| 協業には賛否あるかとは思われるが、協業なしにはスポーツカーが開発できないという現在の状況を理解する必要がある |
基本的にスポーツカーは多くのパーツが「専用品」でありファミリーカーとの共通性は低い
さて、ここ最近GR(GAZOO Racingカンパニー)のプレジデント、高橋智也氏のコメントが取り上げられる機会が増えていますが、今回もまたオーストラリアのカーメディアが「GRブランドにおけるスポーツカーの今後の展開」について報じています。
まず報道によれば、高橋智也プレジデントのコメントは以下の通り。
私は笑顔で仕事をしたい。私が笑顔でなければ、お客様を笑顔にすることはできないからです。ただし今後スポーツカー市場は縮小します。よってトヨタという1つのブランドだけでスポーツカーを維持することはできない。今後はブランド間のコラボレーションが増えるでしょう。ただしどことコラボレーションするかは分かりません。
トヨタはスポーツカーを諦めない
たしかに高橋智也プレジデントに言う通りスポーツカー市場は縮小の一途をたどっており、よって自動車メーカーが単独でそれを開発したとしても「コストを回収しにくい」状況なのは間違いないかと思います。
実際のところ、トヨタはGR86をスバルと、そしてGRスープラをBMWとの共同にて開発していて、よって今回の高橋智也プレジデントの発言は非常に現実味のあるものとして響くこととなり、ここで気になるのが「MR2とセリカの復活」。
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ただし今回の報道を見る限りでは「現時点では具体的なプランはない」と受け取ることもでき、直近~2025年にかけての新型車発表は(開発スケジュール的に)難しいのかもしれません。
やはりトヨタがスポーツカーを作るには「協業」しかないのかも
なお、トヨタは単独にて「GRヤリス」「GRカローラ」を開発し発売しているものの、それらはベースとなる「ヤリス」「カローラ」が存在していたからこそ可能となったもので、新型スポーツカーをゼロベースで開発するのは経済的に非常に困難であるとも考えられます。
これがポルシェやフェラーリ、マクラーレン、ランボルギーニ、アストンマーティンといった「プレミアム」スポーツカーメーカーであれば、いかに価格が高額になろうとも、その価格を正当化できるだけの性能を持っていれば顧客は喜んでその対価を払うことになると思われますが、トヨタが販売しようと考えるクルマはそのプライスゾーンにはなく、よってトヨタは「できるだけ安く、しかしできるだけ優れたスポーツカーを」作らねばならず、そこで有用な解決策となるのが上述の「協業」ということに。
ちなみにですが、現時点も様々な協業のウワサが出ており、ひとつはスズキとのパートナーシップによりスズキはカプチーノ後継を開発し、トヨタがそれをベースにしたスポーツカーを作るというもの。
そしてもうひとつはマツダとのコラボレーション案件で、アイコニックSPのトヨタ版が登場するのではというものです。
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ただ、いずれにしても「ウワサ」レベルに留まっており、トヨタがこの実現に向けて動いているという確証はなく、しかし高橋智也氏は以下のようにも語っていて、どこかで他者とのコラボレーションによるスポーツカーが実現するのかもしれません。
重要なのは一つのメーカーが生き残るのではなく、自動車愛好家を守ること。私たちの使命は自動車愛好家を笑顔にすることなので、時には(他の自動車メーカーと)協力しあう必要があるのです。
ちなみにですが、生産を委託する工場との契約の関係により、2026年にGRスープラの生産が終了するという話があり、これが事実だとするとトヨタはそれまでになんらかのスポーツカーを(GRブランドから)発売する必要があるのかも。
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ただし現実的に考えるならば、新規モデルを開発するよりも、メルセデスAMGやBMW Mモデルで人気の「ハイパフォーマンスSUV」へと進出するほうが(開発機関や収益性の点で)理にかなっており、まずは既存SUVをベースにしたGRモデルが登場することになるのかもしれません。
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参照:Carsguide