Image:BAIC
| 北京汽車のデザインは現時点では「一昔前」、フォードでの経験を活かしデザインを改革か |
中国の自動車メーカーは「歴史」がないだけにデザインも過去に縛られず自由度が高い
さて、フォードのデザイン部門責任者、アンソニー・ロウ氏がフォードを辞して中国の自動車メーカーBAIC(北京汽車集団)のチーフデザインオフィサー兼グローバルデザイン担当副社長に就任することが明らかに。
このアンソニー・ロウ氏は、ロータスやアウディ、メルセデス・ベンツ、ゼネラルモーターズ(GM)など、世界最大級の自動車メーカーでキャリアを築いてきた人物ですが、ロールス・ロイスのチーフデザイナーらと同様に、またしても「デザイン界の大物」が中国へと移ってしまうことになりますね。
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アンソニー・ロウはこんな経歴を持っている
そこでアンソニー・ロウ氏の経歴について触れてみると、同氏はまず1987年にロータスで自動車デザインのキャリアをスタートさせ、1990年にはアウディに移籍し、その後1993年にはメルセデス・ベンツへと入社して日本のスタジオでチーフデザイナーを務めたという過去を持っています。
その後2000年にはサーブに採用されて2001年の9Xや2006年のAero Xコンセプト、2005年のサーブ9-5の量産モデルのデザインを手がけ、さらにそこからGM傘下にあったオペルにて2008年のインシグニアや複数のコンセプトカーをデザインしたほか、2010年から2021年までルノーでエクステリアデザイン担当副社長を務めたという実力派(かなりのハイペースで職を転々としている)。
その後同氏はフォードに移籍し、そして今回は北京汽車に移ることになりますが、北京汽車は「アンソニー・ロウの経験と国際的な影響力がオフロード車や新エネルギー製品、国際的な協力プロジェクトでのブレークスルーをもたらすことになるでしょう」とコメントし期待を寄せています。
BAIC is proud to be the Official Automotive Partner of the 26th Arabian Gulf Cup, fueling passion and unity in iconic football moments. Celebrate sport and innovation! @AGCFF#BAIC #khaleejizain26 #gulfcupofficial #gulfcup2024 #khaleejizaingulfcup2024 #BAICGulfCup2024Partner pic.twitter.com/AT3ZPxPI3f
— BAIC Global (@baicglobal) October 18, 2024
一方のフォードはアンソニー・ロウ氏の後任としてトッド・ウィリング氏を指名しており、同氏は過去21年間フォードに在籍しているというので非常に(フォードに対する)忠誠心が強い人物であると思われます。
同氏の功績としては2007年のモンデオ、2009年のフィエスタ、2010年のフォーカス、そして2017年のフォードGTが挙げられており、かなり幅広いジャンルにおいて力を発揮することになりそうですね。
参考までに、北京汽車はメルセデス・ベンツと(中国にて)提携を行っていることでも知られ、同社の株式の約10%を保有していると伝えられます。
いわば老舗に分類され、同じ中国でもNIOなどの新興自動車メーカーとは異なりコンベンショナルなクルマを作っていて(EVは2モデルしかない)、現在はオフローダー(BJシリーズ)を中心にいくつかのセダンとSUVを展開中。
The sea breeze gently blows, and the U5 Plus smoothly travels on the seaside road, like waves leaping on the sea, interweaving with the distant skyline to form a moving picture.#BAIC #BAICENJOYRIDE #U5Plus #UrbanExplorer #LuxuryAdventure pic.twitter.com/BwuR0PRXK6
— BAIC Global (@baicglobal) August 18, 2024
そしてオフローダーについては「ジープ」「メルセデス・ベンツ Gクラス」「ランドローバー・ディフェンダー」にちょっと似ているラインアップが少なくはなく、少し前の中国の”典型的な”自動車メーカーという印象も。
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つまりデザイン的には「あまり見るべきものがなく」そしてBAICもそれを理解しているからこそ、外部のデザイナーを引き抜こうと考えたのかもしれませんね。
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