
| 12チリンドリの発売時期から逆算すると、かなり早い段階から計画が始まったものと思われる |
この記事のポイント
- 究極のビスポーク: 韓国市場向けに製作された世界に一台(ワンオフ)の12チリンドリ
- 伝統と革新の融合: 高麗青磁に着想を得た新色「ユンスル(Yoonseul)」ペイントを採用
- 世界初の試み: 半透明のエンブレムや、馬毛編みを用いたダッシュボードなど、フェラーリ史上初のディテールが満載
- アーティストの競演: 伝統工芸の大家からサウンドアーティストまで、韓国の才能が集結
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フェラーリのパーソナライゼーションプログラム「アトリエ」「テーラーメイド」とは何なのか?いずれも顧客の個性や好みを反映させることが可能であるが「範囲が異なる」
| 「アトリエ」は基本的に”あらかじめ用意された選択肢”から仕様を選び、「テーラーメイド」は選択肢そのものを”作る”ことからはじまる | しかしいずれも「非常に特別な体験」であることに代わりはない さ ...
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走る「韓国現代アート」としてのフェラーリ
フェラーリの歴史は、王族やスターたちが自分だけの一台を仕立てた「パーソナライゼーション」の歴史でもありますが、2026年1月、ソウルで初公開されたこの特別な「12チリンドリ」はその伝統を現代のアジア文化の象徴へと昇華させています。
単なる「ボディカラーのカスタマイズ」に留まらず、韓国の伝統的な素材や哲学をフェラーリの最新テクノロジーで再解釈したのがこの一台でもあり、300km/hを超えるスピードで駆け抜ける、文字通りの「走る芸術品」が誕生したというわけですね。
アーティストたちがフェラーリに吹き込んだ「韓国の魂」
この車両には、4組のアーティストによる独自の創造性が細部にまで宿っています。
1. 塗装:きらめく陽光「ユンスル(Yoonseul)」
車体色は、韓国語で「波間にきらめく陽光」を意味する「ユンスル(Yoonseul)」と名付けられたもの。高麗青磁の繊細な緑をベースに、ソウルのネオンを思わせる紫や青が光の当たり方で真珠のように変化するイリデセント(パール)仕上げ。
なお、フロントフードにはGRAYCODE, jiiiiin氏による、「V12エンジンの咆哮を音響解析し、その波形を可視化した」グラフィックが描かれています。
2. 内装:世界初の「馬毛」ダッシュボード
テキスタイル・アーティストのチョン・ダヘ(Dahye Jeong)氏は、伝統的な馬毛編み(Mongolian horsehair)をダッシュボードに統合。さらに、シートやフロアには韓国企業と共同開発した最新の「3Dテキスタイル」が採用され、ガラスルーフには光と影の調和を生むスクリーン印刷が施されています。
3. エムブレム:幻想的な「半透明」の跳ね馬
キム・ヒョンヒ(Hyunhee Kim)氏は、フェラーリの象徴である「跳ね馬(プランシングホース)」やスクデリア・フェラーリのシールド、Ferrariバッジを半透明の素材で製作。フェラーリ公式ラインで半透明のバッジが採用されるのは史上初の試みだそうですが、近年になってフェラーリはシールドやFerrariバッジの仕上げに選択肢をもたせるようになっており、「純正オプション」でもブラック仕上げのFerrari文字が選べるように。※この「半透明」はコクピット内のディティールにも見られる
4. 漆とサウンド:白の美学とV12の可視化
イ・テヒョン(TaeHyun Lee)氏は伝統的な白漆(しろうるし)の技法に着想を得た「ホワイト・ブレーキキャリパー」と「ホワイト・パドルシフト」を実現。
こういった数々の仕様を見るに、この12チリンドリ「テーラーメイド・コリア」はいままでのテーラーメイドの範疇を超える、非常に高いレベルのパーソナライゼーションが盛り込まれた一台だといえそうですね。
スペック:芸術の皮を被った「830馬力の猛獣」
12チリンドリ「テーラーメイド・コリア」は、その内装や外装がどれほど優雅であっても、その心臓部は純粋なフェラーリです。
| 項目 | スペック |
| エンジン | 6.5L 自然吸気 V型12気筒(F140HD) |
| 最高出力 | 830 cv @ 9,250 rpm |
| 0-100km/h 加速 | 2.95 秒 |
| 最高速度 | 340 km/h 以上 |
| トランスミッション | 8速 デュアルクラッチ(F1 DCT) |
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結論:ラグジュアリーの未来は「文化的知性」にある
この12チリンドリ・テーラーメイドは、単なる「カスタム車両」ではなく、イタリアのエンジニアリングと韓国のクラフトマンシップ、そしてアメリカのキュレーションが融合した「グローバルな対話」の結晶です。
フェラーリは、このプロジェクトを通じて、将来のハイエンド・カスタマイズが「性能」や「希少性」だけでなく、「その土地の文化をどれだけ深く理解し、表現できるか」という新しいステージにあることを証明したわけですね。
新しい知識と気づき:特別な「白」へのこだわり
フェラーリで「白いブレーキキャリパー」や「白いパドルシフト」が採用されるのは、実は非常に珍しいことです、通常、熱や汚れの問題で避けられがちな「白」ですが、イ・テヒョン氏の提唱する「韓国の白漆」の透明感と深みを表現するため、フェラーリのR&D部門は耐久性を確保した専用のフィニッシュを開発したのだそう。
これこそが、テーラーメイドの真骨頂と言え、そのダイナミズム、そして醍醐味だとも言えそうです。
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参照:Ferrari
















