
Image:Mecum Auctions
| フェラーリの工学落札記録を更新か」と見られていたが |
今回のオークションの重要トピック
- 落札価格: 38,500,000ドル(約60億円)※バイヤーズプレミアム込み
- 異例のカラー: フェラーリの伝統を破り、工場出荷時に「白(ビアンコ)」で塗装された唯一の個体
- 記録更新ならず: 2018年の7000万ドル(約102億円)超の記録には及ばず
- 数奇な歴史: かつてジャガーが性能分析のために借用し、開発の「ベンチマーク」にされた伝説の1台
なぜ「白」なのか?伝説のシャシー番号「3729GT」の正体
2026年1月、フロリダ州で開催された「Mecum Kissimmee」オークション。
その目玉として登場したのが、1962年製フェラーリ 250 GTO、通称『ビアンコ・スペチャーレ』です。
通常、この時代のフェラーリの競技用車両はボディカラーとして「赤(ロッソ・コルサ)」が義務付けられていましたが、この固体は英国の伝説的チームオーナー、ジョン・クームスが特別に注文したもので、特例として認められたこの白いボディは36台しか製造されなかった250 GTOの中でも唯一無二の存在感を放っています。
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落札額が「伸び悩んだ」3つの決定的な要因
事前の予想では7000万ドル(約110億円)を超え史上最高額を塗り替えるのではないかという期待もあったものの、結果は3850万ドル。
これにはコレクター界隈ならではのシビアな理由があったといい、ここでその要因について考えてみましょう。
1. オリジナルエンジンの欠如
最大の要因は、搭載されているV12エンジンが「工場出荷時のオリジナルではない」点で、フェラーリ・クラシケの認定(レッドブック)は受けているものの、マッチングナンバーではないことが超富裕層の「究極の1台」を求める投資熱にブレーキをかけたと見られています。
2. 繰り返された再塗装と補修
この個体はレースで実戦投入されていたため、何度も補修やカラーチェンジが行われてきたといい、現在は元の「白」に戻されているものの、一度もレストアされていない「タイムカプセル」状態の個体と比べると”希少性が一段落ちる”と判断されたようですね。
So about last night...
— Mecum Auctions (@mecum) January 18, 2026
The only Ferrari 250 GTO finished in Bianco by Ferrari took the top spot at Mecum Kissimmee 2026. See the full story: https://t.co/P9eYKCvvIo#SOLD #MecumKissimmee #Mecum #MecumAuctions #WhereTheCarsAre pic.twitter.com/gdgkKr6Ycp
3. 歴史の「深み」が仇となった?
かつてこの車は、ライバルであるジャガーのエンジニアに貸し出され、軽量Eタイプ開発のためにバラバラに近い状態まで調査された過去があるといい、歴史的には非常に興味深いエピソードではありますが、純粋な「フェラーリの血統」を重視する層には、この外部への流出歴がマイナスに働いた可能性もあると指摘されています。
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フェラーリ 250 GTO「3729GT」スペック・詳細
| 項目 | 詳細内容 |
| シャシー番号 | 3729GT |
| 製造年 | 1962年 |
| ボディカラー | ビアンコ(ホワイト)※工場出荷時唯一 |
| エンジン | 3.0L コロンボV12(Ferrari Classiche認定) |
| トランスミッション | 5速マニュアル(右ハンドル仕様) |
| 主な戦績 | グッドウッド等でグラハム・ヒルらがドライブ |
| 前所有者 | ジョン・シャーリー氏(元マイクロソフトCOO) |
結果として、今回の3850万ドルという数字は、2023年にRMサザビーズで記録された5170万ドルという330 LM/250 GTOにも届かないもので、「記録を更新できなかった」理由を鑑みるに、「オリジナル性」「コンディション」が「希少性」「ストーリー」よりも重視されたのだとも考えられます。
- 市場の冷え込み?: 2026年に入り、ハイエンドなクラシックカー市場が「完璧なオリジナル状態」のものにのみ資金が集中する二極化が進んでいることが浮き彫りになる
- Mecumにとっては大金星: 一方で、オークション主催のMecumにとっては、これまでの最高落札額(1787万ドルのエンツォ)を大幅に塗り替える金字塔となり、こちらは「オリジナル性」「コンディション」「希少性」「ストーリー」すべてを併せ持っている
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ジャガーを震え上がらせた「白馬」
この個体がジャガーに貸し出された際、ジャガーのエンジニアは250 GTOの空力性能の高さに驚愕したと言われており、さらにはジャガーの伝説的テストドライバー、ノーマン・デュイスが実際にテスト走行を行い、「フェラーリのギアボックスのキレは自社製品より遥かに上だ」と認めた記録が残っているのだそう。
つまるところ、このクルマがなければ後の名車ジャガー Eタイプは誕生していなかったかもしれず、図らずしてフェラーリは「敵に塩を送ってしまった」ことになるのかも。
60億円でも「お買い得」?次なる神話へのカウントダウン
史上最高額の更新はならなかったものの、世界に1台の「白い250 GTO」を手に入れたミステリー・バイヤーは間違いなく世界で最も影響力のあるコレクターの仲間入りを果たすこととなり、「オリジナルエンジンではない」という欠点さえも、数十年後には「激動のレース界を生き抜いた証」としてさらなる価値を帯びるのかもしれません。
フェラーリ 250 GTOという伝説が、いかにして現代の富豪たちを狂わせ、夢中にさせるのか。
その魔力は、金額の多寡にかかわらず、今後も衰えることはなさそうです。
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