| 欧米ブランドは継続して値上げを行っており、この20年くらいで2倍、3倍の価格に |
反面、日本のブランドの価格はさほど値上げがなされていない
さて、姪っ子の成人祝いにティファニーのネックレスでも贈ってみるかと考えてふとティファニーのウエブサイトを見てみると、その価格が「ぼくの知ってるティファニー」とはぜんぜん違うレベルにまで高くなっていてちょっとびっくり。
たとえばオープンハートのネックレス(シルバー、11ミリ)だと、ぼくが社会人になりたての頃だと11,000円くらいだったと記憶しているのですが、現在の価格はなんと39,600円という設定です。
やはり欧米ブランドはインフレによる価格高騰が凄まじい
なお、価格が上がっているのはオープンハードのみではなく、ビーンやティアドロップも同様であり、つまりは20年くらい前から「3倍以上」に上がってしまっている、ということになりますね。
これは素材の高騰もあるかと思うものの、やはりインフレによるところが大きいと考えて良さそうです。
ただ、このインフレというのは直近のことではなく、この20年くらいの継続したインフレを指していて、たとえばアメリカでの平均年収を見てみると、2000年だと約55,000ドル、2022年では約70,000ドルだとされるので、つまりこの20年で1.28倍上がったということに(統計を公開しているところによってけっこう差がある)。
一方の日本だと2000年だと平均年収は408万円、そして2022年は403万円なので、むしろ下がっていることがわかります。
つまりアメリカのブランド、アメリカの製品では平均賃金の上昇に伴って製造原価が上がっていると考えてよく、ここに材料費や様々な要因が乗っかって「ティファニーのネックレスが3倍以上になってしまった」わけですが、これはスイス製腕時計でも同様のことが言え、2000年くらいのロレックスGMTマスターIIの希望小売価格は48万円くらいだったと記憶しているものの、現在ではその2.5倍くらいに値上がりしているという実情も。
ちなみにぼくは「すべてのモノは(株価含め)値段が上がってゆく」と考えていて、その根拠はこの「インレ率」であり、(日本にいると実感は湧かないものの)海外ではどんどん所得と購買力が上がっていて、それに応じた”値上げ”がなされてゆくという認識だから。
よって、市場性が高い(海外でも需要がある)モノを購入して保有しておけば、現金を銀行に預けておくよりも速いペースで「資産」が増えてゆくことになると解釈していて、これがぼくの「モノに対する投資」の根幹にある考え方です。
一方、日本ブランドの製品はそこまで価格が上がっていない
ちなみにですが、日本は比較的インフレ率が低く、その要因としては賃金が上がらないので購買力も上がらず、さらに日本はエネルギー自給率わずか11.8%、食料自給率66%という低い数値にとどまるため、生活費ばかりが上昇して可処分所得が増えないためで、よって多くの日本の会社は値上げをしない方向を選びます(ちょっと前に話題になったコンビニのサンドイッチのように、日本の場合は値段据え置きで内容量を減らす傾向にある。購買力が上がらないので値上げをすると売れなくなるところが欧米とは異なる)。
それはとくに(人件費の上がらない)国内製品において顕著であり、たとえば国内生産を行うコムデギャルソンの製品だと、この10年くらいは価格がほぼ変わらず(PLAY コムデギャルソンのTシャツだと、この10年で数百円しか上がっていない)。
そして、同じく国内生産で知られる吉田カバンの製品も「ほぼ値上がりしておらず」、ポーター・ドライブのポーチだとこの10年くらいでやはり数百円が値上がりしたのみ(ただ、吉田カバンは従来製品の値上げはあまり行っていないものの、新シリーズや既存シリーズの新製品においてかなり高額な値付けを行っている。これはコムデギャルソンも同じであり、平均価格帯は大きく上がっていると考えていい)。
そしておそらくは、このまま欧米の賃金は上がり続け、日本での賃金は上がらないので、ますます日本の購買力が上がらないままになってしまい、ぼくら日本人にとって欧米ブランドの製品は「どんどん現実からかけ離れた価格になってゆく」のかもしれません。
ちなみにですが、ここに大きなビジネスチャンスがあるような気もしていて、それは「高価になりすぎて購入できなくなった欧米ブランドと、平均的な日本人の購買力とのギャップを埋めるアフォーダブルなブランド」の登場。
実際のところ、アクセサリーにおいては日本のブランドが「かつてのティファニーくらい」の価格帯もしくはそれ以上にて展開している例も少なくはなく、こういったブランドは「欧米ブランドの価格が高くなりすぎたから」こそ生まれたチャンスを活用しているのかもしれません。
おそらくは今後、同様もしくはまったく異なる”新たな商機”が生まれる可能性もあり、その時代の変化に対応したものが勝者となるのでしょうね。