
| このままロッソのフェラーリが生産され続けば、市場に存在するフェラーリのロッソ比率も確実に上昇するであろう |
ロッソの価値を維持し、他のボディカラーの価値を上昇させるためにも、フェラーリは「ボディカラーにバリエーションを持たさねばならない」?
さて、フェラーリは先日「2030年までの修正計画」を発表していますが、ここでは「2026年の利益目標を1年前倒しで実現」「EV構成比率を40%から20%に引き下げ」「逆にガソリン車比率を20%から40%に引き上げる」「2030年までに毎年4モデルを発表」といった方針が発表されています。
そして(局地的な展開だからか)あまり目立たなかったものの、ぼくとしては注目したいニュースが「東京にもテーラーメイドセンターができる(2027年目処)」というもの。
このテーラーメイドセンターは現在イタリア本社のほか、ニューヨークや上海にも設置されていますが、今回「東京」そして「ロサンゼルス」にも展開されることがアナウンスされたわけですね。
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日本でも「テーラーメイド比率が向上」?
この「テーラーメイド」は通常オプションの枠を超えて車両をパーソナライズできるプログラムではありますが、同時にフェラーリにとっても「手間がかかる」作業であり、対応できるスタッフの数が限られているためか、これまでは「テーラーメイドを利用できる顧客の数に限りがあった」とされ、しかし今回東京そしてロサンゼルスの拠点を拡大するということは「テーラーメイドに対応できるスタッフを増員し、テーラーメイドにて仕上げることができる車両の数を増加させてゆく」ということなのかもしれません。
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実際のところ、これは「利益率を引き上げる」という目標を掲げるフェラーリにとって「理にかなっている」戦略で、希少性を担保しつつも営利企業としての売上高と利益を拡大させるには「販売台数を増やさずに、しかし1台あたりの販売金額を増やしてゆく」必要があって、そしてそのためには「顧客が1台にかける金額」を増加させねばならないわけですね。
そしてそれを実現するために非常に効果的なのが、この「テーラーメイド」ということになりますが、東京にもスタジオが開設されることで(フェラーリを注文する顧客にとっても)そのハードルがぐっと下がり、今後はより個性的なフェラーリがあふれることになるのかもしれません。
フェラーリは「個性」を重視?
なお、直近のフェラーリは「個性」を重視しているように思われ、どういうことかというと「レッド(ロッソ)意外の個体を増やしたいという意向が感じられる」ということで、ここ最近だと折に触れて「レッド以外」のボディカラーをアピールすることが多くなり、さらにはウエアなど小物類についてもレッド以外を押し出すことが多くなったから。
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その真意はわからないものの、ぼくが推測するに「レッドのフェラーリばかりが市場に溢れてしまうと、それはそれでフェラーリの希少性を損なってしまう可能性があり、よってフェラーリは「可能な限り”被らない”ボディカラーや仕様を持つ車両を世に送り出すことで、個々のフェラーリの希少性を担保したいんじゃないか」。
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なんといってもフェラーリは「コレクションとして」購入されることが多く、よって他のクルマのように廃車になったり不動車になったりする確率が低く、そのため”販売したフェラーリはその台数分だけ累積されてゆく”のだと考えられ、この状況において「レッドのフェラーリばかりが積み上がってゆく」のは好ましいとは言えないのかもしれません。
そういった意味でもフェラーリはテーラーメイドを推進することで「レッド以外」、あるいは「いま存在するほかのフェラーリとは被らない、唯一無二の」仕様を持つ個体をより多く製造することにより、「ボディカラーの希少性」をも維持しようとしているのでは、と考えるわけですね。
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