
| ランドクルーザーが本家を超えた70年の軌跡 |
この記事のポイント
- ランクルは、大戦中に米軍から鹵獲(ろかく)したジープをトヨタが分解・研究したことから始まった
- 当初は「トヨタ・ジープBJ」と名乗っていたが、商標トラブルにより「ランドクルーザー」へ改名
- 2026年、伝説のFJ40を彷彿とさせる「新型ランドクルーザーFJ」がついに登場へ
戦利品から始まった「日本のジープ」
今や世界で最も信頼されるSUVとなったランドクルーザー。
しかしその出発点は、1941年のフィリピンにあり、当時の日本軍が米軍から鹵獲した「バンタムMk II(ジープの原型)」を日本へ送り、トヨタに「これと同じものを作れ、ただし外見は変えろ」と命じたことが全ての始まりだとされ、こうして生まれた試作車「AK10」こそが、ランクル家系の“隠された先祖”なのだそう。
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祝!ランクルが累計販売1000万台を達成。トヨタ「お客様が1,000万通りの道を走り、クルマを鍛えた轍の上にランクルが存在している」
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詳細:商標争いから生まれた「陸の巡洋艦」
さらに戦後の1951年、朝鮮戦争を機に再び米軍仕様の車両が必要となり、トヨタが開発したのが「BJ型(B型エンジンを積むジープという意味)」。
当初、トヨタはこのクルマを「トヨタ・ジープ」と呼んでおり、しかし、これに激怒したのが本家ジープの商標を持つウィリス・オーバーランド社です。
- 1954年: 「Jeep」の使用を禁じられ、急遽改名が必要に
- 命名の瞬間: 技術部長であった梅原半二氏が、英国のライバル「ランドローバー(陸の放浪者)」に対抗し、「ランドクルーザー(陸の巡洋艦)」と命名
皮肉にも、この「強制的な改名」が世界中に轟く独自のブランドを築く第一歩となったわけですが、「BJ型」については別の説もあり、当時日本の統治に当たっていたGHQがトヨタや三菱に「全地形対応型」の実用車を作るようにと命じ、そこでトヨタが制作したのがBJ型で、結果的に採用されたのは三菱版であったため、トヨタはその開発コストを吸収するために「民生用」としてBJ型を発売したという説も。
そして「ランドクルーザー」命名の由来については上記の説が「一般的」ではありますが、現在トヨタは公式サイトにてこの記載を行っておらず、「陸の巡洋艦を意味する」とだけ記載しています。
もう一つ参考までに、三菱は1953年にウィリス・オーバーランド社とライセンス契約を締結して正式に「三菱ジープ(Mitsubishi Jeep)」を日本国内で生産開始していますが、1988年にはJeepブランドの商標・権利関係の整理とともに契約が解除され、これによって「三菱の4WD」はパジェロへと移行することに。
Image:MITSUBISHI
【系譜図】ジープのコピーから「世界のランクル」への進化
ここでランクルが「本家ジープより優れている」と言われるようになった決定的な歴史、そしてその系譜(ワールドワイド)を振り返ってみるとざっと以下の通り。
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20系
年式:1958年~1960年
エンジン:3.9L 直列6気筒
トランスミッション:3速マニュアル
アメリカに初めて導入されたランドクルーザー。四輪駆動を標準装備し、日本では数年前に先行してデビュー済み。
Image:TOYOTA
40系
年式:1960年~1983年
エンジン:3.9L 直列6気筒、4.2L 直列6気筒
トランスミッション:3速/4速マニュアル
40系ランドクルーザーは非常に長い生産期間を誇り、1960年代を通じてアメリカ市場で最も人気のあるモデルとして販売された時期も。
Image:TOYOTA
55系
年式:1967年~1980年
エンジン:3.9L 直列6気筒、4.2L 直列6気筒
トランスミッション:3速/4速マニュアル
ランドクルーザーの魅力をより幅広い層へ広げるため、55系では快適性を重視した装備が追加される。一方で、40系譲りの高い走破性は維持されている。
Image:TOYOTA
60系
年式:1980年~1990年
エンジン:4.2L 直列6気筒、4.0L 直列6気筒ディーゼル
トランスミッション:4速/5速マニュアル、4速オートマチック
60系はそれまでの世代から大きく進化し、内外装ともにモダンなデザインを採用。この世代以降、アメリカ向けランドクルーザーはオンロードでの快適性と高いオフロード性能の両立を重視する方向へと舵を切ることに。
Image:TOYOTA
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80系
年式:1991年~1997年
エンジン:4.0L 直列6気筒、4.5L 直列6気筒、4.1L 直列6気筒ディーゼル、4.1L 直列6気筒ターボディーゼル
トランスミッション:5速マニュアル、4速オートマチック
フルタイム4WDとセンターデフロックを標準装備し、80系は最も象徴的かつ人気の高いランドクルーザー世代のひとつ。4.5リッターエンジンの登場により、最高出力は初めて200馬力を超える。
Image:TOYOTA
100系
年式:1998年~2007年
エンジン:4.7L V8
トランスミッション:4速/5速オートマチック
トヨタはこの世代で初めて、ランドクルーザーにV8エンジンを設定。フェイスリフト後のモデルでは最高出力275馬力を発揮。
Image:TOYOTA
200系
年式:2008年~2021年
エンジン:5.7L V8
トランスミッション:6速オートマチック
オフロード/オンロード双方に対応する電子制御装備を多数搭載し、200系は高級SUVとしての性格を強めながらも、過酷なトレイルを走破できる性能を備えていた。5.7リッターV8は381馬力を発生。
Image:TOYOTA
250系
年式:2024年~現在
エンジン:2.4L 直列4気筒ターボ ハイブリッド
トランスミッション:8速オートマチック
短い空白期間を経て登場した新型ランドクルーザー。シリーズ初となるハイブリッドパワートレインを採用し、3列シートの設定は用意されていない(逆に日本だとノンハイブリッド、3列仕様)。
Image:TOYOTA
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トヨタ・ランドクルーザーはこうして世界で愛されるようになった!その誕生から進化、未来まで
| FJの「J」はジープの「J」だった | https://www.flickr.com/photos/110074903@N02/49759474828/in/dateposted-public/ ...
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2026年の新展開:伝説の「FJ」が小型サイズで復活
そしてトヨタは2026年から「ランドクルーザーFJ(通称:ベビーランクル)」の生産を開始することになりますが、これは、かつてのFJ40のような「無骨でコンパクトなランクル」を求めるファンの声に応えたもの。※もちろん、FJクルーザー復活としての意味もある
ハイラックス譲りの堅牢なラダーフレーム(IMVプラットフォーム)を採用しつつ、RAV4に近いサイズ感で、街乗りから過酷なオフロードまでこなす「最強の普段使いマシン」になると期待されています。
Image:TOYOTA
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トヨタが新型「ランドクルーザーFJ」発表:カスタマイズ性が魅力のコンパクトオフローダー、ランクルファミリーを拡大へ
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トヨタは「ランドクルーザー」の世界観を拡張し続ける
さらにトヨタはこのランドクルーザーFJの発表に合わせて「ランドホッパー(Land Hopper)」をリリースしており、「ランド」シリーズを拡張する意向を見せているというのが現在の状況です。
Image:TOYOTA
さらにトヨタは「フルエレクトリック」パワートレーンを搭載するランドクルーザーSeも発表しており、新しいステップを踏み出すことに。
Image:TOYOTA
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トヨタが「電動、モノコック採用」となる新生代ランクル「ランドクルーザーSe」を公開。ランドクルーザーの新たな可能性を示唆、その世界観を拡大
| おそらくトヨタはランドクルーザーに「世界中どこでも走れるよう」あらゆる選択肢を追加することを検討中だと思われる | 使用する環境、用途に応じたバリエーションを展開することになりそうだ さて、トヨタ ...
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さらに「ランドクルーザー魂」は地球だけにとどまらず、トヨタは「FJ40」風のマスクを持つルナローバー(月面車)を2029年に「月に送り込む」としており、その活躍の場が宇宙にまで広がることを意味します。
Image:TOYOTA
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トヨタが「2029年に月に送り込む」ランクル顔月面車の名称を「ルナクルーザー」に決定したと発表。ランクル精神はついに宇宙へ
| 月のみならず火星での活躍にも期待 | トヨタは2019年3月に「トヨタのクルマを月に送る」と発表していますが、今回その名称が「ルナクルーザー」に決定した、とアナウンス(これまでは”有人与圧ローバ” ...
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なぜトヨタはジープより「上手く」やれたのか?
上述の通り、「ジープの模倣」からはじまったランドクルーザーではありますが、トヨタがジープの単なるコピーで終わらせず、本家ジープを凌駕できた理由は、日本独自の「QDR(品質・耐久性・信頼性)」への執念にあるといっていいのかも。
「壊れないこと。もし壊れても、必ず帰ってこられること」
この思想こそが、ジープから学んだ技術にトヨタが付け加えた最大の「付加価値」であるとも考えられ、ルーツから70年以上の時を経て、かつてジープを分解していたエンジニアたちの情熱は最新の300系や250系、そして2026年の新型FJへと脈々と受け継がれているわけですね。
Image:TOYOTA
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参照:TOYOTA, CARBUZZ, MITSUBISHI


























