
| モリゾウ(豊田章男氏)と副社長が本気で激突。お堅いセダンを魔改造した「2台の怪物」 |
北米版「逆輸入」カムリ国内導入の前哨戦か
2026年1月、東京オートサロンの舞台でトヨタとダイハツが「どちらがより尖った軽トラを作れるか」という社内コンペを行い、自動車ファンを沸かせたのは記憶に新しいところ。
しかし、トヨタの「本気の遊び心」はそれだけでは終わらず、今回は富士スピードウェイで開催された「スーパー耐駆動(ENEOS スーパー耐久シリーズ)富士24時間レース」の会場にて、社内カスタムバトル第2弾の成果物がサプライズ発表される運びとなり、ベースに選ばれたのは、なんと北米や日本でお馴染みのミドルサイズセダン「カムリ(Camry)」です。
しかも、公開された2台のカムリは、大人しいファミリーセダンの面影を完全に払拭した、文字通りの「魔改造車」で、ここではこの2台の驚愕のスペック、そして仕掛けられた技術的な背景を見てみたいと思います。
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まんまと騙されたな・・・。東京オートサロンでのトヨタ「ミドシップ2シーター」はMR2ではなく「軽トラ」。壮大な“釣り”と、その後の意外な展開について
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注目ポイント:30秒でわかる「変態カムリ」の衝撃
- 前代未聞のツインエンジン: GR(ガズーレーシング)は、フロントに3気筒、リアに4気筒を積んだ「合計7気筒・ツインエンジン」の4WDカムリを開発
- 豊田章男 vs 副社長のガチバトル: モリゾウ率いるGR(市販車部門)と、中嶋副社長率いるTR(レースカー部門)による社内魔改造コンペ第2弾
- シャコタン・街道レーサー降臨: TRはロングノーズ、竹やりマフラー、シャンデリア内装、さらには「開発中の2.0Lターボ+RWD+MT化」という狂気のカスタムを披露
- 富士24時間でサプライズ公開: スーパー耐久・富士24時間レースの会場で実車がお披露目され、来場者投票によりツインエンジン仕様のGRが勝利

GR(市販車)vs TR(レース開発)、開発トップの意地が激突
今回の社内対決は、トヨタのハイパフォーマンスを担う2つの重要部門による「トップ同士のガチバトル」として企画され・・・。
- GAZOO Racing(GR)チーム: 市販スポーツカー(GRヤリスやGRスープラなど)を手がける部門。率いるのは、マスタードライバー「モリゾウ」こと豊田章男会長
- Toyota Racing(TR)チーム: 純粋なレーシングカー開発を担う部門。率いるのは、技術畑を歩んできたトヨタの中嶋裕樹副社長
面白いのは、ふだん市販車を作っているGRが「純粋なサーキットモンスター」を構築したのに対し、レースカーの製造を生業とするTRが「日本のストリートカルチャー(街道レーサー)」をオマージュした車両を作り上げたというねじれ現象が起きている点で、しかし両チームともカムリを文字通り骨格から作り変え、それぞれ全く異なるアプローチによって「狂気のカスタム」を個々のカムリへと詰め込んでいます。
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「トヨタ・ガズー・レーシング」が「GAZOO Racing」へ名称変更 — トヨタが“もっといいクルマづくり&人材育成”を原点回帰で強化すると発表
Image:Toyota | 「トヨタ」から切り離して独立ブランドとしての色を強める? | 要点の箇条書きまとめ TOYOTA GAZOO Racingが「GAZOO Racing」へ名称を再変更 モ ...
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1. 【GRチーム】前3気筒+後4気筒=「7気筒ツインエンジン」の四輪駆動
豊田章男氏率いるGRチームは、外見こそクリーンなホワイトのワイドボディに大型リヤウイング、フロントスプリッター、カナード、リヤディフューザーをまとった正統派のタイムアタックマシンスタイルですが、その中身は異常ともいえるもので、なんと、このクルマにはエンジンが2基搭載されています。
フロントのボンネット内に「3気筒エンジン」を配置して前輪を駆動し、リアシートを完全に撤去したスペースに「4気筒エンジン」をマウントして後輪を駆動するという「合計7気筒のツインエンジン4WD」という変態レイアウトを採用していて、プレスカンファレンスでは、前後の内燃機関が同調して一気に吹け上がる独特かつ爆音の排気音を響かせて会場を騒然とさせることに。
まさに「エンジンだけで構成されたハイブリッド(?)」のような、ガソリン臭さ全開のハイパワーカーというわけですね。
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アメリカでデザインされた新型トヨタ・カムリが発表。スポーツグレードではなんとカナードつきフロントバンパー採用、アグレッシブなハニカムグリルにディフューザーも
| カムリはアメリカで5番目に売れている乗用車だけに、トヨタとしては「全方位でのアップグレード」を行ってきたようだ | とくに人気の「AWD」を全グレードで採用したことは非常に大きい さて、トヨタが米 ...
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トヨタが「退屈」を捨てて14年。なぜ豊田章男は世界を熱狂させるスポーツカーブランドへとトヨタを変貌させることに成功したのか
| 豊田章男氏の「NO MORE BORING CARS」がすべてを変えた | かつて、トヨタはなんら特徴がなく「2000GT以外はコレクションに値するクルマがないブランド」と言われたが かつて200 ...
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2. 【TRチーム】開発中の400馬力ターボ搭載!「RWD・MT・シャンデリア」の街道レーサー
中嶋副社長率いるTRチームは、日本の「暴走族・街道レーサー」や「グラチャン仕様」にインスパイアされたド派手なカスタムを敢行しており、外観はロングノーズ化されたフロントマスクに地面を擦りそうなチンスポイラー、オーバーフェンダー、星型の切り抜きが入った巨大なリヤウイング、そして空高くそびえ立つ「竹やりマフラー」を採用。
ただ、街道レーサーも「シルエットフォーミュラ」にインスパイアされた文化でもあるため、今回のとTR(トヨタ・レーシング)によるカスタムは意外と「レーシングカーの本質」とも言えるものなのかもしれません。

さらに驚くべきはそのインテリアで、ダッシュボードは全面黒のフェイクファーで覆われ、シフトノブには泡入りのクリスタル・バブルシフター(水中花。カムリの故郷である米国ケンタッキー州にちなんだウイスキーグラス風デザイン)、シガー用トレイ、そして天井にはグリーンのクリスタル・シャンデリアが煌々と輝いており、こちらはレーシングカーとは無縁の仕様ながらも非常に興味深いカスタムだと考えています。
なお、これらだけならば単なるお祭り仕様ということになるものの、中身はTRの技術の結晶ともいうべきもので、元々FF(前輪駆動)かつ左ハンドルの北米仕様カムリを、「右ハンドル化」し、さらに「RWD(後輪駆動)+マニュアルトランスミッション(MT)」へ完全換装。
搭載される心臓部は、トヨタが現在裏で開発中と噂される「最高出力400馬力級の2.0リッター直列4気筒直噴ターボエンジン」のプロトタイプだといい、見た目の「おふざけ」とは真逆ともいえる”超一級の走行性能を秘めた”究極のシャコタンセダンというわけですね。
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トヨタがル・マン24時間レースにて水素レーシングプロトタイプ「TR-LH2」のデモランを慣行。モータースポーツの未来を変える次世代技術とは
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モンスターカムリ 2台の予想・判明スペック比較
| 項目 | 【勝利】GAZOO Racing(GR)仕様 | Toyota Racing(TR)仕様 |
| ベース車両 | トヨタ・カムリ(北米仕様・左ハンドル) | トヨタ・カムリ(北米ベース→右ハンドル化) |
| コンセプト | 正統派サーキット・タイムアタック | 日本の伝統的ストリート(街道レーサー) |
| エンジン | ツインエンジン(前3気筒 / 後4気筒) | 開発中 2.0L 直4次世代ターボ |
| 駆動方式 | 前後独立駆動による4WD | FFからRWD(後輪駆動)へ換装 |
| トランスミッション | 非公表 | マニュアルトランスミッション(MT) |
| 最高出力 | 非公表(推定500馬力以上) | 最大400馬力(エンジン開発目標値) |
| インテリア | リアシート撤去、安全燃料セル、ロールケージ | 金華山風ファー、シャンデリア、大容量スピーカー |
自動車業界へのメッセージ:なぜ今、トヨタは「お遊び」に本気なのか?
一見すると、自動車メーカーのトップたちが予算を贅沢に使って悪ノリしただけのようにも見えますが、ここには次世代の自動車戦略における重要なメッセージが隠されています。
昨今、自動車業界はEV(電気自動車)へのシフトや自動運転といった「マイルド&クリーン」な方向へ一辺倒になりがちで、しかし今回のカスタムカーが示しているのは、「カーボンニュートラルを目指す時代であっても、クルマのワクワク感や内燃機関の楽しさは絶対に忘れない」という、トヨタ(特にモリゾウ氏)ならではの強い意志表示。
また、TR仕様に搭載された「2.0リッター・400馬力ターボ」はディスプレイ用ユニットではなく、これはトヨタが次世代のスポーツカー(噂されるセリカの復活やMR2の再来など)に向けて実際にテストを重ねている次世代パワーユニットそのもので、こうした実験的な試みをファンイベントの場でユニークに発表することにより、ブランドのファンエンゲージメントを最大化させる狙いがあるものと思われます。
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豊田章男氏はかつてレース参戦時に「トヨタを名乗る」ことを拒否された。当時の「屈辱」が「Gazoo Racing」の立ち上げと独立へ
| 今では信じられないが、トヨタは当時「そういった」風潮があったようだ | この記事の要約: ブランド独立: TOYOTA Gazoo Racingが「TOYOTA」を外し、独立したパフォーマンスブラ ...
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さらにトヨタは同日に「北米版カムリを日本国内へと”逆輸入”する」という計画を述べており、そしてこちらはなんと右ハンドル化がなされるのだそう(ただ、今回のTRチームの作品のように、FR+MTは難しいだろう)。
ちなみにですが、イベント会場で行われた来場者による直接投票ではメカニズムの変態っぷりが票を集めたのか、GRチームの「ツインエンジン・7気筒カムリ」が見事勝利を収めており、しかしぼくとしては「銅像を白く塗って石膏像に見せたサルバドール・ダリの作品のような」TRチームに軍配をあげたいと思います。
結論:お堅いセダンの枠を超えた、トヨタの「エンジニアリングの解放」
ファミリーカー、あるいはハイブリッドの優等生というイメージが強いカムリをここまで徹底的に破壊し、再構築したトヨタのエンジニアたちの技術力と遊び心には脱帽するほかはなく、今回の2台はあくまでワンオフのコンセプトカーであり、このまま市販化されることはないものの、しかしここで培われた「2.0L次世代ターボ」や「マルチモーター/マルチエンジン制御」の知見は間違いなく今後のGRモデルへとフィードバックされるものと見られています。
「トヨタのクルマはつまらない」と言われた時代は完全に過去のもので、トップ自らが誰よりもクルマを愛し、悪ノリとも思える挑戦を仕掛けることで「自動車愛」を再び示すことになったこのプロモーション。
近年のトヨタはSNSの活用、それによって人々の心を動かす方法についても「ほかメーカーより頭一つ抜けている」と考えていいのかもしれません。
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