
| 新体制への移行後、マクラーレンから発信されるニュースは極端に減っていた |
伝統の破壊か、究極の進化か?
「マクラーレンは2ドアのミッドシップ・スーパーカーしか作らない」――。そんな長年の不文律が、ついに書き換えられようとしています。
マクラーレン・グループ・ホールディングスのニック・コリンズCEOが今年の夏までに「2030年までに投入する複数の新型車計画を公表する」と明かしており、ついに新体制となった後の「新しい計画」が解禁されるということに。
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ちなみに新体制になった後のマクラーレンはプレスリリース配信回数が極端に減っており、ベントレーやブガッティ、ロールス・ロイスのように「車種が少ない」ほか自動車メーカーが「ワンオフモデルの発表など」でネット上を賑わせるのとは全く異なって「ひっそりとした」状態が続いており、そのためぼくはここ最近において「大丈夫かマクラーレン・・・」と心配していたわけですね。

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記事のポイント:3分でわかるマクラーレンの新戦略
- SUV市場への参入示唆: フェラーリ・プロサングエやランボルギーニ・ウルスに対抗する実用的モデルの開発
- 内燃機関(V8)の継続: 「市場はまだEVを求めていない」とし、V8エンジンとハイブリッドを主力に据える
- 巨大資本の背景: アブダビのCYVNホールディングス主導で、スタートアップ「Forseven」と合併。開発資金が大幅に強化
- 新世代ハイパーカー「W1」: P1の後継モデルがいよいよ路上へ。これが新時代のデザイン指標に
マクラーレンを変えた「運命の合併」

これまでマクラーレンは、資金的な制約から2シーター以外のカテゴリーへの進出を断念してきたという歴史がありますが、しかし2025年末に完了したアブダビの投資会社CYVNホールディングスによる買収、そして新興企業Forseven(フォーセブン)との合併がその壁を打ち破ることに。
なお、現マクラーレンCEOであるニック・コリンズ氏は元々ForsevenのCEOであり、ジャガー・ランドローバー等でSUV開発の豊富な経験をもつ人物。
この体制変更により、マクラーレンは「超高性能なスポーツカー」のDNAを持ちながら、「家族で乗れるラグジュアリー」という新領域へ踏み出す準備が整ったというわけですね。
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車種概要:注目の新型車とスペック
今夏に詳細が発表される予定のモデル群の中で、最も注目すべきは(現在開発が最終段階にある)なんといってもブランドの頂点「W1」。
マクラーレン W1 スペック(フラッグシップ)
| 項目 | スペック |
| エンジン | 4.0L V8 MHP-8 + eモジュール |
| 最高出力 | 1,258 hp |
| 最大トルク | 1,340 Nm (988 lb-ft) |
| 0-100km/h加速 | 2.7秒 |
| 駆動方式 | 後輪駆動 (RWD) |
| 価格 | 約210万ドル(約3.2億円〜) |
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今後のラインナップに期待されるもの
そして今後マクラーレンは様々な計画を持っており・・・。
- スーパーSUV(コードネーム未定):マクラーレン独自の軽量化技術「iStream(ゴードン・マレーが開発したs多胎構造)」やカーボンファイバー技術を応用。ウルスよりも軽量で、プロサングエよりもドライバーズカーに近い性格になると予想される
- 4シーターGT:これまでの「GT」よりもさらに居住性を高め、2+2レイアウトを採用したグランドツアラー
- V8ハイブリッドの深化:アルトゥーラで培った電動化技術を新型V8に統合。フルEV化は「顧客が望む時まで行わない」と断言※V6ハイブリッド、そしてアルトゥーラの未来は不明

マクラーレンはライバルをどう圧倒するか
マクラーレンがSUV市場に参入する場合、すでに成功を収めている以下のモデルが直接の競合となり・・・。
- ランボルギーニ・ウルス SE: 圧倒的なパワーとエキゾチックなスタイリングで市場を独占中
- フェラーリ・プロサングエ: V12自然吸気という「伝統」で勝負
- ポルシェ・カイエン ターボEハイブリッド: 実用性と信頼性においての王者
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マクラーレンの勝機はどこにあるのか?
こういった競合ひしめく中、マクラーレンの勝機がどこにあるのかというと、それは「軽量化」と「エアロダイナミクス」。
F1直系の空力技術をSUVに持ち込み、「全高が高いのに、曲がる・止まるはスーパーカーそのもの」という独自のポジションを狙っているというわけですね。

結論:マクラーレンの第2章が始まる
多くのスポーツカーメーカーがEVシフトを急ぎ”苦戦”する中、マクラーレンは「顧客のニーズ(内燃機関と実用性)」に寄り添う道を選んでおり、これはひとつの、しかし大きな決定とも言えるもの。
マクラーレンは比較的早い段階から電動化に着目し、ピュアエレクトリックスポーツについてもテストを重ねてきたとされますが、それでも「まだこの段階でBEVを投入するのは時期尚早」だと判断したということになりそうです。
現時点では、今回公開された計画がどういったタイムスケジュールで進められるのかはわかっていませんが、夏までに予定されている「計画詳細の発表」にあわせてある程度の「形」が公開されるかどうかのナゾのまま。

しかしいったんそれらが公開されるとなると、それはマクラーレンが「小規模なスーパーカーメーカー」から「世界に冠たる総合ラグジュアリーブランド」へと脱皮する瞬間ということになり、よってニューモデルには「これまで以上の」期待がかかります。
最近ではメルセデス・ベンツやBMWが中国市場において価格引き下げを余儀なくされ、ランボルギーニもEVモデル「ランザドール」の開発を一時凍結し、ポルシェやロールス・ロイスも「EV一辺倒」の方針を見直すという状況。※一方でジャガーやアウディは「EV重視」の姿勢を崩していない
実際のところ、高級車市場のEVブームに陰りが見えていることは否定できず、マクラーレンの「ICE(内燃機関)維持」という判断は、結果として非常に賢明な経営判断となる可能性が高いであろう、と考えています。

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参照:Autocar











