| フォードがまさかの大決断 |
フォードがなんと「北米からセダン撤退」の方針を発表。
たしかにアメリカでは「セダン不人気」が鮮明化しているものの、いくらなんでも「セダン撤退」というのは過激な判断であるようにも思えます。
なおフォードは一昨年に大幅減益を記録しており、その後にCEOが交代。
その新CEO、ジム・ハケット氏が投資家に向けて2022年までに経費を140億ドル削減する、と説明しています。
さらに今回は圧縮額を255億ドルに引き上げること、そしてその手段としてセダン撤退を表明したことになりますが、それだけフォードの台所事情は「差し迫っている」ということになりそう。
コンパクトカーまでもその犠牲に
なお撤退するカテゴリはコンパクトカーにも及び、コンパクトカーとセダンをあわせるとフォーカス、フュージョン、トーラス、C-Max、フィエスタなどが「首を切られる」ことになって、その結果なんとアメリカにおけるフォードのラインアップは乗用車(SUVとセダンを除いた、という意味で)だとマスタングとフォーカス・アクティブの2車種のみに。
さらにフォードはハイブリッド化を進めるとしており、生き残ったマスタングのほか、SUV/トラックではF-150、エクスプローラー、エスケープ、新型ブロンコなどにこれを設定することで、2022年までに16車種のハイブリッドを投入する意向を示しています。
戦略は自動車メーカーによって異なる
たしかに利益を残そうとなると経費を削減して車種を絞ることは有用だとは思いますが、あまりに「絞りすぎると」販売自体が落ちてしまい、残す利益がなくなってしまうことに。
なお、カルロス・ゴーン氏が日産CEOに就いたときに最初に行ったのが「経費削減」で、一定期間「新型車を発売しなかった」時期も。
現在でもそれは同じで「既存モデルのバリエーション(e-POWERなど)」やモデルチェンジ以外ではニューモデルがほとんど出ず、販売現場はかなり苦労している、という話があるほど。
しかしながら、それでも利益を残しているので(そのかわりセールスは””少ない車種でホンダやトヨタと戦う”ことになるのでかなりキツイと思う)販売はある程度確保できていると思われ、規模が大きな会社の場合は「販売を伸ばす」よりも「経費を削る」ほうが有効なのかもしれません。
一方でアストンマーティンの場合、アンディ・パーマーCEOがその座に就いた時に行ったのは、逆に「積極的なニューモデルの投入」。
「12年に一台しか新型車が出なかった」状況を「1年に何台も新型車を出すメーカー」へと変化させ、どれだけ借金がかさもうとも投資に投資を重ねてニューモデルを積極的に投入し、ついに「儲かる会社へ」と変えたのは記憶に新しいところ。
今回フォードは「日産型」を選んだということになり、その理由としては「F-150など、十分に売れているモデルがある」ということ、だからこそ販売がある程度落ちようとも「売れていないモデルを切ることができる」という事情がありますが(アストンマーティンは当時車種が少なく、車種を減らせなかった)、とにかく今回のフォードの決断には驚かされるばかりで、(カムリが売れているとはいえど)セダンに固執するトヨタとは対極的だと言えますね。※フォードは大幅な赤字を記録し、投資家の手前”待った無し”だったという事情も
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