| テスラがこれでようやく「安定した自動車メーカー」として認められることに |
テスラの株価はこの発表を受け6%弱上昇する
さて、時価総額が1兆ドルを超える企業として、はじめてジャンク格付けされた最初の企業であるテスラ。
しかし今回、昨年テスラの格付けを引き上げたS&Pグローバル・レーティングスに続き、ムーディーズ・インベスター・サービスもテスラの格付けを引き上げてBaa3とし、ジャンクから「投資適格」に引き上げると発表しています。※ステータスは「ステーブル(安定的)」
一方で日産自動車はS&Pグローバル・レーティングスによる格付けがBB+へと引き下げられ、これによってジャンク格付けとなってしまい、「投資不適格」に分類されることに。
参考までに、トヨタはS&Pグローバル・レーティングスではA+、ムーディーズ・インベスター・サービスではA1、格付投資情報センターではAAA、日本格付所でもAAという高評価を誇っています。
テスラはようやく「自動車メーカー」として認知されることに
なお、今回の「格上げ」については、S&Pやムーディーズの評価を無関係とするイーロン・マスクCEOにとっては関心のないことかもしれませんが(むしろ、1兆円企業で唯一のジャンク格付けでなくなったことを悲しんでいるかも)、この格付によって投資を得やすくなったり、借り入れをおこないやすくなるという観点からは大きな意味があるのかも。
テスラはこれまで「新興自動車メーカー」「やがては消え去る」と捉えられることが多く、よって常にその株価が「過大評価されている」と捉えられ、かつ自動車業界や政府からは「自動車メーカーとして認めてもらえない」といった実情があったわけですね(もちろん、これに対してイーロン・マスクCEOは全く意に介せずである)。
ただ、2022年からは風向きがやや変わり、EVを推進しつつもテスラを無視し続けていたバイデン政権がはじめてテスラの名を公式に使用し、そしてフォードやGMといった既存自動車メーカーと同等の扱いを行ったことは記憶に新しく・・・。
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その後はホワイトハウスとの契約を行うなど、着実にそのポジションを確固たるものへと高めることに成功しています。
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ウォール街のアナリストはこう語る
そして今回テスラは晴れて「投資してもいい企業」の仲間入りを果たしたということになりますが、ブルームバーグ・インテリジェンスのクレジットアナリスト、ジョエル・レヴィントン氏はこれを「テスラにとって歴史的な出来事だ」とコメント。
さらにムーディーズのシニア・クレジット・オフィサーであるレネ・リプシュ氏は「テスラは、グローバルな足跡と地盤をさらに強固にすることで、バッテリー電気自動車の主要メーカーの1つとしての地位を維持するだろう」という声明を出していますが、この評価は”サイバートラックの生産開始””製品ラインアップの拡充””ギガファクトリーの世界レベルでの展開””効率性と財務レバレッジへの重点的な取り組み”が複合的に評価されたものだともコメントしています。
この発表を受け、テスラの株価は(NY市場の)日中取引にて5.98%上昇しており(今年に入ってから50%ほど上昇している)、現時点では時価総額ベースにて「世界で8番目に大きな企業」となっています。
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参照:Bloomberg