
| トヨタのCMは過去に何度も放送中止になっている |
この記事を5秒で理解できる要約
- 事件: オーストラリアでトヨタ・GRヤリスのテレビCMが「危険運転を助長する」として放送禁止に
- 内容: ラリー選手がバーガーを買いに行く設定で、砂利道のスライドや大ジャンプを披露
- トヨタの主張: 「モータースポーツの血統を表現したフィクション」と反論するも、当局は認めず
- 背景: 豪州は世界屈指の広告規制。2021年にも「ガレージでのタイヤ空転」だけで禁止された前例あり
- 波紋: 「パフォーマンスカーの魅力をどう伝えればいいのか?」と自動車メーカーの苦悩が浮き彫りに
クルマの「楽しさ」が規制の対象に?情熱とルールの板挟み
「走る楽しさ」を追求するトヨタのスポーツブランド、Gazoo Racing(GR)。
その象徴ともいえるGRヤリスの最新CMが、オーストラリアで放送禁止の憂き目に遭ったというニュースが報じられており、クルマ好きなら思わず見入ってしまうような圧巻のドライビングテクニックが、なぜ当局の逆鱗に触れてしまったのか。
そこには日本とは大きく異なる「厳しい安全基準」とパフォーマンスカーを売るための「表現の限界」という深い溝があり、ここでは物議を醸しているCMの内容、そしてこの騒動の裏側ついて考えてみたいと思います。
問題の「バーガー・ラン」広告。何が“アウト”だったのか?
放送禁止となったCMの舞台は、オーストラリアのアウトバック(未開の地)。ラリー用ヘルメットを被ったドライバーが「Up'n Down Burgers」という架空の店で注文し、バーガーが準備される間にGRヤリスを激しく走らせるという内容です。
規制当局が「NO」を突きつけた3つの描写
- 砂利道でのドリフトスライド: 未舗装路で車体を横に滑らせるドリフト走行
- 豪快なジャンプ: バーガーを受け取る瞬間の車両の跳躍
- 濡れた路面でのスピン: 雨のターマック(舗装路)でのスライド
豪州の広告審査機関(Ad Standards)は「これらの運転は公道で行われれば確実に違法であり、危険な運転行動を奨励している」と断じ、一方のトヨタ側は「プロによる閉鎖されたコースでのスタントであり、ファンタジー(空想)である」と主張。
しかし今回、トヨタの主張が聞き入れられなかったというのがことの顛末です。
実際は「トヨタの勝利」?
ただ、ぼくとしては「これはトヨタのマーケティングの一つ」として考えていて、その理由は「トヨタは過去に何度もCM放映禁止処分を食らっていて、放送コードを理解しているはずだから」、そして実際に「GRヤリスが販売されていないアメリカなど他の地域においても大きな話題となり、この動画がYoutubeなど動画共有プラットフォームにて光の速さで拡散しているから」。
よってトヨタは「放送禁止になり、それが話題となり、そのCMを見ようとする人が殺到する」ことを予測しながら、あえてこのCMを作ったんじゃないかと考えているわけですね。
実際のところ、トヨタは同じオーストラリアにて、これもGRヤリスだったと思うのですが、「実家にピザを買って帰る」際に農道を爆走するCMが放映中止となったことがあり(これは動画を探したが見つからない)、今回のパターンも「前回と同じ」。
さらにトヨタはこういった「CMの表現規制の厳しさ」を逆手に取ったWEB専用動画(WEBだと公共の電波の規制を受けない)をいくつか公開していて、「その走りの魅力を伝えたい」GRのプロモーション担当と、厳しい制約を主張する広告代理店とのやりとりをユーモラスに表現したシリーズも。
これら動画の中では「スポーツ走行がいかに(TVCMでは)規制を受けるか」、そしてその基準のバカらしさを示していて・・・。
GRスープラの「走りの素晴らしさ、楽しさ」を示すCMを「広告代理店の言い分のまま」作ろうとすると、女性がレーシングスーツとヘルメットを着用し、スーパーで日用品の買い出しに行くという内容になってしまう(クルマが走ることすら許されない)ということを痛烈に批判。
こういった感じで「CMコード」をよく理解しているのがトヨタでもあり、よって今回のGRヤリスについても「知っててやった」と考えているわけですね。
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