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他自動車メーカーと協業の道を探るも交渉決裂、ついに米新興EVメーカー「フィスカー」が破産を申請。BMWやアストンマーティンで才能を発揮したデザイナーが設立

他自動車メーカーと協業の道を探るも交渉決裂、ついに米新興EVメーカー「フィスカー」が破産を申請。BMWやアストンマーティンで才能を発揮したデザイナーが設立

Image:Henrik Fisker

| ヘンリク・フィスカー氏は以前の会社でも経営不振を招いており、周囲の意見を聞き入れないスタイルが問題だとも指摘される |

現在フィスカー・オーシャンは大幅値引きにて販売中、リスクを省みずけっこう多くの人が購入しているようだ

さて、ロイター通信によれば、米新興自動車メーカー、フィスカー社が破産保護を申請したとのこと。

同社は以前から経営不振が囁かれ、いくつかの自動車メーカーと買収に関する交渉を行っていたとも報じられていますが、結果的に交渉が決裂して連邦破産法第11章の適用を申請したとされ、現在の資産は5億ドルから10億ドル、負債は1億ドルから5億ドルだと報じられています。

フィスカーは品質問題に苦しめられる

なお、フィスカーは今年はじめ日産との協業にてエレクトリックピックアップの開発を行うという話を進めていたものの、このプロジェクトは実を結ばず、その後は増え続ける在庫を補うために6週にわたり生産を一時停止したことも。

そこから複数の自動車メーカーとの買収協議に入ったと報じられ、しかし今回報じられるように買収が成立しなかったというのが現在の状況です。

なお、この「フィスカー」はアストンマーティンやBMWでデザイナーを務めたヘンリク・フィスカー氏が立ち上げたEV専門ブランドですが、同氏は以前にも同名の会社を立ち上げたことがあり、そこでは「カルマ」なるPHEVをリリースしています。

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このカルマは当時レオナルド・ディカプリオはじめハリウッドセレブが購入したことで大きな話題となるものの、あまりの品質の低さ、そしてクルマとしての基本的な能力の欠如から米調査期間が「買ってはいけないクルマ」だと報じ、これによって販売が急速に減少することに。

その結果、ヘンリク・フィスカー氏は中国企業へと会社ごと「フィスカー」を売却し、しかし商標権だけは手元においていたようで、中国に買われた「旧フィスカー」は「カルマ・オートモーティブ」と名を変え、そしてヘンリク・フィスカー氏はまた新しく「フィスカー」を設立したわけですが、新生フィスカーにおいても品質問題に苦しめられ、結果的にはまた事業を閉じることになりそうです。

なお、現在のフィスカーがリリースした車種は「オーシャン」ひとつのみで、このオーシャンの生産を担当するのはオーストリアのマグナ・シュタイアー(GRスープラやメルセデス・ベンツGクラスの製造も担当している)。

そしてつい先月、このマグナ・シュタイアーのCEO、スワミ・コタギリ氏は「オーシャンの生産が再開される見込みはない」とコメントしており、年間12万台であった計画に遠く及ばないままプロジェクトが終了することを示唆しています。

現在フィスカーは現金を確保するために在庫車を大幅に値引いて販売しており、その価格は現在25,000ドル(395万円くらい)にまで下がっていて、つまりは大変なお買い得ではあるものの、もともと品質問題が報じられるうえ、修理のためのパーツも提供されていないという報道もあるため、これに手を出すのは「かなりのリスク」だとも考えられます(電気自動車ということもあり、簡単に修理したりパーツを流用したりできないことがアダとなっている)。

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ヘンリク・フィスカー氏は一度ならず二度までも「品質問題」で会社を潰してしまったということになりそうですが、一部の報道によると、この原因は同氏のワンマン経営スタイルにあるとも指摘され、「ヘンリク・フィスカー含む経営陣が助言に耳を傾けず、周囲が正しいと思うことに関係なく、自分のやりたいことをやる」という姿勢、「複数のチームがひどいアイデアだと言っても、ヘンリク・フィスカーがそのアイデアを実現するためにマーケティングキャンペーンを開始したいと言えば、それが実行された」というもと従業員の証言も報じられています。

そしてヘンリク・フィスカー氏は「ピア」「ローニン」などいくつかの追加車種のアイデアを公表しているものの、これが実現される日が来ることは「当分」ないのかもしれません。

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