テスラが「2021年以降に販売したほとんどすべて」の車両、185万台に”ボンネットが閉まっていないことを警告できない”としてリコール届け出。改善は無線アップデートにて

｜　テスラは無線アップデート（OTA）によってそのオペレーションコストを大きく削減できている　｜

設計思想と手順の相違により、既存自動車メーカーはなかなかこれを取り入れることができない

さて、テスラが「2021年以降に発売されたクルマのほとんどすべて」となる1,849,638台を対象としたリコールを発表（モデル3、モデルX、モデルS、モデルYが対象で、サイバートラックは含まれない）。

内容としては（NHTSA＝米国運輸省道路交通安全局のリコール報告書によると）「ソフトウェアが”ロックされていないボンネット”を検出できない可能性があり、この場合、ボンネットがロックされていない状態をドライバーに警告できないため、走行中にこれが開いてしまい、結果的にドライバーの視界を遮ることで事故のリスクが高まる」というもので、テスラが初めてこの問題に気付いたのは今年初めに中国の顧客から「意図しないボンネットの開閉」について苦情が寄せられたため。

例によってオンラインアップデートにて問題が解決

中国での問題発生から数カ月後、テスラは4月に「ラッチスイッチの変形が原因であると」と特定し、さらにテスラは中国で車両の調査と分析を続け、ヨーロッパや北米と比較して中国の欠陥率が高いという事実を発見しています（中国で問題が多い理由については今回明かされていない）。

その結果をもって今回のリコールとなったわけですが、現時点では幸いなことに、これに起因する事故、負傷、または死亡ついては報告されていない、とのこと。

なお、今回リコールされた車両の数は驚異的ではあるものの、テスラによれば「実際に問題が生じるのはリコール対象のわずか1%」。

そして同様の問題が生じた場合、他の多くの自動車メーカーでは顧客が車両をディーラーに持ち込み、そこで点検や修理してもらう必要があるのですが、テスラの場合はいつものように無線によるソフトウェアアップデート（OTA）によってこの問題を修復しており、「ファームウェアリリース2024.20.3」によって、ボンネットが開いていることを正しく検出し、その場合はドライバーに警告することが可能になると説明されています。

参考までに、テスラはここ数カ月で数回のリコールを発表していて、2月には「緊急警告灯に小さなフォントを使用しているため、連邦自動車安全基準に準拠していない」として約220万台のテスラがリコールされ（これもOTAで解決）、5月にはシートベルト警告の不具合により12万5000台のテスラがリコールされています（やはりOTAで修正可能）。

一方、サイバートラックのリコール（アクセルペダルとワイパー駆動モーター）については無線アップデートでの改善ができずに物理的修理が必要となりますが、特殊な例を除くと問題の殆どを無線アップデートにて改善することが可能となっていて、ここは（リコールにて大きく利益が削られた）フォードはじめ多くの自動車メーカーが参考にしようと躍起になっている部分です。

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