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1,000馬力超え2.3億円超のハイパーカー、アストンマーティン「ヴァルハラ」が開発テスト中に危険運転、現地保安官によって「御用」となる

1,000馬力超え2.3億円超のハイパーカー、アストンマーティン「ヴァルハラ」が開発テスト中に危険運転、現地保安官によって「御用」となる

| 開発車両が警察によって「御用」となるのは珍しいことではないが |

今回はよほどの危険運転であったようだ

アストンマーティンの次世代ハイブリッド・ハイパーカー「ヴァルハラ(Valhalla)」のプロトタイプが米ユタ州の警察によって「危険運転(Reckless Driving)」容疑にてお縄となり、ドライバーが検挙されるという前代未聞の事態が発生したとして話題に。

約1.5億円、1,000馬力以上を誇るこの公道走行可能なレーシングマシンの開発ドライバーは、ユタ州の広大な公道で限界ギリギリのテストを敢行していたとされ、そのレベルが「あまりに危険すぎた」と報じられています。

5年間待った甲斐があったようだ。アストンマーティンが「同社初」てんこ盛りのハイパーカー、ヴァルハラの市販モデルをついに発表。1079馬力、4WD、0-100㎞/h加速2.5秒、限定999台
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公道テストは「危険運転」の誘惑?ハイパーカーが警察沙汰になった顛末

  • 検挙された車種:アストンマーティン ヴァルハラ(プロトタイプ、推定150万ドル)
  • 容疑:ユタ州のエメリー郡保安官事務所によって「危険運転」のカドにより摘発
  • 摘発場所:I-70高速道路、グリーンリバー付近
  • 背景:市販に向けての最終的な「ブラッシュアップ」段階のテスト中に発生

詳細:なぜプロトタイプはユタ州の公道を「燃やした」のか?

アストンマーティンが長年にわたって開発を進めてきたヴァルハラは、公道とサーキット双方で最高のパフォーマンスを発揮することを目指しており、しかし開発段階における課題の一つは「その性能をテストできる環境が少ないこと(とくに公道)」。

よってアストンマーティンはテスト場所の確保に苦労した末に「広大で遮るものの少ないユタ州の道路」つまり車両の限界性能を試す格好のテスト環境を選んだのだと思われ、よって「違法行為は想定済み」であったのかもしれません。

そしてこのヴァルハラを捕らえることとなったエメリー郡保安官事務所は「エメリー郡の道路を焼き尽くすアストンマーティンのプロトタイプを検挙するのは毎日あることではない」とFacebookの投稿でコメントし、その珍しさを強調することとなっていますが、「燃やす(burning up)」という表現からすると相当な速度を出していたり、危険な動きを示していたのかもしれませんね。

さらには「開発チームが所有するプロトタイプは数が限られており、たとえ検挙されるリスクがあっても、テスト走行時間、あるいは潜在的な顧客へのプレゼンテーションのため」、公道テストは重要なプロセスと見なされていた可能性も指摘されています。

999台限定の「レッドブルとの共作」

このヴァルハラは、アストンマーティンとF1のレッドブル・レーシングとのコラボレーションから生まれた限定999台のハイパーカーで、アストンマーティンがシャシーを製造し、レッドブルがボディワークの設計を支援していることでも知られます。

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Image:Astonmartin


スペック:驚愕のPHEVパワートレイン

このヴァルハラは、アストンマーティン初のプラグインハイブリッド(PHEV)モデルでもあり、このシステムは創業者が100年以上前に考案したハイブリッドの概念を現代に引き継ぐものだという解釈もなされていますが、コアとなるガソリンエンジンは当初の計画であった「自社開発のV6」から「メルセデスAMG由来のV8」へと変更されていて、そういった経緯もあったためか開発に大きな遅れが生じてしまい、しかし今ようやくデリバリーが開始されようという段階に。

特徴詳細スペック
生産台数999台限定
パワートレインPHEV(プラグインハイブリッド)
エンジン4.0リッター V8ツインターボ(ホットV構造/ドライサンプ)
モーター3基(フロントに2基、ギアボックスに1基)
システム合計出力1,079 PS(1,064 hp)
システム最大トルク1,100 Nm(811 lb-ft)
0-100 km/h加速2.5秒
最高速度350 km/h
トランスミッション新開発の8速デュアルクラッチ(DCT)
EV航続距離約8.5マイル(約13.7 km)

革新的な技術の結晶

ヴァルハラの技術的な特徴は以下の通り。

  • リバースギアの廃止:物理的なリバースギアは存在せず、フロントの電気モーターが後退時の駆動を担当することで軽量化を実現
  • トルクベクタリング:フロントの2基のモーターがトルクベクタリングを可能にしトラクションと俊敏性を向上
  • F1の知見:アクティブエアロダイナミクスにより、240km/hで600kgを超えるダウンフォースを発生させ、高い走行安定性を確保
Aston_Martin_Valhalla_09

Image:Astonmartin

ユタ州における「危険運転」の罰則

ユタ州の「危険運転(Reckless Driving)」は、多くの場合、軽犯罪(Misdemeanor)に分類され、しかしヴァルハラのドライバーは速度超過だけでなく「一般の安全を無視した運転」と判断された可能性が高く、その罰金や法的な影響はそれなりに大きいのだと推測されます。

ただ、ヴァルハラを購入する層はこういった違法行為を「ネガティブ」に捉える可能性が低いものと思われ、むしろ「英雄的行為」としてヴァルハラの販売に向け、むしろ「はずみがついた」可能性もありそうですね。※これがもし「クラッシュ」であればまた別の問題である

結論:ヴァルハラは「危険」を冒して生まれる

アストンマーティン・ヴァルハラのプロトタイプが「危険運転」によって摘発されたというニュースは、このクルマが限界性能を極めた真のハイパーカーであることを皮肉にも証明しており、同時にヴァルハラが長年の開発期間を経て公道テストの「最終段階」に入っていることを示唆しています。

よってアストンマーティンのエンジニアたちは、警察の監視をよそに「最高速度350km/h、0-100km/h加速2.5秒」を現実のものとし顧客へと届けるため、「危険を冒してでも」テストを続行せざるを得なかったのかもしれません。

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参照:Emery County Sheriff's Office

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