
| ヒョンデ アイオニック5はBMW「M」そしてランボルギーニCEOもそれを「認める」発言を行っていることで知られる |
ある意味では「近年、もっとも業界に衝撃を与えたクルマ」であるとも考えられる
- まさかの高評価: ポルシェのGT部門ボス、アンディ・プレニンガー氏がヒョンデ「IONIQ 5 N」に試乗し、その完成度に驚嘆
- 鍵は「演出」: EV特有の無機質さを解消する「仮想シフトチェンジ」と「擬似エンジン音」が、次期ポルシェEVスポーツの指針となるか
- 718 EV最新情報: 次期718の登場は2027年初頭へ延期。しかし、その分「軽さ」と「楽しさ」を追求した仕上がりになるもよう
ポルシェが認めた「ヒョンデのギミック」という衝撃
「EVは速いけれど、魂がない」
そんなクルマ好きの懸念を吹き飛ばす出来事が起きたと言ってよく、BMW「M」、ランボルギーニに続き、あのポルシェの首脳陣までもが韓国ヒョンデのハイパフォーマンスEV「IONIQ 5 N(アイオニック5 N)」を絶賛したという報道。
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ランボルギーニCEOが「EV開発の際にヒョンデ アイオニック 5 Nのサウンドを参考にした」。いつの間にかアイオニック 5 Nは高性能EVのベンチマークに
| さらにヒョンデ アイオニック 5 Nに搭載される「疑似マニュアル・トランスミッション」も高い評価を受けている | ただしランボルギーニは現段階では「そのサウンドをどうするか」決めかねている さて、 ...
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ポルシェの911および718製品ライン担当副社長であるフランク・モーザー氏は、ドバイで開催されたイベントで驚くべきエピソードを明かしており、彼はポルシェのGT部門(最高峰のスポーツモデルを手掛ける部門)の責任者であるアンディ・プレニンガー氏をIONIQ 5 Nに乗せた際の反応をこう語っています。
「私が『IONIQ 5 Nで迎えに行くよ』と言うと、彼は『勘弁してくれ、そんな電気仕掛けのものはいらない』と言ったんだ」
「しかしクルマに乗り込み、私が(ブースト)ボタンを押すと、彼は『ワオ(Wow)』と声を上げた。アイオニック 5 Nは実に印象的な仕事をしたよ」
生粋のスポーツカー作り手であり、EV懐疑派と思われていたプレニンガー氏をも唸らせたIONIQ 5 N。
一体何が彼の心を動かしたのかが気になります。
ポルシェが「正解」だと感じた機能とは?
今回の体験にてポルシェが注目したのは、単なる加速力ではなく、IONIQ 5 Nが搭載している「アナログな感覚の再現」なのだそう。
ちなみにですが、ぼくが実際に試乗した印象だと、このクルマに何も知らさずに載せられ、「EV」だと看破できる人は(たとえ自分でステアリングホイールを握ったとしても)少ないであろうという印象で、さらにいえば「ガソリン車よりもガソリン車っぽい」。
そしてアイオニック 5 Nは「ガソリン車にはできないこと」もできるクルマであり、著名自動車メーカーのトップがこぞって高い評価を下すのも「さもありなん」。
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ちょっと衝撃。BMW M部門のボスが「ヒョンデがアイオニック5 Nで取ったアプローチは正しい」と述べ、EVにフェイクサウンドとMTロジックを組み込むことに言及
| ヒョンデ アイオニック5 Nは異常なほど称賛を浴びている | たしかにボクも一瞬、アイオニック 5 Nを「欲しい」と考えた さて、日本ではブランド自体の知名度が高くないせいか「それほど」ではありま ...
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1. 仮想シフトとサウンドの融合
IONIQ 5 Nには、DCT(デュアルクラッチトランスミッション)の変速ショックや回転数の変化を擬似的に再現する「N e-shift」という機能があり、モーザー氏はこの機能について問われた際、マンダロリアンの名台詞のごとく「This is the way(これこそが我々の進む道だ)」とコメントしています。
2. 次期718 EVへの採用シナリオ
この発言から、開発中の「次期718(ボクスター/ケイマン)EV」には、以下の機能が搭載される可能性が濃厚となり・・・。
- フラット6(水平対向6気筒)サウンドの再現: スピーカーを通じ、ポルシェ伝統のサウンドを車内で奏でる。
- バーチャル・ギアチェンジ: 実際には変速機がないEVにおいて、あえて「ギアを繋ぐ感覚」や「レッドゾーン」を演出する。
- ON/OFFの選択権: ユーザーが「完全な静寂(サイレントモード)」か「ゲームのような没入感」かを自由に選べるようにする。
ポルシェは、速さだけでなく「ドライバーが操作している感覚」こそがスポーツカーの命であると再確認したと考えていいのかもしれません。
次期718 EVとIONIQ 5 Nの比較・スペック予想
ここで、ポルシェに影響を与えた「IONIQ 5 N」のスペック、そshて現在判明している「次期718 EV」の情報を整理してみましょう。
| 項目 | Hyundai IONIQ 5 N (現行) | Porsche 718 EV (予想/開発中) |
| パワートレイン | デュアルモーター AWD | シングル(RWD) & デュアル(AWD) |
| 最高出力 | 609ps (ブースト時 650ps) | 400ps〜600ps+ (グレードによる) |
| 0-100km/h | 3.4秒 | 3秒台前半〜中盤 |
| 特筆機能 | N e-shift (仮想変速) N Active Sound+ (擬似音) | フラット6仮想サウンド 仮想ギアチェンジ機能 |
| 重量 | 約2,200kg | 目標:1,600kg〜1,700kg前後 |
| 登場時期 | 発売中 | 2027年初頭 (延期) |
718 EVの発売延期と「911」の行方
様々な報道によると、次期718 EVの発売は2027年初頭へとずれ込む可能性が高く、その主な原因はバッテリーサプライヤーの問題とされていますが、ポルシェは「重量増」を最小限に抑えることに苦心している、とも。
現行のガソリン車よりは重くなるものの、IONIQ 5 Nのような重量級ではなく、あくまでライトウェイトスポーツの精神を残そうとしていることも報じられていて、しかし「開発が遅れている」ことでGT部門の責任者がアイオニック 5 Nにふれる機会が生じ、そしてこれが今後のポルシェのEVの方向性を(もしかすると大きく)変える契機となったことは「運命のいたずら」としか言いようがないのかもしれません。
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結論:EVスポーツは「演出」の時代へ
今回のニュースは、自動車業界における「パラダイムシフト」を示唆しており、これまでは「EVにいかにして内燃機関の真似事をさせないか(スムーズにするか)」が技術の粋でしたが、これからは「いかに上質に内燃機関のフィーリングを演じるか」が評価の分かれ目になるのかも。
ポルシェがヒョンデの技術に敬意を表し、それを自社の伝統(フラット6サウンド)と融合させようとしている事実は、これからのEVスポーツカーが決して「無味乾燥な乗り物」にはならないという希望でもあり、ぼくらにとっての「期待」であるとも言えそうです。
2027年、ポルシェが世に送り出す「電気仕掛けの718」が、往年のファンを良い意味で裏切ってくれることを願わずにはいられない、といったところですね。
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参照:Drive, Automotive News


















