【マツダの行方】次期マツダ3は「マツダ製」ではなくなる?中国Deepal「L06」をベースに「Mazda 3e」として発売される可能性が浮上

【マツダの行方】次期マツダ3は「マツダ製」ではなくなる?中国Deepal「L06」をベースに「Mazda 3e」として発売される可能性が浮上

Image:Deepal

| 「走る歓び」はどこへ向かうのか?マツダの沈黙 |

マツダは中国との関係性をいっそう強める?

マツダはここ数年、縦置き直列6気筒エンジンを搭載したクロスオーバーSUV(CX-60、CX-90など)に注力し、より利益率の高いプレミアム市場へと軸足を移しています。

その一方で、ブランドの屋台骨を支えてきたコンパクトカーの領域は、「静寂」に包まれているというのもまた事実。

特に、その機敏な走りでファンに愛されてきたマツダ3(Mazda3)の後継モデルに関する情報はブランドの将来製品ロードマップから消えており、「2026年以降、コンパクトモデルの提供がなくなるのではないか」という憶測すら流れているわけですね。

これはもちろん「当座の資金を稼ぐ必要がある」「それ以外のことは二の次」というマツダのお家の事情によるものですが、かつて「Zoom-Zoom」というキャッチフレーズで知られた「走る楽しさ」の象徴が、このままフェードアウトしてしまうのではないか、という懸念すら囁かれています。

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生き残りの鍵は「中国のDeepal(ディーパル)」提携か

マツダは直近にて「MAZDA6(アテンザ)」のセダンとワゴンを廃止した後、一部市場(欧州、豪州など)において、中国の長安汽車(Changan)のサブブランドであるDeepal製EVをベースとした電動モデル「MAZDA EZ-6/6e」を投入済み(北米・日本では導入見送り)。

この前例があるだけに、今、マツダ3にも同じ運命が待っているのではないかという見方が強まっており、次期マツダ3は「ディーパル製になるのでは」ともウワサされています。

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Image:Mazda

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コスト削減と「Mazda3e」の商標登録

グローバル市場では「競合他社に比べて規模の小さい」のがマツダではありますが、そこで電動車の開発コストを抑えるために提携先である長安汽車の資産(プラットフォームや技術)を活用するのは現実的な戦略です。

そして、その理論を裏付けるように、最近、豪州、英国、欧州で「Mazda3e」という商標が出願され、長安汽車が新たに発売した小型セダン「Deepal L06」が、この「Mazda3e」のベースとなる可能性が浮上しており、そしてこれは「単なるウワサ」にとどまらないのかもしれません。

Deepal L06が提供する「電動化のスペック」

もしマツダ3eがDeepal L06をベースにすると仮定すると、そのパワートレインと性能は現行のマツダ3とは大きく異なるものとなる可能性も。

なお、L06は以下の2種類の電動パワートレインで発売される予定であると報じられています。

1. レンジエクステンダー・ハイブリッド(EREV)モデル

スペック詳細
エンジン1.5L 自然吸気エンジン(97hp)
バッテリー/モーター28.39 kWh LFPバッテリー、リアアクスルに190 kW(255 hp)モーター
EV走行航続距離180 km(WLTPサイクル換算)
燃費4.38 L/100 km(約22.8 km/L)

このモデルは、バッテリーとモーターによるEV走行がメインでありながら、航続距離の不安を内燃機関(発電用)が解消する、実用性の高い選択肢となります。

2. ピュアEV(バッテリーEV)モデル

スペック詳細
モーターシングル・リアアクスルモーター(268 hp / 200 kW)
バッテリーパック56 kWh または 69 kWh の2種類
最大航続距離670 km(CLTC基準、69 kWhパック)

BEVバージョンだと、特に大容量の69 kWhバッテリーパックが実現する最大670km(CLTC基準)の航続距離はテスラ・モデル3などの競合と戦える競争力を提供し、高い市場性を持つと予想されています。

プレミアム化と「大画面トレンド」の波

新型マツダ3eが現行モデルから大きく進化すると予想されるのが「サイズと内装のプレミアム感」。

後席の窮屈さを解消するボディ拡大

予測される全長は4,830 mmで、これは現行のマツダ3より大幅に長く、(先代の)マツダ6にわずかに及ばない程度。現行マツダ3の大きな弱点であった「後席の狭さ」が解消され、より広いセグメントへと再配置されることに

魂動デザインとLiDAR、そして全画面化の波

インテリアは、Deepalベースでありながらも、MAZDA 6eに見られるように「魂動デザイン」の洗練された美学が貫かれるものと思われ、しかしEZ-60で見られるような「全画面化」とハイテク装備が導入される可能性も。実際にEZ-60の人気が高いと報じられることからも、EZ-60の流れを踏襲することは自然である

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  • 50インチAR-HUD(拡張現実ヘッドアップディスプレイ)
  • 3nm(ナノメートル)車載コックピットチップ
  • LiDAR(ライダー)標準装備によるレベル2+運転支援システム
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Image:Mazda

魂動デザインの融合

予測されるエクステリアとしては、長安プラットフォームの基本形状(グラスハウスやドア)を維持しつつ、MAZDA 6eから進化させたフロントデザインを採用。薄型ヘッドランプやイルミネーション付きのフロントパネル、そしてクーペライクなルーフラインが特徴となると推測

まとめ:Zoom-Zoomの精神はRWDで生き残るか?

現行マツダ3が次の世代に引き継がれるのか、あるいは24ヶ月以内に長安ベースの「Mazda3e」に置き換えられるのか、マツダからの正式発表はまだない状況。

もし後者が実現すれば、マツダ3は大きくその性格を変え、欧州やアジア太平洋市場ではヒョンデ Ioniq 6やBYD Sealといった強力なEVライバルと競合することになりそうです。

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Image:Mazda

「走る歓び(Zoom-Zoom)」を大切にしてきたマツダが、開発リソースを集中するために中国プラットフォームを選択する。

これは、電動化時代において、「自前主義」を捨ててでも、生き残りと新しい「走る楽しさ(RWD化)」を追求するという、現代の自動車メーカーの苦悩と戦略的判断を象徴している象徴的な事象なのかもしれません。

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そしてこれは同時に、自動車がもはや「運転の楽しみ」をもたらす乗り物ではなくなりつつあり、「快適に移動する手段」へと変容しつつあることを示すひとつの例であるとも考えられます。

今後、自社開発ではなくDeepalの既存車種を流用したモデル展開が増える可能性につき、「人馬一体」を追求してきたマツダの」魂が損なわれるようにも思えますが、「VWとの「共同開発によるカイエンで息を吹き返したポルシェ」のように、ここで体力を温存し、あるいは体力を蓄え、一方そこで得た資金によって「自社開発によるスポーツカー」を投入しようという計画なのであれば、ぼくらはマツダの判断を支持する以外にはないのかもしれませんね。

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参照:CARSCOOPS

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