
| 2025年11月国産乗用車販売ランキングTOP30:驚異の伸び率を見せたのはあのEV |
ランドクルーザーの販売がほぼ半分となった理由はナゾである
2025年11月の国産乗用車(軽自動車除く)ブランド別販売台数が発表され、トップ10のうち8席をトヨタが独占するなど圧倒的強さはそのままに、なぜかbZ4Xは前年同月比3,000%超という驚異的な成長を記録してぼくを驚かせることに。
ちなみにこのbZ4Xは10月9日に改良モデルが発売されていますが、「改良モデルが売れたのか」あるいは「改良前モデルの在庫処分が進んだのか」はちょっとナゾ(改良モデルのデモカーがディーラーへと配備されたであろう影響は否定できない)。
11月の国産車市場を3点で即理解
- トヨタの独走が加速:1位ヤリスから10位ヴェゼルまでのうち、実に8モデルがトヨタ。そのシェア支配力が圧倒的
- 最大の驚異はbZ4X:前年比3,038.5%(約30倍)という異常な成長率で、EVへの地殻変動を予感させる
- 小型車・ミニバンの人気は不変:ヤリス、カローラ、ライズ、シエンタ、ルーミーと、実用性の高い車種が上位を占める
2025年11月 国産乗用車販売ランキングTOP30
| 順位 | ブランド通称名 | メーカー | 2025年11月 販売台数 | 前年同月比 | 注目ポイント |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | ヤリス | トヨタ | 14,556台 | 77.4% | 首位キープも前年割れ。新型発表前の影響か |
| 2 | カローラ | トヨタ | 10,997台 | 67.9% | 不変の人気モデルだがシリーズ全体で苦戦 |
| 3 | ライズ | トヨタ | 10,004台 | 188.2% | 小型SUVの雄。勢いが止まらない |
| 4 | シエンタ | トヨタ | 9,703台 | 109.4% | 実用性No.1ミニバン。堅調に販売を維持 |
| 5 | ルーミー | トヨタ | 8,664台 | 191.3% | 高機能・高空間の小型ワゴンが爆発的人気 |
| 6 | アルファード | トヨタ | 7,238台 | 81.6% | 高級ミニバンの王者。需給調整中も健在 |
| 7 | フリード | ホンダ | 7,132台 | 90.3% | トップ10唯一の非トヨタ車。ホンダの頼みの綱 |
| 8 | ヴォクシー | トヨタ | 6,875台 | 117.8% | ノアとのツインで、実用ミニバン需要を掴む |
| 9 | ノア | トヨタ | 6,763台 | 113.1% | ヴォクシーと共に、ファミリー層を強固に支持 |
| 10 | ヴェゼル | ホンダ | 5,794台 | 119.3% | ホンダの小型SUV看板。ハイブリッドの強み発揮 |
| 11 | ステップワゴン | ホンダ | 5,082台 | 134.0% | フルモデルチェンジ効果で大きく成長 |
| 12 | クラウン | トヨタ | 4,597台 | 79.7% | SUV化した新型も、従来比では苦戦気味 |
| 13 | セレナ | 日産 | 4,586台 | 67.1% | 日産を代表するミニバン。モデル末期で減速 |
| 14 | ノート | 日産 | 4,426台 | 54.7% | e-POWERの主力だが、競合増で厳しい戦い |
| 15 | ソリオ | スズキ | 4,355台 | 102.8% | 小型ワゴンの定番。軽自動車プラットフォームの強み |
| 16 | プリウス | トヨタ | 4,233台 | 43.3% | 新型は好評だが、生産が需要に追いつかず? |
| 17 | ジムニー | スズキ | 4,034台 | 171.9% | 不滅の人気。軽ジムニーも含む強固なファン層 |
| 18 | RAV4 | トヨタ | 3,970台 | 384.7% | 前年比約4倍! プラグインハイブリッド(PHEV)需要が爆発 |
| 19 | ランドクルーザー | トヨタ | 3,726台 | 58.5% | 伝説的SUV。新型は受注生産で台数限定 |
| 20 | アクア | トヨタ | 3,606台 | 53.0% | 燃費の優等生。EVシフトで需要が分散か |
| 21 | ハリアー | トヨタ | 3,557台 | 77.4% | 高級感ある中型SUV。安定した人気 |
| 22 | フィット | ホンダ | 3,243台 | 75.6% | 小型車の傑作。モデルサイクルの谷間か |
| 23 | ヴェルファイア | トヨタ | 2,998台 | 96.6% | アルファードの兄弟車。ほぼ同水準で販売 |
| 24 | インブレッサ | SUBARU | 2,350台 | 84.4% | スバルの看板。四輪駆動需要の受け皿 |
| 25 | クロスピー | スズキ | 2,335台 | 200.8% | トールワゴンブームの火付け役。驚異の2倍成長 |
| 26 | スイフト | スズキ | 2,159台 | 91.8% | グローバル小型車。スポーツモデルも人気 |
| 27 | フォレスター | SUBARU | 2,119台 | 83.3% | SUVの本流。安全性と実用性で支持 |
| 28 | LBX | レクサス | 1,932台 | 108.6% | 小型プレミアムSUVの新星。新規顧客を開拓 |
| 29 | MAZDA2 | マツダ | 1,696台 | 94.9% | デザイン性の高い小型車。個性派の選択 |
| 30 | bZ4X | トヨタ | 1,580台 | 3,038.5% | 前年比約30倍! トヨタ本格EVの存在感が急上昇 |
データ出展:一般社団法人日本自動車販売協会連合会
データが示す「2025年日本市場」の4つの真実
今回のランキングから、現在の国産車市場を特徴づける明確な傾向が見えてきます。
1. トヨタの「全方位戦略」の圧倒的勝利
TOP30のうち、実に17モデルがトヨタ(レクサス含む)。
これは、小型車(ヤリス)から大型SUV(RAV4、ランドクル)、ミニバン、セダン、そしてEV(bZ4X)まで、あらゆるカテゴリーでトップクラスの商品を投入する「全方位戦略」が功を奏している証でもあり、消費者はどの車種を選んでも「トヨタなら安心」という選択を無意識にしている可能性がありそうです。
ちなみにランドクルーザーの販売は前月比で58.5%となっており、その理由はちょっとナゾ(生産のうちいくばくかが輸出分へと振り分けられたのかもしれない。ランクルは日本国内で生産されている)。
2. EVとPHEVへの地殻変動が始まった
最も衝撃的な数字は上述の通りのbZ4Xの3,038.5%増とRAV4の384.7%増。
bZ4Xは価格改定や充電サービス拡充など販売環境の改善が実を結んだ形だとも考えられ、RAV4についてはプラグインハイブリッド(PHEV)モデルがガソリン価格高騰下・インフレ下での「電気で通勤、ガソリンで遠出」というニーズに完全にマッチした結果なのかもしれません。
いずれにせよ本格的な電動化への需要が、一部の層で高まっていることを示しており、このトレンドが一過性のものかそうでないのかには注目する必要がありそうですね。
3. 「実用性の多様化」がキーワード
そして販売ランキング上位にランクインするのは単に燃費が良い車だけではなく、「ルーミー」に代表される「コンパクトなのに広い」クルマ、「クロスピー」のような「背が高くて乗り降り楽々」なトールワゴン、「ジムニー」のような「生活に非日常をプラスする」クルマがいずれも高い成長率を示しています。
消費者は、自分たちのライフスタイルに最適化された多様な「実用性」 を求めているというわけですね。
4. ホンダ・スズキ・スバルの「ニッチ戦略」
ホンダはフリード、ヴェゼル、ステップワゴンといった「独自技術(e:HEV)と実用性」の領域であり、スズキはソリオ、ジムニー、クロスピーといった「軽自動車ノウハウを活かした独自カテゴリー」で、スバルはインブレッサ、フォレスターによる「安心・安全の四輪駆動」で、それぞれ強固な正則領域を築いており、つまるところ現在の日本の自動車メーカーの生き残り戦略は「トヨタという巨人の前で差別化できる独自の価値を徹底的に磨くことができるかどうか」。
要はトヨタに対抗するのではなく、いかにトヨタの存在を受け入れつつ「その角魔を狙うか」が成功の鍵を握っているのかもしれません。
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