
| 武器取引史上最大規模か?米国とサウジの裏で動いた巨額ディール |
テスラはドナルド・トランプ大統領との関係性を「最大限に利用」
アメリカのドナルド・トランプ大統領が「サウジ・米国投資フォーラム」の場において歴史上最大規模とされる武器売却契約を発表。
その額なんと1,420億ドル(約22兆円)とのことですが、内容はアメリカ製のドローン、有人機、ミサイル、そして「高精度殺傷兵器システム」まで多岐にわたります。
そしてこの大きな発表の裏で注目を集めたのが、トランプ陣営最大の支援者でもあるイーロン・マスク氏の同行です。
イーロン・マスク、サウジで全方位ビジネス展開を加速
サウジ訪問中、マスク氏は自身が率いる複数の企業とサウジ政府との大型契約の締結を計画していると表明。
その中でも実現性が高いのが、航空宇宙企業、スペースXの通信衛星ネットワーク「Starlink(スターリンク)」を使った航空・海上監視システムの提供です。
また、彼はテスラの未公開ロボット「Optimus(オプティマス)」のデモンストレーションをトランプ大統領とムハンマド皇太子に向けて実施。
ロボットは、トランプ氏の大好きな楽曲「YMCA」に合わせて「トランプダンス」を披露したとのことですが、その実態は(自律行動ではなく)遠隔操作の可能性が高いと見られています。
さらに、マスク氏はテスラの自動運転タクシー(ロボタクシー / Robotaxi)を将来的にサウジに導入する構想も持ちかけたとされ、なんだかんだ言いながらもドナルド・トランプ大統領とテスラとの関係性は「継続」しているようですね。
「ワープトンネルで都市交通を解決」ボーリングカンパニー構想も再び登場
さらにこのフォーラムでの話題はAI企業から一転、マスク氏の地下交通インフラ会社「ザ・ボーリング・カンパニー(The Boring Company)」での構想にも言及。
曰く、「都市の一部から別の場所へワームホールのように移動できる“ワープトンネル”で渋滞を解消できる」と語っています。
とはいえ、現時点で具体的な進展があるのはスターリングだけだと目されており、他の提案は、いわゆる“ベーパウェア”(実体のない製品構想)の域を出ていないというのが大勢の見解です。
サウジアラビアがこの取引で得るものは?
サウジアラビアは現在、未来都市の建設や世界的スポーツイベントへの投資など、国家のイメージ改革=「スポーツウォッシング」や「テックウォッシング」に力を入れています。
その背景には、石油依存型経済から技術革新を基盤とした経済構造への転換という国家的な目標があるわけですが、そこで、イーロン・マスクのような米国のテック業界・政界に強い影響力を持つ人物との関係構築は非常に魅力的。
加えて、イランとの地政学的対立や中東における影響力拡大を目指すサウジにとって、アメリカとの同盟強化は不可欠であるとされ、特に、原子力発電への転換を進める中で、ウラン濃縮技術の自主開発を視野に入れるサウジにとって、アメリカからの支援は生命線とも言えるのだと報じられています。
結論:アメリカとサウジ、かつてないほどの蜜月関係に
近年、アメリカは人権問題に対する姿勢を軟化させており、それに伴ってサウジとの距離も急速に縮まっていますが、今回の武器取引とテック連携は、その象徴的な出来事の一つと言えるのかも。
アメリカ政界とテクノロジー界の大物が一堂に会し、サウジとの関係を強化するという構図は、今後の中東情勢や世界経済においても無視できないインパクトをもたらすはずで、世界規模での構造変革に繋がる可能性もありそうですね。
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参照:Jalopnik