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| ここ最近、テスラ・ロードスターに関する話題がいくつか登場しているが |
現在のテスラの苦境をひっくり返すには「ロードスターの投入」しかないであろう
テスラが8年以上前に発表した超高性能EV「ロードスター」。
現在に至るまで具体的な話が聞かれなかったものの、今回「特許技術の申請」という形にて動きを見せ始めることに。
CARBUZZが報じたところによると、米国特許商標庁(USPTO)に公開された特許によって、テスラが“ファンで地面に吸いつく”アクティブ・ダウンフォース・システムを開発中であることが明らかになっており、いまだ市販化の目処は立っていないものの、開発そのものは着実に進んでいることを伺わせます。
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テスラ・ロードスター、初公開から8年。いまだ市販化されずも「今年中にデモ実施」かと報じられる
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テスラが特許出願した「地面に吸いつく」ダウンフォース・システムとは?
今回公開された特許のタイトルは「Adaptive Vehicle Aerodynamics for Downforce(ダウンフォースのための車両適応空力)」。
このシステムは・・・。
- 車体底部に格納されたスカート(エアロカーテン)を展開し、
- 車体後部に配置された4基の電動ファンが強力な負圧を発生、
- 路面との間に“真空状態”を作り、車体を下方向に引きつける
という構造。
つまり、機械的に車体を地面に吸いつけることで、コーナリング時のグリップや安定性を劇的に向上させるわけですね。
特許ではさらに、ファンのブレード角度(ピッチ)や回転数を走行状況に応じて自動制御できると明記されており、例えば低速域(コーナリング時)では最大ダウンフォース、加速時や高速域(最高速アタック)では抵抗を抑える…といった挙動が可能となります。

Image:Tesla
ただの“夢物語”ではない。現実的に可能な技術
テスラCEOイーロン・マスクは以前から「ロケットスラスターを搭載したロードスター」を語ってきましたが、それに比べると今回のファン式ダウンフォース技術は遥かに現実的で、実際、同様の技術は過去・現在でも実用化されています。
- 1970年代Can-Amシリーズに投入されたシャパラル2JやF1マシン(ブラバムBT46B)で採用された“ファンカー”と同じ構造
- McMurtry Spéirling(マクマートリー・スピアリング)では、4,400ポンド(約2トン)以上のダウンフォースをファンだけで発生させ、車体を「トンネルの天井に」貼り付けることも可能
- ブラバムBT46Bの設計者、ゴードン・マレーによる市販ハイパーカー、GMA T.50も同様の機構を採用
つまり、今回のテスラの特許は既存の技術を“よりスマートに最適化したもの”と見ることができます。
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課題は「現実の道路」。スカートの接地がカギ
とはいえ、実用化には大きな課題も存在し、というのもファンによるダウンフォースは路面とスカートが密着している前提で最大限の効果を発揮します。
したがって・・・。
- 段差や舗装の荒れた道路
- スカートと路面の密着が破綻した瞬間
こうした状況では一気にダウンフォースが消失し、走行安定性が低下するリスクも(よって、このシステムは基本的にサーキットでしか効果を発生させることが難しい)。
この点をテスラは、スカートの高さを可変させたり、ファン制御によって“適応的に対処する”としていますが、信頼性や耐久性の面ではまだまだ懸念が残るところ。

ところで、テスラロードスターの発売はいつ?
そして問題はここ。
ロードスターの最初の発表は2017年ですが、現在に至るまでに・・・。
- プロトタイプの公開
- ロケットスラスター搭載の構想発表
- 発売延期の繰り返し…
といった経緯を辿っており、未だ市販の目処は不明確。
イーロン・マスク氏も最新の発売スケジュールについては言及していない、という状況です。
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結論:この特許技術はすごい。でも“実車”が必要
今回の特許は、超高性能EV時代における空力制御の未来を垣間見せてくれるものであり、技術的には非常に魅力的です。
しかし、それが本当に搭載される“市販車としてのロードスター”が存在しない限りでは、すべては机上の空論でもあり、なんらハイパフォーマンスカー市場へとインパクトを与えないのかもしれません。
一方、テスラが本当にこの技術を実用化し、しかも量産車に採用できるのであれば、それはスーパーカー/ハイパーカー市場における大革命となる可能性を秘めており、今後に期待したいと思います。

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参照:CARBUZZ