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トヨタ、次世代スポーツカーを単独開発へ?セリカ、MR2、次期スープラなどGRブランドの将来と戦略を探る

トヨタ

| トヨタは自らの手で「スポーツカーの未来」を切り開く |

スポーツカー開発の難しさとは

さて、トヨタは直近で「GR GT3」「レクサスLFR」の発表を控えていると見られ、さらにはセリカやMR2の開発を進めており、そして次期GRスープラの構想にも着手していると報じられます。

ただ、専用車体を持つスポーツカーを開発することは決して容易ではなく、というのもスポーツカーは販売台数が限られ、その一方で(過酷な使い方をされるので)車体やパーツに強度が求められ、普及車種のように部品を共有してコストを分散することもできず、つまるところ開発費を回収しにくく、かつスケールメリットを得にくいという現実があるわけですね。

かといって価格を高く設定して投資を回収しようとすれば、もともと小規模な市場の顧客を遠ざけるリスクもあり、会社の会計的に見れば「スポーツカーは採算が取れにくい」というのが定説です。

共同開発の道、そしてトヨタの挑戦

その解決策としてよく取られるのが共同開発。

  • トヨタ × スバル → GR86 / BRZ
  • トヨタ × BMW → GRスープラ / Z4

こうしたパートナーシップにより、販売台数を確保しつつ開発費を分散できるため、メーカーにとっては「現実的な」方法です。※これらは両方とも現行モデル限りで終了すると報じられている

しかし今回、世界最大の自動車メーカーであるトヨタが「単独でのスポーツカーの開発にも自信を見せている」として大きな話題に。

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「GR専用スポーツカー」を独自開発?

トヨタ・オーストラリアのセールス&マーケティング責任者、ショーン・ハンリー氏は「GR専用スポーツカーを自社で開発できるのか?」というカーメディアからの質問に対し以下のように回答。

「Yes, yes, and yes. You'll have to wait and see.」
(はい、はい、そしてはい。待っていてください。)

つまり、トヨタは単独でGRブランド専用スポーツカーを開発する能力と意志を持っており、ぼくらはその成果物としてのクルマを実際に「見ることができる」のだと考えられます。

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候補となるモデルたち

ハンリー氏の発言が具体的にどのモデルを指すのかは不明ですが、いくつかの可能性があります。

  • LFR(レクサスの次期スーパーカー)
     → ただしGRブランドではなく、レクサス専用モデルとして登場予定。GR GT3としての発売もあるかもしれない。
  • セリカ、MR2復活
     → 長年噂されているものの、試作車は未確認。
  • FT-Seコンセプト
     → EVスポーツ、2026年以降に登場予定。
  • スープラ後継
     → 現行モデルは2026年に終了予定だが、名称は残ると発表済み。
  • S-FRの再来?
     → 10年前に公開された小型FRスポーツのコンセプト。近年、日本のメディアが再びその実現可能性を報じている。

ただしSUV全盛の時代において、複数のスポーツカーを同時に展開するのは現実的ではなく、トヨタの取捨選択が注目されますが、すでに「SUVラインアップも隙間なく展開している」ことを考慮すると、「次はスポーツカーの拡充」だとトヨタが考えてもおかしくはないのかもしれません。

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Image:Toyota

GRの新エンジンと技術的基盤

なお、トヨタは新しいスポーツカーの基盤として新開発の2.0リッター直4ターボを用意。

  • 縦置き・横置き両対応
  • フロントエンジンにもミドシップにも搭載可能

この柔軟性が今後のGRシリーズに広がりを持たせる可能性があり、さらに上位バージョンとしてはレクサスLFRにV8+電動化のパワートレインが搭載されると噂されており、GRブランドの技術的アイデンティティは明確に差別化されるものと考えられます。※次期スープラに必須と見られる直6については、現時点でトヨタはこれを持たない

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一方、採算面で優位にあるのは量販モデルの派生型。

  • GRヤリス
  • GRカローラ

どちらもベースとなる市販車の人気が高く販売台数も多いため、開発コストを分散でき、専用スポーツカーよりはるかに現実的で、となるとトヨタは既存モデルをベースとした「GRモデル」を追加で投入するという可能性も。

実際のところ、トヨタ・ガズーレーシングの高橋智哉社長は「GRブランドの大型SUVは必要だ」とも発言しており、GR版SUV(これをスポーツカーと呼べるかどうかは別として)の登場が将来的には有力視されています。

これに加え、GRヤリスやGRカローラのように、「GR化できる」「GR化する理由がある(モータースポーツ参戦など)」モデルはいまのところトヨタのラインアップには見当たらず、これを考慮しても、「もし既存モデルのGRバージョンを投入するならば」やはり視点を変えてSUVになるのかもしれません。

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まとめ:トヨタは「GR専用スポーツカー」を復活させるのか?

スポーツカー市場が縮小する中、トヨタは既存モデル派生のGRと専用スポーツカーの両面でアプローチを模索している最中であると考えられます。

  • 現行GRスープラ終了後の後継モデル
  • セリカの復活
  • MR2の復活
  • S-FRの再来
  • 新型SUVのGRモデル

いずれも実現可能性が議論されているものの、トヨタの規模と開発力、そしてなにより豊田章男会長の意向を考えれば、単独開発でGR専用スポーツカーを復活させる未来は十分にあり得るといえそうです。※ただ、以前には「単独での開発は難しい」というコメントが出されたこともある

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参照:Drive

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