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驚くべき事実:世界で最も価値ある自動車ブランドは「トヨタ」。フェラーリやメルセデス・ベンツを抑えた王者の評価とは

トヨタ

| トヨタは名実ともに「最強」のブランドへ 

ランキングの核心:「ブランド価値」とは何を意味するか

毎年恒例のインターブランド(Interbrand)による「世界で最も価値あるブランド」ランキングが発表されることに。

総合ランキングは今年もApple(アップル)、Microsoft(マイクロソフト)、Amazon(アマゾン)といった巨大テック企業が席巻したものの、ぼくらが注目すべきは自動車セクターの動向です。

この「ブランド価値」は様々な会社によって算出されているのですが(その会社によって算出基準やランキングは大きく異なる)、インターブランドが算出する「ブランド価値は、単なる市場規模ではなく、以下の3つの要素から、ブランドが将来にわたって生み出す収益の持続可能性を評価しています。

  1. 財務分析(Financial Analysis): ブランドが生み出す純粋な利益
  2. ブランドの役割(Role of Brand): 顧客の購買決定において、「ブランド名」がどれだけ影響力を持つか
  3. ブランドの強度(Brand Strength): ロイヤルティ(忠誠心)を生み出し、将来にわたる持続的な需要と利益を創出する能力
ポルシェ
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安定と信頼の王者:トヨタが総合6位に

驚くべきことに、今回自動車ブランドで最も価値があると評価されたのは、メルセデス・ベンツやBMWといった高級車メーカーではなく、日本のトヨタ(Toyota)。

トヨタは総合6位にランクインし、そのブランド価値は742億ドルに達し、前年比から2%の増加を記録しています。

これによってトヨタが長年にわたって培ってきた品質、信頼性といった評価、そしてグローバルでのアクセシビリティが、現在の厳しい市場環境下でも安定した収益と顧客の揺るぎないロイヤルティを生み出していることが証明されたのだと考えることができそうです。

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これは、電動化が加速する時代においても、「主流(Mainstream)」としての信頼性が、「ラグジュアリー(Luxury)」や「イノベーション(Innovation)」といった要素を上回る、最も強固なブランド価値の源泉であることを示唆しています(ちょっと前であれば、電動化に熱心なブランドのほうが高い評価を得ていたのだと思われる)。

評価が急落したプレミアム勢とテスラの苦戦

対照的に、多くの高級ブランドは、ブランド価値を大きく落とす結果となり・・・。

  • メルセデス・ベンツ(Mercedes): 総合10位、価値は501億ドルで15%の大幅下落
  • BMW: 総合14位、価値は468億ドルで10%の下落

最も劇的な動きを見せたのが、EV市場のパイオニアであるテスラ(Tesla)。※総合25位

テスラのブランド価値は35%も急落し、その価値295億ドルと算出されていますが、インターブランドはその理由を「EV競争の激化に直面した」ためとしています。

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テスラは依然として強力なブランドではあるものの、競合他社が次々と魅力的なEVを市場に投入する中、製品ラインナップの多様性や市場における独自性が相対的に薄れたことが評価の下落に繋がったと評価されたということになりますね(上の評価基準における、「2」が「弱まったのであろう)。

アジア勢の台頭と中国のディスラプター

ランキングの下位においても、自動車市場の勢力図の変化が明確に見て取れます。

  • ホンダ(#29)、ヒョンデ(#30)、アウディ(#52)、フェラーリ(#54)、フォルクスワーゲン(#56)、ポルシェ(#57)、日産(#82)、キア(#89)、レンジローバー(#97)といったブランドが名を連ねています。
  • 特に注目すべきは、今回唯一の新規ランクインを果たした中国のEVメーカー、BYD(比亜迪)で、総合90位、価値81億ドルというポジションに。※シャオミもランクインしているが、これは家電部門の評価が大半であると考えられる

「BYDはテスラ以来、自動車市場における最大のディスラプター(破壊者)だ。とくにヨーロッパにおける存在感は躍進著しい」

インターブランド グローバル最高戦略責任者 マンフレディ・リッカ

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考察:市場の変革期における「信頼」の価値

今回のランキング結果は、自動車産業が「移動手段の提供」から「持続可能なモビリティの提供」へと移行する中で、ブランドの価値軸が大きく変化していることを示しています。

  • トヨタの勝利は、派手なイノベーションよりも、「持続的な収益力」と「世界中どこでも期待を裏切らない品質」という基盤の強さが依然として最も高い評価を得ていることを示している
  • テスラの急落は、EV市場が黎明期を終え、競争優位性が「先進性」から「量産性、品質、そしてより多様な選択肢」へとシフトしていることを反映しており、初期のイノベーションによるプレミアムは剥落し、ブランドの「持続可能性(サステナビリティ)」がより厳しく問われている
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EV競争が激化し市場の不確実性が高まる今、「最も手堅く、長期的に利益を生み出せる」と見なされたブランドが最も高い価値を持つという”非常に論理的”な結果となっており、トヨタはテスラを「総合的な評価にて完全に凌駕した」ということになりそうですね。

その他にはこんなブランドもランクイン

参考までに、今回発表された「TOP100」はこういった顔ぶれにて構成されています。

  1. アップル
  2. マイクロソフト
  3. アマゾン
  4. グーグル
  5. サムスン
  6. トヨタ
  7. コカ・コーラ
  8. インスタグラム
  9. マクドナルド
  10. メルセデス・ベンツ
  11. シスコ
  12. ルイヴィトンン
  13. YouTube
  14. BMW
  15. エヌビディア
  16. オラクル
  17. ディズニー
  18. SAP
  19. Facebook
  20. Adobe
  21. エルメス
  22. IBM
  23. ナイキ
  24. シャネル
  25. テスラ
  26. JPモルガン
  27. Allianz
  28. ネットフリックス
  29. ホンダ
  30. ヒョンデ
  31. ブラックロック
  32. Booking.com
  33. VISA
  34. ソニー
  35. イケア
  36. マスタ^カード
  37. アクセンチュア
  38. ペプシ
  39. クアルコム
  40. PayPal
  41. Zara
  42. セールスフォース
  43. AXA
  44. GEエアロスペース
  45. Airbnb
  46. UPS
  47. ユニクロ
  48. シーメンス
  49. アディダス
  50. LEGO
  51. Dell
  52. アウディ
  53. 任天堂
  54. フェラーリ
  55. ゴールドマン・サックス
  56. フォルクスワーゲン
  57. ポルシェ
  58. Spotify
  59. ロレアル
  60. パンパース
  61. ebay
  62. Citi
  63. ネスカフェ
  64. Uber
  65. シュナイダー・エレクトリック
  66. バドワイザー
  67. HP
  68. H&M
  69. グッチ
  70. モンスター
  71. Intel
  72. HSBC
  73. カルティエ
  74. フィリップス
  75. LinkedIn
  76. コルゲート
  77. サンタンデール
  78. ジレット
  79. 熱する
  80. コロナ
  81. シャオミ
  82. 日産
  83. ディオール
  84. キャタピラー
  85. ナスダック
  86. プラダ
  87. 3M
  88. John Deere
  89. Kia
  90. BYD
  91. ダノン
  92. FedEx
  93. Sephora
  94. ティファニー
  95. パンドラ
  96. ファーウェイ
  97. レンジローバー
  98. ネスプレッソ
  99. Sopify
  100. DHL
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参照:Interbrand

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