| 過去に2度も世界最速を達成した人物の言うことであれば説得力がある |
さて、片道532.7km/h、往復で508.7km/hという前人未到の記録を達成し、世界最速のクルマとなったSSCトゥアタラ。
そのSSC(シェルビー・スーパー・カーズ)CEO、ジェロッド・シェルビー氏が「ブガッティの490.484km/hの記録は疑わしい」とコメントして話題に。
ちょっと補足しておくと、SSCトゥアタラが世界最速記録を打ち立てる前に「世界最速」だったのはブガッティ・シロン・スーパースポーツ300+。
ただしブガッティ・シロン・スーパースポーツ+の記録は「ギネス認定」ではなく、認証機関であるTUVによって客観的に計測されたものです。
両者の違いは、「ギネスに認定されるには、同じコースを往復し、その平均値をもって記録とする」、しかしTUVは「フォルクスワーゲンのテストコースを片道走行するブガッティ・シロン・スーパースポーツ300+の速度を計測したのみ」。※TUVは第三者認証機関であり、ギネスのように記録の証明を行う機関ではない
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機械には物理的な限界がある
そしてブガッティ・シロン・スーパースポーツ300+が記録を更新する前の「最速」はケーニグセグ・アゲーラRS(444km/h)で、この記録は今回のSSCトゥアタラと同じコースを使用して往復を走り、そしてギネスに認定されたもの。
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ブガッティがギネス認定を受けなかったのは、あまりにコストがかかりすぎることや、ギネス記録を争うことに嫌気が差したのだということを理由としていますが、ジェロッド・シェルビー氏はちょっと異なる見解を持っている模様。
「私からすると、どのクルマにも、理論上の限界がある。つまりはエンジニアリングと科学の話だ。空気抵抗、パワー、ギア比といったものだね。この世界では、多くのエンジニアが理論上の最高速を計測している。そして、私の計算では、シロン・スーパースポーツ300+の市販モデルの最高速度は460km/hが限界だ」。
つまり同氏は、記録挑戦に用いられたシロン・スーパースポーツ300+は「市販モデルの理論値を超えており、なんらかの改造が施されていて、”市販車最速”としての記録達成は認めがたい」ということになりそう。
たしかに公開された(記録を達成した個体そのものの)シロン・スーパースポーツ300+のプロトタイプにはロールケージが組まれ、さらに助手席が取り外され、車高も落とされて「市販車」とはいい難いレベルですが、これらを鑑みても、ジェロッド・シェルビー氏は「とうてい490.484km/hは出せない(市販モデルとは異なるレベルの改造なくしては)」と見ているようですね。
ただ、世の中には「計算だけでは導き出せない」数字もあるようで、たとえば日産R35 GT-Rのサーキット走行タイムは「出力、ギア比、車体重量」等を考慮した場合に理解を超えているとして”フェイク説”がほか自動車メーカーからも出されたほど。
そしてランボルギーニ・ウラカン・ペルフォルマンテがニュルブルクリンク最速タイムを出した際にも「理論上、ありえない」として多くの異議が出されています。
実際のところ「事実はどうなのかわからない」ものも多いとは思いますが、このあたりはぼくら一般人にはなんとも判断ができない部分でもありますね。
SSCトゥアタラには「弟分」が登場
そしてもうひとつ、ジェロッド・シェルビーが語ったところでは、「トゥアタラの弟分が登場」。
これについては今年はじめに示唆されており、しかし今回はその内容について言及したということになります。
そしてこの計画については「リトル・ブラザープロジェクト(そのまんま・・・)」と命名されて過去数年にわたり研究が進められており、トゥアタラと非常によく似た外観が与えられて600-700馬力を発生する、とのこと。
加えて価格は3000万円~4000万円あたりになるといい、しかしトゥアタラの「2億円(190万ドル)」よりはずっとお買い得となっています。
なお、ジェロッド・シェルビー氏は「トゥアタラを購入できる人は世界の1%のまた10分の1しかいない」とも発言しており、その生産をトータルで100台、そして2022年から4年かけて行う予定。
一方で3000-4000万円だとランボルギーニ・ウラカンEVO、マクラーレン720S、フェラーリF8トリブートと同じ価格帯に属し、「商業的に見て十分な利益を確保できる余地がある」ということになりそうです(SSCの知名度はそれらに比較すると高くはないが、世界最速のインパクトは凄まじい)。
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参照: Road & Track, CarBuzz