
| 「アトリエ」は基本的に”あらかじめ用意された選択肢”から仕様を選び、「テーラーメイド」は選択肢そのものを”作る”ことからはじまる |
しかしいずれも「非常に特別な体験」であることに代わりはない
さて、フェラーリをオーダーする過程において一度は挑戦してみたいのが「アトリエ」「テーラーメイド」。
フェラーリはもともと非常に豊富なオプションを持っていますが、そのオプションを超える範囲でのカスタムを行おうとなるとこれら「アトリエ」「テーラーメイド」を活用する必要も出てきます。
いずれも顧客が自分だけの特別なフェラーリを創り上げるためのパーソナライゼーション・プログラムであり、どちらも顧客の個性や好みを反映させることを目的としていますが、そのアプローチと範囲には違いがあり、ここでその内容を確認してみましょう。
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フェラーリのパーソナライゼーション・プログラム「アトリエ」とは
そこでまずは「アトリエ (Atelier)」ですが、おおよそ(ぼくが知る範囲では)以下の通り。
- コンセプト: 「アトリエ」は、より幅広い顧客が利用できる、比較的シンプルなパーソナライゼーションの選択肢を提供するプログラム。
- 内容: 主に、ボディカラー、内装の素材や色、ホイール、ブレーキキャリパーの色など、あらかじめ用意された多彩なオプションの中から顧客が自由に選択し、組み合わせることができる。
- プロセス: 通常、フェラーリの正規ディーラーに設けられた専用スペース(アトリエ)にて、用意された素材サンプルやカラーチャートを見ながら、担当のコンサルタントからの提案を受けたり相談しながら仕様を決めてゆくほか、バーチャルコンフィギュレーターを使用し完成イメージを確認することも可能(本国イタリアとオンラインにてミーティングを行うのが一般的であるもよう)。
- 目的: 顧客が自分の好みに近い、個性的なフェラーリを手に入れるための第一歩となるプログラム。
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フェラーリのパーソナライゼーション・プログラム「テーラーメイド」とは
そして次は「テーラーメイド(Tailor made)」。
これはフェラーリが強くアピールしているプログラムでもあり、公式Facebookページにおいてもテーラーメイドを通じて製作した車両をチョコチョコと公開しています。
イタリア本社にも「テーラーメイド」専用スタジオがあり、ここは昨年(フェラーリ本社を)見学に行った際にも「テーラーメイド利用者以外は立ち入り不可(見学不可)」だと説明されたほどのエクスクルーシブなプログラムで、もちろんフェラーリがこれに対応できる数も限定されているため、「限られた(選ばれた)顧客のみに門戸が開かれる」ということもよく知られていますね。
- コンセプト: テーラーメイドは、より特別な顧客に対し、文字通り「オーダーメイド」の究極のパーソナライゼーションを提供する、エクスクルーシブなプログラム。
- 内容: アトリエのオプションに加え、ほぼ無限に近い素材、カラー、仕上げ、ディテールを選択可能。過去のフェラーリの要素を取り入れたり、顧客自身のライフスタイルやインスピレーションを反映させた、世界に一台だけのフェラーリを創り上げることができる。
- プロセス: マラネッロにあるフェラーリ本社内の専用スタジオ、またはニューヨーク、上海に設けられた特別なスペースで、パーソナルデザイナーを含む専門チームと共に、数回にわたる綿密な打ち合わせを重ねて仕様を決定。素材の選定からデザインの細部に至るまで、スタッフが顧客の要望を丁寧にヒアリングし、実現に向けてサポートしてくれる。
- インスピレーション: テーラーメイドには、「スクーデリア (Scuderia)」「クラシカ (Classica)」「イネディタ (Inedita)」という3つのコレクションが用意されており、顧客はこれらのテーマを参考にしながら、自身の理想とするフェラーリを具体化してゆく(ただ、これらに従わなくても良い)。
- スクーデリア: フェラーリのレーシングスピリットを表現。カーボンファイバーやテクニカルファブリックなど、スポーティーな素材が特徴。
- クラシカ: 過去のフェラーリの名車からインスピレーションを得た、エレガントでタイムレスなスタイル。ヴィンテージレザーやウールなどが用いられる。
- イネディタ: 革新的な素材やカラーリング、仕上げを取り入れ、未来的なスタイルや個性的な表現を追求し、デニムやテクニカル素材などが用いられることも。
目的: 単なるオプション選択ではなく、顧客の夢や個性を体現する、唯一無二の芸術作品のようなフェラーリを創り上げることを目指すプログラム。
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まとめ:フェラーリ「アトリエ」「テーラーメイド」とは
「アトリエ」は、豊富な(あらかじめ用意された)選択肢の中から自分好みのフェラーリを仕立てるプログラムであるのに対し、「テーラーメイド」は、より深く顧客の要望に応え、ときには既存の選択肢にない素材・デザイン・仕上げを追求しつつ、世界に一台だけの究極のカスタムフェラーリを創り上げる”よりパーソナルでエクスクルーシブな”プログラムと言えそうですね。
参考までに「フオーリ・セリエ(シリーズ外という意味のイタリア語)」なるプログラムもあり、これは一説によるとフェラーリの上位50人を対象とした「自分だけの車種」を作ることができるプログラムだそうで、そのコストは「数億円」、そして納車までには3年ほどが必要だと言われています。
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