| タイミングとしては「やや遅かった」がまだ挽回は可能 |
さて、アストンマーティン期待の新星、DBXの本生産がついにスタート。
いうまでもなくこれはアストンマーティン初のSUVとなりますが、この生産のために新しく工場を建設するなど多大な投資を行ったクルマでもあります。
そして現在アストンマーティンは非常に(販売・財政とも)厳しい状況であり、このDBXの成否が今後の社運を握ると言っても良さそうですね。
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SUVであれば売れるとは限らない
なお、SUV発売によって大きく成長した例としてはポルシェ(カイエン)、ランボルギーニ(ウルス)。
いずれも販売台数ベースで(スポーツカーラインアップだけの時に比べ)倍程度に成長しており、ランボルギーニだとこんな感じ。
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もちろんアストンマーティンはDBXにおいても同様の現状を期待しており、とくに中国市場での販売を見込んでいるとされ、年間4,000〜5,000台ペースの販売を狙っている、と報じられます。※DBX発売前、2019年のアストンマーティン世界販売は5,110台
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ほかに「SUVへと新規参入」したメーカーとしてはジャガー(F-PACE、E-PACE)、ベントレー(ベンテイガ)、マセラティ(レヴァンテ)、ロールスロイス(カリナン)、アルファロメオ(ステルヴィオ)」等がありますが、これらはいずれも好調もしくは堅調(思ったほど売れていないにせよ投資効果がマイナスではないようだ)。
実際にマセラティ、ベントレー、アルファロメオはさらに追加でSUVを投入する意欲を見せていますね。
SUV市場は供給加熱気味に。存在感を発揮できるかが鍵
ただ、そうなると心配なのが「供給過剰」。
現在のところ高級SUVはサルーンからのみならずスポーツカーからの乗り換えも獲得しているといわれ、しかし一部アナリストは「もはやSUV市場はこれまでのように成長しない」とする向きも。
アストンマーティンはSUV参入組としては現在のところ最後発となっており、販売拠点の数やプロモーション面においても他ブランドに比較してやや不利だとも考えられます。
よって、こういった環境の中でDBXが存在感を発揮できるのかどうかということが懸念となりますが、アストンマーティンとしても「後発」の不利を十分承知しているようで、「スーポーティー」「エレガント」「ゴージャス」という路線を押し出しており、ポルシェ・カイエン、マセラティ・レヴァンテが主なターゲットとして設定されている模様。
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アストンマーティンDBXに搭載されるエンジンはメルセデスAMGより供給を受けた4リッターV8ツインターボで、出力は550馬力。
出力特性はDBXのために再調整されているといい、0-100km/h加速は4.5秒、最高速度は時速291km/h、トランスミッションは9速AT、駆動方式にはもちろん4WDを採用しています。
価格は2300万円に設定されていますが、同じくらいのスペックを持つレヴァンテGTSだと1840万円、ポルシェ・カイエン・ターボだと2937万円、ちょっと性能が上のランボルギーニ・ウルスの価格は2918万円。
これらに比べるとかなり割高ではありますが、実車を見る限りではそれだけの価格納得性もあり、多くの人に知ってもらう機会さえあれば(DB11同様に)売れるだろう、とも考えています。
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参考までに、ジャーマンスリーのフラッグシップSUV(エントリーモデル)だとアウディQ8で1010万円〜、BMW X7は1011万円〜、メルセデス・ベンツGLSでは1263万円という設定を持っており、これらと比較すると割高感を禁じ得ず(ただしスペックは全然違う)、そう考えると、割安感を出せるであろうV6モデルの早急な投入が望まれるのかもしれません。
参照:Astonmartin