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アストンマーティンの赤字拡大、「F1命名権」を105億円で売却。ただしその内容は「関連当事者取引」であり「身内での資金移動」ということに

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| これまで幾度となく危機にさらされてきたアストンマーティンではあるが |

ただし売却先は「身内といえば身内」

ジェームズ・ボンドの愛車として世界中にファンを持つアストンマーティンが”かつてない”財政的苦境に立たされており、2026年2月20日、同社はF1チームのブランディング権をアストンマーティン会長であるローレンス・ストロール氏が間接的に支配するAMR GPホールディングスへ売却すると発表しています。

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記事の要約

  • 資金調達の断行: アストンマーティンF1チームの命名権を5,000万ポンド(約105億円)で売却し手元流動性を確保
  • 業績悪化の背景: 北米・中国市場の需要減退と関税圧力により、2025年の出荷台数は前年比10%減。市場予想を上回る赤字へ
  • 株価の反応: 業績下方修正の発表を受け、ロンドン市場で株価は4%以上下落
  • 2026年の光: 次世代ハイパーカー「ヴァルハラ」のデリバリー開始による大幅な収益改善に望みを繋ぐ

名門の危機か?「アストンマーティンF1」の名を売るという選択

一見すると「名前を売る」という衝撃的なニュースではありますが、これはグループの財務基盤を強化するための”戦略的な資金移動”の一環で、筆頭株主であるストロール氏に加え、株主である中国の吉利(ジーリー)やメルセデス・ベンツもこの売却を支持しており、今回のネーミングライツの売却はブランド存続のための「止血措置」ということに。

要するに身内の中で資金を循環させたということになりそうですが、この状況を見る限りでは「命名権が売却されたといえど」そのF1チームの名が変わることは無いのかもしれません(アストンマーティンの市販車部門はF1チームの活躍によって販売を大きく伸ばしており、よってその名称を変更する理由はない)。

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アストンマーティン「F1のペースカーに採用されてから売上が最大で8000万ドル(110億円)増えた。最初は効果があるか疑問だったが、今は実感できる」
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詳細:数字で見るアストンマーティンの現在地

今回の発表から見える、アストンマーティンの現在の状況と課題を整理してみると以下の通り。

主要財務データと業績予測

項目詳細内容
F1命名権 売却額5,000万ポンド(約105億円)
2025年 出荷台数前年比 約10%減
年間調整後営業損失1.39億〜1.84億ポンド(約260億〜345億円)超の見込み
主要株主の動向ストロール、吉利、メルセデス・ベンツが計54%の議決権で売却を支持

苦戦の要因:高収益モデルの不足

2025年の出荷台数減に加え利益率の高い「スペシャル・エディション」のデリバリーが少なかったことが収益を大きく圧迫したと報じられ、また同社にとっての最大市場である中国での需要急減や北米での関税リスクが重なったことがこの状況に追い打ちをかけている、と報じられます。

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逆転のシナリオ:2026年、ハイパーカー「ヴァルハラ」が鍵を握る

厳しい冬の時代を過ごすアストンマーティンではあるものの、2026年に向けた「復活のロードマップ」は明確で・・・。

  • ハイパーカー「ヴァルハラ(Valhalla)」:2026年には約500台のデリバリーを予定しており、F1の技術を注ぎ込んだこのハイブリッドハイパーカーは”極めて高い”利益率を誇り、同社の収益構造を劇的に変えることが期待されている
  • コスト削減の徹底:新型車の開発費抑制や運営コストの最適化を継続。F1チームとの資本関係を整理することで、より自動車製造の本業にリソースを集中させる計画を持っている
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結論:アストンマーティンの真価が問われる2026年

今回のF1命名権の売却はファンにとって複雑な心境かもしれません。

しかしこれはアストンマーティンが「独立したラグジュアリーブランド」として生き残るための極めて現実的なビジネス判断でもあり、2月25日に予定されている年次決算発表にてさらに具体的な再建策が語られることになるものと思われます。

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参考:F1の命名権と「関連当事者取引」

今回の取引は、アストンマーティンの会長であるストロール氏がF1チームのオーナーでもあるため、「関連当事者取引」と呼ばれます。

株主の利益を損なわないよう厳しい透明性と株主総会での承認が必要となる取引ではありますが、ストロール氏が自らの”身銭を切って”F1チームを通じてアストンマーティン本体に資金を注入する形に近いのだと理解でき、アストンマーティン復活への執念が伺える対応でもありますね。

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参照:Reuters

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